【6458】新晃工業(東証PRM) NT
現在値 4,670円/100株 P/E 16.9 P/B 1.88 3月配当優待 9月配当
セントラル空調機器シェア4割。業務用空調機の中堅。中国やタイ進出。
配当は3月末・9月末の年2回合計135円のため、配当利回は2.89%となります。
新晃工業は株主優待を導入しており、3月末に単元株を保有する株主に対して、1,000円分の図書カードを進呈していますので、配当優待利回りは3.10%となります(※1年以上継続保有の場合)
業績を確認していきます。
■2022年3月期 売上高 415億円、営業利益 52.0億円 EPS 147円
■2023年3月期 売上高 448億円、営業利益 59.9億円 EPS 178円
■2024年3月期 売上高 519億円、営業利益 86.2億円 EPS 265円
■2025年3月期 売上高 540億円、営業利益 91.0億円 EPS 274円 ce
□2024年6月1Q 売上高 116億円、営業利益 19.5億円 EPS 63.4円(8/8)
□2024年9月2Q 売上高 232億円、営業利益 28.0億円 EPS 97.0円 ce
2024年3月期の売上高はYoY+15.9%の519億円、営業利益はYoY+43.8%の86.2億円となり、対前・対計画で増収増益となりました。期初受注残高はYoY+18.2%の147億円と高水準を確保していたほか、円安を背景とした製造業の国内回帰やデータセンター(DC)向けも絶好調となり、産業空調・空調工事が通期高稼働を維持しました。海外向けについても、主力の中国のインフラ受注が回復したほか、期ズレ案件の算入もあって黒字化に漕ぎつけています。
進行期である2025年3月期の売上高はYoY+4.0%の540億円、営業利益はYoY+5.5%の91.0億円を予想しています。期末時点の受注残高は国内はYoY+27.9%の208億円と高水準をキープしており、活況を呈するDCをはじめとする工場・研究施設といった産業用空調の堅調な推移が見込まれます。海外(中国)が不動産市況軟化で足踏みとなるものの、価格改定効果等も寄与し、全社では手堅く増収増益を見込みます。なお8月8日に開示済の1Qは、売上高116億円&営業利益19.5億円と早くも上振れ圏で進捗しています。
当社はこの2025年3月期を最終年度とする4年中計で売上高520億円(CAGR7%)・営業利益75億円(CAGR3%)を目標としていました。然しながら、足許の業績モメンタムが非常に強いことから、計画期間を2年引き伸ばした2027年3月期の計数目標を売上高560億円&営業益86億円に増額ローリングしていましたが、このたび終期目標を売上高600億円&営業益100億円まで洗替再増額しています。
取組事項は“SIMAプロジェクト”という原価低減計画を基礎とし、AIを活用した個別受注のDX化により、営業面の需要予測から設計・積算・製造までをシステムで一気通貫させる方針です。これ以外の個別の取組方針として①DC向けソリューション強化、②個別空調強化、③工事・メンテナンス事業強化、④再エネ蓄熱水素強化の4点を掲げており、取組事項は当初のものを据え置いています。
①のDC向けは現状250億円程のTAMに過ぎないものの、国内勢・外資系ともにDCの新規開発案件が増大しているほか、クラウド利用増やサーバーの高性能化による発熱量の増加で空調機能向上が求められているため、水AHUで圧倒的な強みを持つ当社にとってはこれ以上ない事業環境となっています。またDC同様に、生成AIをはじめとした半導体工場向けも同様の高品位が要求されるほか、案件急拡大が続いており、新生産方式への移行のために既に受注を抑制している模様です。
➁の個別空調強化の取組として、2017年にダイキン工業と資本業務提携(被出資4.9%)し、ヒートポンプAHUの製造販売に参入しています。水AHUより環境負荷があるものの、従来型ヒートポンプの需要も根強く、個別空調市場取込のための戦略商材として位置付けています。他方、中国については上海子会社(持分50%)が価格競争に巻き込まれているほか、目下の景気後退と不動産開発案件の急減でなかなか浮上出来ないものの、絶好調の国内でカバーする見通しです。
株主還元については、今次中計より従来配当方針の「配当性向24%~34%」を「配当性向50%目標&DOE3.5%下限」にフォーミュラを大きく変更しています。これにより進行期の予想配当は年30円の増配となる年135円配当(配当性向49.1%)を見込んでいます。なお当社はネットキャッシュ150億円にくわえ、145億円程の有価証券(高砂熱学工業や三機工業など)を抱えるなど好財務体質であり、これらを原資とした散発的な自社株買い等も期待出来ます。
*参考記事① 2024-02-26 3,125円 OP
【6458】新晃工業/データセンター向け空調快走&課題の中国復調で、中計前倒しで増額ローリング。
*参考記事➁ 2023-09-04 2,044円 OP
【6458】新晃工業/国内データセンター向け空調が伸長、供給体制正常化で改めて期待。
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