【9142】九州旅客鉄道/中計営業益570億円は過達圏、値上げ申請通れば翌期より大幅増益も。 | なちゅの市川綜合研究所

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【9142】九州旅客鉄道 (東証プライム) OP

 

現在値 3,910円/100株 P/E 14.5  P/B 1.40  3月配当優待 9月優待

 

JR九州。新幹線運営、在来線は観光列車に強み。多角化推進し、不動産や流通も。

配当は3月一括の年93円予想のため、配当利回りは約2.38%となります。

 

JR九州は鉄道は株主優待制度を導入しており、3月末の単元株主に電車全線乗車証(1日乗り放題)を1枚進呈しているほか、グループ各社で使える2,500円相当の各種割引券を進呈しております。そのため、全線乗車証を1枚3,000円で換算した場合の配当優待利回りは約3.78%となります。

 

業績を確認していきます。

■2022年3月期 売上高 3,295億円、営業利益 39.4億円、EPS 84.3円 

■2023年3月期 売上高 3,832億円、営業利益 343億円、EPS 198.4円 

■2024年3月期 売上高 4,204億円、営業利益 470億円、EPS 244.6円

■2025年3月期 売上高 4,410億円、営業利益 573億円、EPS 268.5円 ce

□2024年6月1Q 売上高 1,041億円、営業利益 147億円、EPS 72.6円(8/6) 

□2024年9月2Q 売上高 2,100億円、営業利益 300億円、EPS 162.3円 四e

 

2024年3月期の売上高はYoY+9.7%の4,204億円、営業利益はYoY+37.2%の470億円となり、対前・対予算で増収増益となりました。主力の運輸事業は定期YoY104.0%&定期外同124.3%となり、なお平時比以下(95.8%)ながらも訪日客増で定期外が回復しました。また不動産事業も主要既存駅ビルの商業施設賃収やホテルの単価・稼働率ともに想定超となりました。利益面については、鉄道修繕費反動増も電気代が想定以下となり、大幅増となりました(最終益で災害特損▲10億円)。

 

進行期である2025年3月期の通期予算については、売上高がYoY+4.9%の4,410億円、営業利益はYoY+21.7%の573億円を予想しています。運輸事業は平時比定期93%&定期外98%と概ね横ばい圏を想定している一方、不動産事業のファンド/REIT・住戸分譲が案件減少します。他方で利益面については一過性修繕費の剥落や、好採算の不動産賃貸事業の通期稼働効果により、2割増駅を見込みます。なお8月6日開示済の1Qは、売上高1,041億円&営業益147億円と計画線で推移しています。

 

当社は2031年3月期を終期とする長計で売上高6,000億円&営業利益700億円を目指す一方、この2025年3月期の3ヵ年中計において売上高を3,328億円→4,400億円に、営業利益を27億円→570億円に引き上げる目標ですが、進行期予算(計画比+3億円の営業益573億円)に照らせば達成圏となります。今次中計3年間の取組事項は①事業構造改革、➁まちづくり創造、③新領域開拓の3点を掲げており、計画期間の投資枠として3,400億円を設定しています。

 

①は運輸事業のマルチタスク化といったBPR施策で固定費削減目標額の▲140億円/年、を既に達成していることから、目下では鹿児島本線一部区間での自動運転の実証実験や傘下のホテル4社の再編・統合にも着手しています。➁は2022年開業の西九州新幹線(長崎~武雄温泉)による上乗せ効果のほか、佐賀駅高架下改装や新長崎駅ビル・マリオットホテル、高級温泉旅館の「嬉野八十八」を相次いで開業しており、此方も一連の開発としてはほぼひと段落付いている状況です。

 

博多・天神で再開発の進む福岡域では、3月竣工のオフィスビル「コネクトスクエア博多」が満床間近のほか、物流施設の開発取得や九大箱崎校舎跡地再開発事業(JV)に参画するなどしています。③の新領域はJR九州建設HDを設立し、傘下の設計・建築・土木・設備事業会社でのPFI等の共同受注や購買の共通化、DX推進など営業・コスト削減の両面で効率化を図ります。これら3点の取組以外に、本年7月に15%の運賃制度見直し(減価償却費の総括原価算入ほか)を国交省に申請しており、翌中計期間となる2025年3期からの寄与が期待されます。

 

財務状況については、自己資本比率は40.5%と安定しています。当社はJR他社比で不動産事業の割合が高く、鉄道事業の設備投資にも資金需要が存在していることから、私募REIT等の活用で更なる財務改善を図る方針です。そのため配当については、年93円配(配当性向34.6%)予想を横引いているものの、上述の運賃見直しが通れば大幅増益が見込まれるため、増配含みと解されます。

 

*参考記事① 2024-03-12  3,557円 OP

【9142】九州旅客鉄道 /足許では定期収入も復調、減価償却費の総括原価方式算入にも期待。

 

*参考記事② 2023-09-15  3,207円 OP

【9142】九州旅客鉄道/柱の不動産業を中心に順調に回復も、中計達成はややハードルが高い。

 

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