【9001】東武鉄道 (東証プライム) BY
現在値 2,486円/100株 P/E 11.9 P/B 0.94 3月配当優待 9月優待
関東民鉄で路線最長、北関東地盤。東京スカイツリー軸に再開発推進。
配当は3月末・9月末合計年50円配予想のため、配当利回りは約2.01%となります。
東武鉄道は株主優待制度を導入しており、3月末と9月末の年2回、2単元を保有する株主に対して電車全線乗車証を2枚進呈しているほか、東武グループ各社で使える各種割引券を進呈しております。そのため、全線乗車証を1枚1,390円で換算した場合の2単元保有時の配当優待利回りは約3.13%となります。なお、1単元保有の場合は優待が年1回に制限されますが、その場合でも利回りは表記のとおりとなります。
業績を確認していきます。会計基準第29号の新収益認識基準に変更しています。
■2022年3月期 売上高 5,060億円、営業利益 247億円、EPS 64.4円 新収益
■2023年3月期 売上高 5,920億円、営業利益 410億円、EPS 111.6円
■2024年3月期 売上高 6,359億円、営業利益 738億円、EPS 232.9円
■2025年3月期 売上高 6,390億円、営業利益 620億円、EPS 208.0円 ce
□2023年6月1Q 売上高 1,499億円、営業利益 213億円、EPS 72.0円(8/5)
□2023年9月2Q 売上高 3,100億円、営業利益 320億円、EPS 104.6円 四e
2024年3月期の売上高はYoY+3.5%の6,359億円、営業利益はYoY+30.3%の738億円となり、3Qの再増額見通しを上回って着地しました。主力の運輸事業については定期内・外でYoY101～103％程度の予算前提に対し、定期YoY108％＆定期外同113％と旅行需要の回復で定期外が一段と回復しました。レジャー事業については、CY銀座、AC銀座ほか各ホテルが訪日客効果で稼働率が8割前半まで回復し、スカイツリー入場者数も449万人(計画301万人)まで一段増となりました。なお不動産事業も、獨協大学前の商業施設開業や分譲価格上昇で増益を確保しています。
進行期である2025年3月期の予算については、売上高がYoY+0.5%の6,390億円、営業利益はYoY▲16.1%の620億円を予想しています。運輸事業は旅客数の回復一巡により定期101％&定期外102％とほぼ横ばいを見込むほか、レジャー事業は好調なホテル続伸もスカイツリーは横ばい、行政の旅行支援剥落で旅行代理店業は続落を見込みます。8月5日開示済の1Qは売上高1,499億円＆営業益213億円とまずまずの進捗となっています。
当社は新型肺炎禍からの体制立て直しの準備期間として、進行期まで意図的に中計を策定してこなかったものの、回復の目安となる営業益目標の538億円を早々に達成しています。然しながら、今般公表となった新3年中計については、最終年度の2028年3月期の営業利益が740億円(直近実績:738億円)とほぼ横ばい圏を想定しているほか、有利子負債/EBITDA倍率6倍台、ROE8%を其々設定しており、計画期間中の投資額は2,700億円を見込みます。
新中計での取組事項については、①成長事業確立、②事業基盤(沿線)の継続強化、③新規事業育成の3点を挙げています。①は訪日客の取込最大化を企図し、2028年以降開業となるホテルの新規投資等に450億円を投じます。新規は銀座、八重洲、大阪の案件を見込むほか、既存施設の改装も推進します。また、当社観光資源である日光のブランディングにも注力し、スペーシアXの増発や日光MasSを刷新し、取込を強化します。
②の事業基盤強化については、当社グループ最大のターミナル駅である池袋駅・西口エリアの再開発に着手しており、本年度中の都市計画決定を目指して地権者調整を進めます。また、越谷・竹ノ塚・春日部・朝霞台といった集客拠点駅の駅ビル/高架下の再開発を推進し、中間駅(緩行停車駅)への人流創出・定住人口の増加を目指します。
財務状況については、自己資本比率は31.4%まで更に良化が進む一方、池袋駅西口の再開発の資金需要(事業費1,000～2,000億円)が見込まれています。株主還元については、今次中計期間では総還元性向30%を志向し、横ばいの年55円配(配当性向24.0％)を予想しており、現値では自社株買いも想定されうるものの、上述の資金需要の存在から抑制的な規模に留まる見込みです。
*参考記事① 2023-08-24 3,856円 NT
【9001】東武鉄道/定期外運輸・ホテル・スカイツリーとも想定超で回復、はや通期増額圏。
*参考記事② 2022-09-16 3,375円 NT
【9001】東武鉄道/インバウンド復活で定期外収入増加期待、1Q順調進捗で上振れか。
*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 
特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。
