【3923】ラクス(東証プライム) OP
現在値 2,273円/100株 P/E 59.7 P/B 27.5 3月配当 株主優待なし
クラウドとIT人材派遣の2本柱。“メールディーラー”と“楽楽精算”が利益成長を牽引。
配当基準日は3月末、年3円90銭配予想のため配当利回りは約0.17%となります。
業績を確認します。
■2022年3月期 売上高 206億円、営業利益 15.7億円 EPS 6.0円
■2023年3月期 売上高 273億円、営業利益 16.5億円 EPS 7.0円
■2024年3月期 売上高 384億円、営業利益 55.5億円 EPS 23.1円
■2025年3月期 売上高 483億円、営業利益 90.0億円 EPS 38.0円 ce
□2024年6月1Q 売上高 112億円、営業利益 23.2億円 EPS 11.4円(8/13)
□2024年9月2Q 売上高 176億円、営業利益 44.0億円 EPS 19.3円 四e
2024年3月期の売上収益はYoY+40.2%の384億円、営業利益はYoY*3.3倍の55.5億円で着地し、2Q公表の通期見通しをやや上振れしました。年末の電帳法対応の猶予期間終了までの仮需が強く、4Qでやや失速したものの、クラウド事業の売上高はYoY+45%となり、注力商材の“楽楽明細”が年率7割強・“楽楽販売”が年率5割の高成長を記録しました。主力商材の“楽楽精算”年率4割弱の高成長を維持し、解約率は0.36%→0.46%にやや悪化したものの、全社ARRは同+46.8%の341億円に達しています。一方、利益面については、広宣費と人件費の“線的”な増加基調が続いたものの、大幅増収で飲み込みました。
進行期である2025年3月期の予算については、売上高がYoY+25.8%の483億円、営業利益YoY+61.9%の90.0億円を見込んでいます。主力の“楽楽精算”は法対応仮需の一巡が見込まれることから、次世代商材である“楽楽明細”と“楽楽販売”に注力する方針であり、人件費(174億円→212億円)を更に積み増す一方で、広宣費(89億円→98億円)は抑制的とすることで、営業利益は一段増を見込みます。なお、8月13日開示の1Qは売上高112億円&営業益23.2億円で推移しており、概ね計画線と解されます。
進行期は5ヵ年中計の4年度目となっており、最終年度である2026年3月期までに売上高CAGR26%~30%、純利益29.3億円→100億円、純資産200億円の達成を目指していましたが、実績反映で売上高のみ「CAGR31%~32%」に再増額しています。元より当初4ヵ年は電帳法&インボイス特需の刈り取りのため、積極採用とTVCMを大量投下する“成長投資期間”とする方針でしたが、力強いトップライン伸長で飲み込んで、計画線を上回る利益水準を確保しているものと解されます。
主力商材“楽楽精算”の導入社数は17,000社を抱え(大企業向けの“SAP-Concur”を一旦度外視すれば)、社員5,000人以下企業では圧倒的なシェアを握っています。近年は法対応仮需もあり売上が急伸したものの、経費精算システムの導入率が6割に達しており、足許では明らかに成長鈍化していることから、今後は既存顧客の単価引き上げが焦点となります。2025年1月より10%程度の価格改定を予定しており、現状では目立った解約増もないことから、目論見通りの採算性改善が見込まれます。
また、2番手商材の“楽楽明細”の導入社数も直近1年で3,735社→6,840社に順調に加速しており、Sansanやマネーフォワード、ウイングアーク1stといった競合も激しいものの、請求書発行システム導入率は2割程度のため、なお拡大余地が存在します。また3番手以下の商材である“楽楽販売”や“配配メール”、“メールディーラー”、も年率2桁成長を継続しており、特に足許で年率5割成長を続ける“楽楽販売”が第三の柱となることが期待されます。
財務状況については、ネット無借金を維持しており、自己資本比率は6割強を維持しています。昨年、HOYAの勤怠管理システム事業会社を買収(33億円)してこそいるものの、当社は基本的には纏まった資金需要が存在しないSaaS会社のため、目下の配当予想である年3円90銭(配当性向10.2%)には依然として大きな増配余地が確認されます。
*参考記事① 2023-09-02 2,361円 OP
【3923】ラクス/インボイス仮需で中計を上方修正、HOYAから勤怠クラウド買収で外部成長も。
*参考記事② 2022-09-08 1,572円 OP
【3923】ラクス/次なる収益ドライバー期待のかかる“楽楽明細”の成長維持が鍵。
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