【8697】日本取引所グループ/中計は1年前倒し達成も、進行事業年度は波乱相場で不透明感も。 | なちゅの市川綜合研究所

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【8697】日本取引所グループ(東証プライム)  OP

現在値 3,318円/100株 P/E 32.3  P/B 5.53  3月配当株主優待 9月配当

現物は東証、デリバティブは大阪に集約。商品先物取引吸収が課題。
配当金は3月末・9月末の合計62円配当のため、配当利回りは1.87%となります。

日本取引所グループは株主優待制度を実施しており、3月末に100株以上を保有する株主に対して、1,000円分のクオカードを進呈しておりますので、配当優待利回りは約2.16%となります。なお、3年間の長期保有により、段階的に4,000円分まで増額されますので、配当優待利回りは最大で約3.07%となります。

業績を確認していきます、当社はIFRS採用となっています。  

■2022年3月期 営業収益 1,354億円、純利益 499億円、EPS 94.4円 

■2023年3月期 営業収益 1,339億円、純利益 463億円、EPS 88.0円 

■2024年3月期 営業収益 1,528億円、純利益 608億円、EPS 116.8円

■2025年3月期 営業収益 1,520億円、純利益 535億円、EPS 102.8円 ce
□2024年6月1Q 営業収益 403億円、純利益 157億円、EPS 30.3円(7/30)

□2024年9月2Q 営業収益 780億円、純利益 290億円、EPS 55.7円 四e

2024年3月期の営業収益はYoY+14.1%の1,528億円、純利益はYoY+31.2%の619億円と対前・対予算で増収増益となりました。主力の取引関連収益は日本株市場の活況を受けて現物株の1日当たり現物売買代金が3.84兆円→5.00兆円に増加したほか、先物・商品デリバティブも軒並み2桁増を確保しました。また上場関連収益については、PRO市場への上場増加でIPO数が110社→131社と大幅増となったほか、既上場企業のPO・三割やREITのPOもまずまずとなり、新規・追加上場料が増加しました。

進行期である2025年3月期の予算については、営業収益がYoY+0.6%の1,520億円、純利益はYoY▲12.0%の545億円を計画しています。予算前提となる各種KPIは、現物売買代金を横ばいの5.0兆円、デリバティブの取引高(TPX先、225先)を合計約297千単位でそれぞれ置いており、トップラインは微増前提としていますが、7月・8月の暴落で新規上場・PO等の先行きが不透明な状況です。なお利益面については、次期現物システム稼働影響による費用増で減益想定となります。

 

当社はこの2025年3月期を最終年度とする3年中計で、営業収益を1,354億円→1,470億円、純利益508億円→530億円に引き上げる計画としており、既に1年前倒しで達成しているものの、減益予想となる進行期でも過達となる見込みです。今次中計ではITシステム投資等に500億円を投じるとともに、取組事項として①市場整備と成長促進、②マーケット・トランスフォーメーション(MX)実現、③サステナ推進の3軸を挙げています。

 

①はETF売買代金+30%(従来比)を目標に新商品の上場促進に取り組むほか、証券会社・監査法人らと協業してアジアを中心としたクロスボーダーIPO/20件を目指します。②はデリバ市場の小口商品化や個人投資家向けの開拓、祝日取引開始によるボリューム増加、2024年までにデジタル商品化市場(※当初はグリーン債のSTO発行)の開設と取引開始を目指します。③はESG関連指数の算出を既に開始したほか、電力先物の取引高5倍&LNG先物上場を目指す計画ですが、①・➁・③のいずれも大して進捗していない模様です。

 

株主還元は従前通りの配当性向60%基準を維持しており、今期は特別配当剥落と減益による普通減配でYoY▲29円の年62円配当(配当性向60.2%)を予想しています。

 

*参考記事① 2023-08-02 2,475円 OP

【8697】日本取引所グループ/活況裡に売買ボリューム増勢も、自社株取得枠を未消化終了。


*参考記事➁ 2022-08-25 2,161円 OP

【8697】日本取引所グループ/売買代金は概ね予算線推移、自社株買いによる追加還元が待たれる。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。

 

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