【9201】日本航空/全損機のA350-900は全額保険でカバーも、国内旅客はやや低調気味。 | なちゅの市川綜合研究所

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【9201】日本航空 (東証プライム)   OP

 

現在値 2,399円/100株 P/E 10.4  P/B 1.16  3月配当優待 9月配当優待*

国内線・国際線ともに2位。傘下にLCC・ジップエア。中国、豪州系も。
配当は3月末・9月末の合計80円のため、配当利回りは3.33%となります。

日本航空は株主優待制度を導入しており、3月末の単元株保有株主に対して、国内便が半額になる株主割引券を進呈しておりますので、1枚1,000円換算した場合の優待利回りは約3.75%となります。(※2単元保有の場合には、9月にも追加で1枚発行されます。)

 

業績を確認をしていきます。
■2021年3月期 売上高 4,812億円 税前利益▲4,040億円 EPS▲756円
■2022年3月期 売上高 6,827億円 税前利益▲2,466億円 EPS▲406円

■2023年3月期 売上高 13,755億円 税前利益 524億円 EPS 78.8円 

■2024年3月期 売上高 16,518億円 税前利益 1,393億円 EPS 218円

■2025年3月期 売上高 19,300億円 税前利益 1,700億円 EPS 228円 ce

□2024年6月1Q 売上高  4,240億円 税前利益 212億円 EPS 32円(7/13) 
□2024年9月2Q 売上高  9,600億円 税前利益 840億円 EPS 135円 四e

 

2024年3月期の売上高はYoY+20.1%の16,518億円、税前利益は同*2.65倍の1,393億円となり、対前・対計画で増益となりました。国際線旅客数は供給増(ASK同+24.4%)に対して訪日客増加が寄与し、RPKは同+36.2%まで一段増となりました。他方で国内線は供給横ばい(ASK同▲0.2%)に対して旅客数は低迷したものの、単価増により計画線(RPK同+15.9%)の収入を確保しました。利益面は収入増と燃料費の高騰一服による良化のほか、年初の航空事故によるA350全損(▲150億円)も全て保険金でカバーして大幅増益となりました。


2025年3月期の通期予算については、売上高がYoY+16.8%の19,300億円、税前利益は+17.1%の1,700億円を予想しています。国際線ASKは同+5.6%/RPK+9.4%、国内線ASKは同+0.8%/RPK+2.3%と続伸を見込み、国際線は好調な北米路線を筆頭に単価増が見込まれるほか、回復基調にある訪日客と低調な日本人出国者の底入れも期待されます。他方で国内線は出張・旅行客の戻りが想定より緩慢となる見通しです。利益面については、円安によるコスト増(※サーチャージ無し国内線)や人件費増が重しとなり、増収幅並みの増益に留まる見込みで、7月31日公表の1Qの税前益も212億円と低調に推移しています。

 

当社は毎年ローリング方式で中計を策定しており、最新の3年中計では翌2026年3月期にEBIT(*税前利益に60億円程の金融費用を足し返したもの)を1,425億円→2,000億円に引き上げる計画としています。旅客の回復のほか、構造改革の進展もあって終わった期の時点で新型肺炎禍前の利益水準を回復しています。そのため、1年前時点の目標額1,850億円に対し、事実上150億円の増額修正を行っています。


①FSC/国際線は、回復基調にある訪日客と出国者の取り込みを進めるため、エアバスの新機材A350-1000を11機体制にまで拡充し、高単価の維持を図ります。FSC/国内線については、ビジネス需要の回復が想定より緩慢なほか、サーチャージを取れないため円安と油価高騰が利幅を圧迫することから、値上げとイールドマネジメントで対処します。LCCはジップエアを10機体制に拡充し北米西海岸・アジア線を拡大します。

 

財務状況については、新型肺炎禍後もANA比で優良な財務状況となっており、自己資本比率は32.6%を維持しています。株主還元については、「株主資本配当率(DOE)3%超、配当性向35%、総還元性向35~50%」としており、進行期は年5円の増配となる年80円配(灰と性向35%)を予想しています。

 

*参考記事① 2019-09-03  3,313円 BY

羽田枠は11.5便増加で決着、高水準の株主還元続く・日本航空(9201)。

 

*参考記事② 2018-09-05  4,058円 OP

油価上昇が気掛かりも、修正中計の株主還元強化は評価・日本航空(9201)。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 

特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に 

基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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