【7456】松田産業/金市況の活況継続、北九州新工場も期待出来るが、株主還元意欲は薄い。 | なちゅの市川綜合研究所

なちゅの市川綜合研究所

「別に勝たなくてもいいので、負けないこと」を志向しております。
本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報等に基づき、作成されています。
当ブログの情報に全面的に依拠することはお控えいただき、最終的なご判断はご自身でお願いいたします。

image

【7456】松田産業(東証プライム)  OP

現在値 3,110円/100株 P/E 10.6  P/B 0.86  3月配当優待 9月配当

電子部品スクラップから貴金属を回収、電子材料・地金の形で販売。
配当は3月末・9月末の年2回・計70円配当であり、配当利回りは2.25%となります。

松田産業は株主優待制度を導入しており、100株以上保有の3月末株主に2,000円分のクオカードを進呈しておりますので、配当優待利回りは約2.89%となります(1年以上の継続保有が条件)。

業績を確認していきます。  

■2022年3月期 売上高 2,722億円、経常利益 137.3億円、EPS 366.4円 

■2023年3月期 売上高 3,510億円、経常利益 138.0億円、EPS 371.7円 

■2024年3月期 売上高 3,605億円、経常利益 105.5億円、EPS 280.2円 

■2025年3月期 売上高 3,800億円、経常利益 110.0億円、EPS 293.2円 ce

□2024年6月1Q 売上高 1,117億円、経常利益 37.3億円、EPS 99.5円(8/9)

□2024年9月2Q  売上高 1,680億円、経常利益 50.0億円、EPS 133.1円 ce


2024年3月期の売上高はYoY+2.7%の3,800億円、経常利益はYoY▲23.8%の110.0億円となり、減益ながらも対計画は上振れとなりました。主力の貴金属事業については、金市況高騰にともなう宝飾品リサイクル需要が好調に推移した一方、調整局面を迎えた電子デバイス業界向けが一服となり、取扱数量が減少しました。他方で食品事業については、訪日客増加に伴う外食向け等の数量増が寄与し、水産品など一部弱含み商材があったものの、増収増益を確保しています。

進行期である2025年3月期の通期予想については、売上高はYoY+5.4%の3,800億円、経常利益はYoY+4.3%の110.0億円を予想しています。貴金属事業については、金相場の活況を背景に宝飾分野のリサイクルの好調が持続するほか、低調だった電子デバイス分野の生産回復も見込まれます。他方、食品事業については数量拡大を前提としつつも、販管費増で横ばいの想定です。8月9日に開示済の1Qは売上高1,117億円&経常益37.3億円で進捗しており、上振れ圏と解されます。

 

当社は2026年3月期を最終年度とする4年中計で売上高を2,722億円→3,000億円に、営業利益を126億円→130億円へと其々引き上げる計画としています。22年、23年の好業績は新型肺炎禍における貴金属市況高騰に起因した“追い風参考記録”のため、利益計数については4ヵ年で横ばいの想定です。今次中計での取組方針は、①積極投資による基盤強化と収益源創出、②体制強化、③ESGの3本立てとなっています。

 

今次中計では300億円の投資枠を設定しており、貴金属事業において、2021年に北九州に18千坪の施設用素地を取得したほか、2022年には入間に延床5千坪の工場及び敷地を70億円で取得しています。特に九州はシリコンアイランド化が急速に進展しているため、北九州は本年の第1期のロジ稼働から恩恵が期待されるほか、入間も工場機能拡充のため20億円・29億円と断続的に資金を投じます。

 

なお300億円の投資枠には、老朽化設備リプレイスのCAPEXも含まれており、償却費負担は新設分も含め漸増傾向にあります(進行期で▲27億円/年)。そのため目下の貴金属活況のうちに、期待の北九州工場の前処理・後処理の機能拡充投資と新規顧客開拓が目論見通り進められるかがポイントであり、その辺の“種蒔き”の進捗が投資論点と判断されます。

 

株主還元については、10円増配の年70円配当(配当性向23.8%)を予想しています。高水準の自己資本比率(61.2%)を鑑みればなお還元余地があるほか、会社側もいわゆるPBR1.0倍割れも意識しているものの、対策として投資家対話強化によるIR対策などが取組事項として挙げられているため、ストレートに株主還元強化による株価対策を考えている訳ではなさそうです。


*参考記事① 2023-09-26  2,379円 OP

【7456】松田産業/電子デバイス向け低調も、株主還元姿勢には変化もみられる。

 

*参考記事② 2022-08-23​​​​​​ 2,337円 OP

【7456】松田産業/貴金属市況高騰裏に積極投資を継続、好業績も株主還元は物足りぬ印象。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。

 

にほんブログ村 株ブログ 株主優待へ にほんブログ村 株ブログ IPO・新規公開株へ にほんブログ村 株ブログ サラリーマン投資家へ