【3048】ビックカメラ/訪日客回復順調で増額&増配、次回本決算時公表の新中計を見極めたい。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3048】ビックカメラ(東証プライム) NT

現在値 1,521円/100株  P/E 29.5  P/B 1.80 8月配当優待 2月配当優待

家電量販大手。ターミナル駅周辺で大型店。傘下にソフマップ・コジマ。
配当実績は2月末・8月末の合計21円のため、配当利回りは約1.38%となります。

ビックカメラは株主優待を実施しており、2月末・8月末に100株以上を保有する株主に対し、年3,000円分の優待券を進呈しておりますので、配当優待利回りは約3.35%となります。なお1年以上の長期保有で+1,000円、2年以上の長期保有で+2,000円が追加されるため、配当優待利回りは最大で約4.66%まで上昇します。

業績を確認していきます。 2022年8月期より新収益基準に移行しています。

■2021年8月期 売上高 8,340億円、経常利益 216億円、EPS 49.8円 

■2022年8月期 売上高 7,923億円、経常利益 208億円、EPS 33.2円 

■2023年8月期 売上高 8,155億円、経常利益 165億円、EPS 17.1円 

■2024年8月期 売上高 9,040億円、経常利益 214億円、EPS 51.4円 ce修正

□2024年2月3Q 売上高 4,475億円、経常利益 109.6億円、EPS 32.4円(4/12)


2024年2月期の売上高はYoY+9.8%の4,475億円、経常利益はYoY+30.2%の109.6億円となり、対前・対計画で増収増益となりました。都心中心の単体店舗はSSSは105.9%、郊外中心のコジマは同94.4%となり、コジマが“巣ごもり”反動減長期化で苦戦したものの、当社単体は携帯割引規制前の仮需や、訪日客の増加により好対照の結果となりました。商品別ではカメラ、理美容家電、携帯電話、時計等が軒並み2桁増となり、利益面についても水光費想定以下で大きく上振れました。


なお2024年8月期の通期見通しも増額しており、売上高はYoY+10.8%の9,040億円(期予:8,975億円)、経常利益はYoY+29.2%の214億円(期予:182億円)に修正しています。当初は単体の訪日客売上高はYoY1割増を見込んでいたものの、実際は中国人に限らず広域集客が出来ており、想定超で推移しています。買収したTDモバイル(豊田通商とデンソーの合弁の携帯販社)も通期貢献だけでなく、仮需もあって好調に推移しているほか、赤字を垂れ流していた水販売事業も“止血(新規獲得停止)“効果で損益が改善します。

 

当社はこれまで中期経営計画を策定してきていないものの、次回本決算では公表される旨が明らかにされています。目下の注力事項としては①実店舗強化、②EC強化、の2店を挙げられており、新型肺炎禍でのEC傾注で実店舗のケアが手薄になってしてしまったことから、現場への権限移譲で実店舗の底上げを図ります。コジマ店では販売研修を通じて好採算の白物家電の販売強化に注力するほか、ビック店では旗艦店の人員拡充や酒類販売の強化で更なる訪日客取り込みを図ります。

 

②のEC化率は、相次ぐ船橋の物流センター強化もあり、新型肺炎禍で7%から18%まで上昇したものの、15%以下の水準に低下しているものと解されます。ECで先行するヨドバシ追撃のためのカードであった、顧客粘着性の高い水宅配事業は減損済で撤退方針としており、既に事業譲渡先の探索に動いている模様です。そのため、当面はMDのロングテール化(2年で取扱品目を2倍化)やサイト刷新等の地味な“打ち手”に限られます。

 

財務面については、目下の自己資本比率は29.5%と一定水準をキープしています。配当予想は期中で3円増配しており、YoY6円増配の年21円(配当性向は40.8%)を予想しており、本来的な巡行水準である年20円配当を奪回しています。

*参考記事①  
2024-01-17  1,376円 NT

【3048】ビックカメラ/コジマの白物家電軟調継続も、単体都心店の訪日客増加で穴埋め。 

 

*参考記事② 2023-07-22 1,073円 OP

【3048】ビックカメラ/コジマの反動減長引く、宅配水事業先行投資も重く微減額。

 

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