【8084】RYODEN(東証プライム) OP
現在値 2,522円/100株 P/E 10.4 P/B 0.63 3月配当 9月株主優待
三菱電機系商社で最大。FA、ビル昇降機・空調機から半導体まで幅広い。
配当は3月/9月の年2回・106円配当のため、配当利回りは約4.20%となります。
菱電商事は株主優待制度を導入しており、3月末現在の100株以上保有の株主に対して、2,000円分のクオカードを進呈しておりますので、配当優待利回りは約4.99%となります。なお、3年以上保有継続する場合は1,000円分が追加されますので、同利回りは約5.39%となります。
業績を確認をしていきます。
■2022年3月期 売上高 2,291億円 営業利益 70.6億円 EPS 229.9円
■2023年3月期 売上高 2,603億円 営業利益 93.8億円 EPS 245.9円
■2024年3月期 売上高 2,590億円 営業利益 83.2億円 EPS 262.4円
■2025年3月期 売上高 2,190億円 営業利益 72.0億円 EPS 242.4円 ce
□2024年6月1Q 売上高 551億円 営業利益 10.1億円 EPS 39.4円(7/31)
□2024年9月2Q 売上高 1,040億円 営業利益 28.0億円 EPS 96.0円 ce
2024年3月期の売上高はYoY▲0.5%の2,590億円、営業利益はYoY▲11.2%の83.2億円となり、減益ながらも中間時点の増額見通しを上振れて着地しました。構成比の大きいエレキ事業は、国内のインフォテインメント機器やメモリ等が堅調に推移したものの、中国向けが全般低調に推移して反落しました。他方、FAシステム事業は半導体製造業向けが好調を維持したほか、冷熱システム事業も建物建設工期長期化影響をこなして、昇降機・ACの販売が堅調となりました。
進行期である2025年3月期の予算については、売上高がYoY▲15.4%の2,190億円、営業利益はYoY▲13.5%の72.0億円を予想しています。主力のエレキ事業は低調な中国市場の底入れが見込まれるものの、ルネサス向けの通期剥落により大幅続落となります。他方、FAシステム・冷熱ビルシステムの両事業は、半導体製造装置顧客やビルオーナーの投資意欲が強く続伸が見込まれるほか、投資先行だったX-Tech事業もヘルスケア・ICTの拡大で黒字に転換します。なお、7月31日に開示の1Qの売上高は551億円&営業益10.2億円と低調な滑り出しとなっています。
進行期は2025年3月期を最終年度とする5年中計の最終年度にあたり、当初目標として売上高2,600億円(CAGR2.5%)、営業利益100億円(CAGR13%)を掲げていたものの、三菱電機のルネサス株完全売却による同社商材の取扱廃止や、スマート農業の事業環境激変等もあり、進行期予算に照らせば大幅未達となる公算です。なお、今次中計での注力施策は①スマート農業、②ビデオネットワーク等ICT、③RFIDタグ等クラウド化、④クラウド型施設環境管理システム、⑤ADAS等自動車系先進分野、等となっています。
①は世界的食糧難で植物工場市場が年率20%以上成長していることから、植物工場首位のファームシップ社と世界初の法蓮草の量産化工場“Block FARM”を2022年に完工させています。露地栽培比100倍の生産効率で完全周年栽培と高付加価値化が実現するほか、中長期的には多品種・変量栽培を目指します。またファームシップ社との協業推進のため、株式の追加取得により持分法適用(持分35%)化しているものの、電気代高騰等により依然赤字連結となっており、想定以下の業績寄与になっています。
DX関連としては②・③・④への取組がみられ、普及段階にある③のRFIDタグについては、自動車業界を相手先にクラウドによる部材・部品のマネジメントシステムを展開します。また、④についてははビル・工場等施設向けにエネルギー等を管理する“Remces”という統合監視制御システムを、病院向けには10年契約型のパッケージITシステムの拡販を図る方針です。全社的観点ではエレキ事業の大失速をカバーするため、他既存事業の拡張で手当てしていくものの、数字面では全然足りない格好です。
なお財務面については、ネット無借金状態&自己資本比率は59.1%程と好財務を維持しています。株主還元については、PBR1倍の回復を志向しつつも、還元ポリシーを「安定配当をベースとしつつも、配当性向40%~60%」+「自己株買いを適宜実施」としており、進行期の配当は横引きの年106円配(配当性向43.8%)を予想しています。
*参考記事① 2024-02-14 2,576円 NT
【8084】RYODEN/主要取引先ルネサスの特約店契約終了が痛打、興味は株主還元のみ。
*参考記事② 2023-09-20 2,394円 OP
【8084】菱電商事/半導体市況の一服感意識されるが、PBR1倍志向の還元強化は評価できよう。
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