【3923】ラクス(東証プライム) OP
現在値 2,361円/100株 P/E --.- P/B 43.1 3月配当 株主優待なし
クラウドとIT人材派遣の2本柱。“メールディーラー”と“楽楽精算”が利益成長を牽引。
配当基準日は3月末、年2円00銭配予想のため配当利回りは約0.08%となります。
業績を確認します。
■2021年3月期 売上高 153億円、営業利益 38.9億円 EPS 16.2円
■2022年3月期 売上高 206億円、営業利益 15.7億円 EPS 6.0円
■2023年3月期 売上高 273億円、営業利益 16.5億円 EPS 7.0円
■2024年3月期 売上高 (未定)億円、営業利益(未定)億円 EPS(未定)円 ce
□2023年6月1Q 売上高 82.8億円、営業利益 10.3億円 EPS 3.8円(8/10)
□2023年9月2Q 売上高 174億円、営業利益 13.5億円 EPS 4.8円ce(8/10)
2023年3月期の売上収益はYoY+32.8%の273億円、営業利益はYoY+4.9%の16.5億円で着地し、2Q公表の見通し比で上振れしました。インボイス・電帳法対応の潮流に乗り、TVCMを中心に積極的な宣伝広告費を投じた結果、クラウド事業の売上高はYoY+33%となり、新商材の“楽楽明細”が年率6割強・“楽楽販売”が年率4割の高成長を記録しました。主力商材の“楽楽精算”も高成長を維持し、解約率は5.0%→4.3%に改善&月額客単価も85,308円→88,818円に増加しています。一方、利益面については、広宣費と人件費増基調が継続しているものの、増収効果で飲み込んで大幅増益となりました。
進行期の予算は半期分のみを公表しており、2023年9月2Qに売上高YoY+37.3%の174億円、営業利益YoY*2.0倍の13.5億円を見込んでいます。“楽楽精算”ほか主要プロダクトの加盟社数増加と売上増加を志向し、人件費(66.4→85.1億円/6m)と広宣費(30.6→41.2億円/6m)を其々積み増します。特に終わった期の4Qで“楽楽精算”の新規導入が再加速しており、法令等改正需要の駆け込みが確認されるほか、8月10日開示の1Q決算は売上高YoY+82.8億円&営業利益10.3億円と好採算のクラウド伸長による一段の利益改善が確認されます。
進行期は5ヵ年中計の3年度目となっており、最終年度である2026年3月期までに売上高CAGR26%~30%、純利益29.3億円→100億円、純資産200億円の達成を目指していましたが、序盤2ヵ年を終えて売上高のみ「CAGR27%~30%」に上方修正しています。元より当初4ヵ年については、積極採用とTVCMを大量投下する“成長投資期間”の位置付けとし、インボイスと電帳法対応需要を刈り取る方針としていたものの、実際は進行期で通期営業益30億円を下限としてガイドしているため、想定超の採算改善が進んでいるものと解されます。
主力商材“楽楽精算”の導入社数は2位を大きく引き離した圧倒的首位の14,000社弱を抱えており、経費精算システム市場のSAM1,000億円程度のうち、およそ1割程度に達したものとみられます。低価格と法令改正需要を受け、当面は年率3割程度の成長が目されるものの、残るパイは確実に縮小しています。また、2番手商材の“楽楽明細”の導入社数も直近1年で3,877社→6,278社に順調に加速しているものの、SansanやMoneyForward、ウイングアーク1stといった競合も激しいため、3番手以下の商材である“楽楽販売”や“メールディーラー”の拡大軌道入りが新たな投資論点となります。
財務状況については、ネット無借金を維持しており、自己資本比率は6割強を維持しています。他方、足許ではM&Aに乗り出しており、7月にHOYAの勤怠管理システム事業会社を新設分割方式で譲受しており、実に33億円を投じています。当社はSaaSモデルであり、纏まった資金需要は発生しないとみられるものの、M&Aは従来見られなかった特徴的な動きであり、現状の配当性向は30%目途(配当額は年2円)としているものの、同レベルの株主還元が継続するものとみられます。
*参考記事① 2022-09-08 1,572円 OP
【3923】ラクス/次なる収益ドライバー期待のかかる“楽楽明細”の成長維持が鍵。
*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。
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