【8697】日本取引所グループ/活況裡に売買ボリューム増勢も、自社株取得枠を未消化終了。 | なちゅの市川綜合研究所

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【8697】日本取引所グループ(東証プライム)  OP

現在値 2,475円/100株 P/E 26.3  P/B 4.18  3月配当株主優待 9月配当

現物は東証、デリバティブは大阪に集約。商品先物取引吸収が課題。
配当金は3月末・9月末の合計57円配当のため、配当利回りは2.30%となります。

日本取引所グループは株主優待制度を実施しており、3月末に100株以上を保有する株主に対して、1,000円分のクオカードを進呈しておりますので、配当優待利回りは約2.70%となります。なお、3年間の長期保有により、段階的に4,000円分まで増額されますので、配当優待利回りは最大で約3.91%となります。

業績を確認していきます、当社はIFRS採用となっています。  

■2021年3月期 営業収益 1,333億円、純利益 513億円、EPS 96.0円 

■2022年3月期 営業収益 1,354億円、純利益 499億円、EPS 94.4円 

■2023年3月期 営業収益 1,339億円、純利益 463億円、EPS 88.0円 

■2024年3月期 営業収益 1,345億円、純利益 490億円、EPS 93.9円 ce
□2023年6月1Q 営業収益 369億円、純利益 177億円、EPS 34.0円(7/28)

□2023年9月2Q 営業収益 692億円、純利益 245億円、EPS 47.1円 四e

2023年3月期の営業収益はYoY▲1.1%の1,339億円、純利益はYoY▲7.2%の463億円と減収減益(対予算では上振れ)となりました。主力の取引関連収益は市況回復に伴い現物株の1日当たり現物売買代金が3.76兆円→3.84兆円に増加し、先物デリバティブも軒並み堅調だったものの、コモディティについては軟調に推移しました。また上場関連収益については、IPO数が133社→110社と大幅減となったほか、既上場企業やREITのPOも同様に大幅減となり、新規・追加上場料が減少しました。

進行期である2024年3月期の予算については、営業収益がYoY+0.4%の1,340億円、純利益はYoY+5.7%の490億円を計画しています。予算前提となる各種KPIは、現物売買代金を横ばいの3.8兆円、デリバティブの取引高(TPX先、225先)を合計約300千単位でそれぞれ置いており、トップラインは微増前提としていますが、既開示の1Q及び日報・月報等によれば計画超の推移が確認されます。他方で利益面については、退職給付金積み立て反動増や光熱費等の経費増を織り込み、増益を見込んでいます。

 

当社は翌2025年3月期を最終年度とする3年中計を策定しており、営業収益を1,354億円→1,470億円、純利益508億円→530億円に引き上げる定量目標を掲げるとともに、ITシステム投資等に500億円を投じます。今次中計の基本方針としては、①市場整備と成長促進、②マーケット・トランスフォーメーション(MX)実現、③サステナ推進の3軸を挙げていますが、業績目標の達成はあくまで市況次第となります。

 

①ではETFの市場の成長を目指し、今次中計前比で売買代金+30%を目標に新商品の上場促進に取り組むほか、アジアを中心としたクロスボーダーIPOを促進し、20件(当初30件から下方修正)の上場を目指します。②はデリバ市場の小口商品化や個人投資家向けの開拓、祝日取引開始によるボリューム増加、2024年までにデジタル商品化市場(※当初はグリーン債のSTO発行)の開設と取引開始を目指します。③はESG関連指数の算出を既に開始したほか、最終年度までに電力先物の取引高5倍&LNG先物上場を目指すこととしています。
 

株主還元は従前通りの配当性向60%基準を維持しており、今期は記念配当剥落▲10円と普通増配+4円で年57円配当(配当性向60.7%)を見込んでいます。なお、本年1月より実施した最大200億円の自社株買い(最大3.8%)については、126億円(実績1.2%)と中途半端な取得量で終了しています。


*参考記事① 2022-08-25 2,161円 OP

【8697】日本取引所グループ/売買代金は概ね予算線推移、自社株買いによる追加還元が待たれる。

 

*参考記事② 2021-07-07 2,475円 OP

【8697】日本取引所グループ/障害再発防止にリソース割かれるが、総還元性向100%超は評価。

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。

 

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