【2925】ピックルスHD/1Qの出だしは低調。新工場償却負担も重く、値上げ待ちの展開。 | なちゅの市川綜合研究所

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【2925】ピックルスホールディングス(東証プライム)  NT

現在値 1,177円/100株  P/E  8.6  P/B 0.90  2月配当優待 8月配当


漬物業界首位。セブン&アイ向け3割。ご飯がススム、ブランド展開。22年に持株会社化。
配当金は2月末一括の年20円配当のため、配当利回りは1.70%となります。

ピックルスホールディングスは株主優待制度を実施しており、2月末に単元株を保有する株主に対して1,500円相当の自社製品等を進呈しておりますので、配当優待利回りは約2.97%となります。

業績をチェックしていきます。

■2022年2月期 売上高 450億円、営業利益 29.4億円、EPS 165.9円 

■2023年2月期 売上高 410億円、営業利益 15.3億円、EPS 88.8円 

■2024年2月期 売上高 430億円、営業利益 16.6億円、EPS 94.2円 

■2024年2月期 売上高 435億円、営業利益 17.0億円、EPS 96.4円 ce

□2024年5月1Q 売上高 108億円、営業利益 5.0億円、EPS 29.1円(6/28) 
□2024年8月2Q 売上高 228億円、営業利益 13.2億円、EPS 73.4円 ce  


2024年2月期の落着については、売上高はYoY+4.8%の430億円、営業利益はYoY+8.4 

%の16.6億円となり、対前・対予算で増収増益となりました。巣ごもり反動減の一巡や、コンビニフェアでの採用、主力の“ご飯がススム・キムチ”の増量CPが奏功しました。利益面についても、夏場の記録的猛暑による白菜・胡瓜価格の高騰があったものの、売上増と人件費計算方法の変更(原則法)による一過性影響が剥落し、計画線の増益を確保しました。


進行期である2025年2月期の予算については、売上高がYoY+1.1%の435億円、営業利益はYoY+1.9%の17.0億円を予想しています。販売を見送っていた長芋商品の発売再開や、コンビニでのフェアメニュー採用を前提とする一方、値上げしない想定で微増収を見込み、利益については広告費・物流費の増加を増収効果でネットして微増益を確保する計画です。なお6月28日に開示済の1Q決算は、売上高108億円&営業利益5.0億円で推移しており、ビハインドと解されます。

 

当社はローリング方式で中計を公表しており、2027年2月期を最終年度とする3年中計で、売上高を445億円(CAGR1.1%)、営業利益を17.4億円(CAGR2.4%)まで引き上げる計画としています。今次中計は新型肺炎禍後に策定された計画であり、仮に目標を達成しても“巣ごもり需要”で膨れ上がった業績水準には依然届かないほか、1年前に策定したロール前の計数との比較でも先々の見通しが悪化しています。

 

取組事項としては戦略投資に77億円を投じる方針であり、本年12月に白菜産地である茨城県(結城郡)にキムチ工場を新設します。茨城工場はマテハン導入による省人化・自動化を強化しており、生産能力を現行工場の2倍に引き上げます。他方でこの設備投資が重く、減価償却費が翌期に▲5億円、翌々期に▲4.3億円となるため、業績は横ばい圏に留まります。他方、まだ“ご飯がススム・キムチ”を値上げしておらず、それ次第では採算性が大きく良化する可能性を残しています。

 

当社はM&Aを活用した外部成長に強みを持っており、漬物業界は2位の東海漬物を押さえて首位となっており、中小企業が乱立する漬物業界にとっては、特需一巡や業界高齢化による廃業・倒産・原価増などでM&A機会自体は増加する公算が高く、業界のガリバーである当社は成長カタリストを秘めています。特に本年から食品衛生法が強化されるため、これによる廃業も“追い風”となる見込みです。

 

財務状況については、ネット無借金&自己資本比率は62.0%であり、依然として高水準をキープしています。株主還元は2円増配の年24円配を予想しているものの、配当性向は24.8%に過ぎず、会社側でもPBR1.0倍割れを意識し出しており、引き上げる意向がある模様です。

 

*参考記事① 2023-07-18  1,245円 NT

【2925】ピックルスホールディングス/巣ごもり反動減一巡、“ご飯がススム”の値上げが待たれる。

 

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