【8237】松屋/訪日客爆戻りで免税売上が一段増、1Q段階で通期見通しを倍額まで強烈修正。 | なちゅの市川綜合研究所

なちゅの市川綜合研究所

「別に勝たなくてもいいので、負けないこと」を志向しております。
本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報等に基づき、作成されています。
当ブログの情報に全面的に依拠することはお控えいただき、最終的なご判断はご自身でお願いいたします。

image

【8237】松屋(東証プライム)  OP


現在値 1,107円/100株  P/E 19.5  P/B 2.17 2月優待配当 8月配当

呉服店発祥の名門百貨店。銀座本店と浅草店の2店体制。独立路線。
配当は2月末・8月末、合計10円のため配当利回りは0.90%です。

松屋は株主優待制度を実施しており、100株以上を保有する2月末・3月末株主に対して、利用上限のない10%割引買物カードを進呈しております。また、有料の催事が2人分まで無料になりますので、入場料1,000円の催事に2人で年1回行った場合の配当優待利回りを算出すると、およそ約2.71%となります。

業績を確認していきます。  

■2022年2月期 売上高 650億円、営業利益▲22.8億円、EPS 18.9円

■2023年2月期 売上高 344億円、営業利益 3.4億円、EPS 82.6円 

■2024年2月期 売上高 412億円、営業利益 29.7億円、EPS 49.5円

■2025年2月期 売上高 480億円、営業利益 50.0億円、EPS 56.5円(7/12)ce修正

□2024年5月1Q 売上高 117億円、営業利益 11.3億円、EPS 13.6円(7/12) 
□2024年8月2Q 売上高 205億円、営業利益 6.0億円、EPS 7.7円 四e

2024年2月期の売上高はYoY+19.9%の412億円、営業利益は同*8.5倍の29.7億円となり、3Q時点の再増額見通しを上回って着地しました。銀座エリアにおける訪日客の顕著な回復傾向で入客増となったほか、高額品好調によるミックスの良化等もあり、免税売上高は過去最高を(2015年)大きく更新しました。国内客も化粧品売り場の改装効果だけでなく、外商の高額品が好調に推移し、結果的に銀座店の売上高はYoY+35%、浅草店も同+7.2%となりました。

なお進行期である2025年2月期の通期見通しについては、1Q時点で早くも増額しており、売上高はYoY+16.4%の480億円(期予:435億円)、営業利益はYoY+68.1%の50.0億円(期予:25.0億円)に修正しています。既開示の4ヶ月累計月次は、旗艦の銀座店で訪日客回復恩恵をフル享受しているほか、国内富裕層の高額消費意欲も依然旺盛なため、YoY+30%を超える極めて高い水準で推移しています。そのため、EC投資や人件費増といったコスト増を軽く飲み込んで、大幅な増収増益基調が継続する見通しです。

 

当社はこの2025年2月期を最終年度とする3年中計で、(総額)売上高を650億円→830億円に、営業利益を▲22億円→16億円に其々引き上げる計画としていますが、既に1年前倒しで大幅な超過達成を果たしています。進行期も“数字潰し”のため、人件費や新規事業等といった費用増を追加的に織り込むものの、それでも当初目標の2倍弱の営業益を確保する公算です。なお今次中計では事業戦略として①百貨店事業の収益力強化、②事業ポートフォリオの見直しの2点を掲げています。

 

①は化粧品やラグジュアリー/高額品強化といったMD施策にくわえ、ID会員と呼ばれるハウスカード所持客へのCRM強化を推進し、会員売上比を47%→60%まで引き上げる方針です。特に湾岸部若年富裕層等の成長が著しい外商分野に注力し、コンサルティング営業の強化や銀座近隣路面店のラグジュエリーブランドとの提携を促進し、顧客送客&当社消化仕入取引で売上拡大を目論みます(※神戸大丸と近隣の旧居留地路面店の面的な営業施策に近い)。

 

➁は保有不動産の活用を進める方針であり、ヒューリックらと銀座コアビルの再開発を推進します。2027年に竣工するテナントビルの容積は延床8,000坪弱まで拡大し、大幅な賃収増が期待されます(※建替費用捻出のためヒューリックに敷地一部を売却)。また2021年に東京高速道路から追加持分を取得して子会社化した銀座インズは、人流回復で稼働率が改善しており、更なる賃収増が期待されます。

 

株主還元については、横引きの年10円(配当性向17.6%)を据え置いております。自己資本比率は36.8%と引き続き良化傾向にあるものの、不動産再開発の資金需要を考慮して、配当性向を2割程に絞っているものとみられますが、空前の好業績を踏まえれば増配含みと解されます。
 

*参考記事① 2024-01-16  1,107円 OP

【8237】松屋/銀座エリアの訪日客戻り強烈で、中計は1年前倒しで大幅超過達成へ。

 

*参考記事② 2020-07-03 667円 NT

【8237】松屋/国内客への再シフトは道半ば、催事見送りなら集客厳しい。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


このエントリーをはてなブックマークに追加にほんブログ村