【2925】ピックルスホールディングス/巣ごもり反動減一巡、“ご飯がススム”の値上げが待たれる。 | なちゅの市川綜合研究所

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【2925】ピックルスホールディングス(東証プライム)  NT

現在値 1,245円/100株  P/E  13.5  P/B 0.90  2月配当優待 8月配当


漬物業界首位。セブン&アイ向け3割。ご飯がススム、ブランド展開。22年に持株会社化。
配当金は2月末一括の年22円配当のため、配当利回りは1.77%となります。

ピックルスホールディングスは株主優待制度を実施しており、2月末に単元株を保有する株主に対して1,500円相当の自社製品等を進呈しておりますので、配当優待利回りは約2.97%となります。

業績をチェックしていきます。

■2021年2月期 売上高 460億円、営業利益 27.1億円、EPS 142.9円 

■2022年2月期 売上高 450億円、営業利益 29.4億円、EPS 165.9円 

■2023年2月期 売上高 410億円、営業利益 15.3億円、EPS 88.8円 新収益

■2024年2月期 売上高 422億円、営業利益 16.2億円、EPS 91.4円 ce 新収益

□2023年5月1Q 売上高 114億円、営業利益 7.2億円、EPS 23.4円(6/30) 
□2023年8月2Q 売上高 221億円、営業利益 11.7億円、EPS 63.3円 ce  


2023年2月期の落着については、新収益基準への移行により単純比較出来ないものの、売上高はYoY▲2.7%の410億円、営業利益はYoY▲48.3%の15.3億円となり、予算比増収ながらも減益となりました。主力の“ご飯がススム・キムチ”の増量CPが好評だったものの、押しなべて“巣ごもり”特需が剥落したほか、生活防衛意識の高まりで伸び悩みました。利益面についても、原料野菜こそ仕入値が安定していたものの、その他材料費・光熱費・物流費が軒並み増となり、利益水準が大きく切り下がりました。


進行期である2024年2月期の予算については、売上高がYoY+2.8%の422億円、営業利益はYoY+5.3%の16.2億円を予想しています。物価高に起因する生活防衛意識が高まっているものの、好調な惣菜系商材の拡販により増収を見込みます。利益面については、各種原価増が重しとなるものの、内容見直しや価格転嫁により利益率改善を図ります。なお6月30日に開示済の1Q決算は、牛角系商材の投入奏功もあり、売上高114億円&営業利益7.5億円と順調に進捗しています。

 

当社は2026年2月期を最終年度とする中計を公表しており、向こう3ヵ年で売上高を430億円(CAGR1.6%)、営業利益を18.0億円(CAGR5.4%)まで引き上げる計画です。数値達成しても新型肺炎禍の“巣ごもり需要”で膨れ上がった売上水準には届かないばかりか、白菜・胡瓜価格こそ安定しているものの、調味料や梱包材の副資材価格が高騰しており、利益水準も一段と低下する見込みです。

 

取組事項としては戦略投資に89億円を投じる方針であり、各期で設備更新費用を見込むほか、関東にキムチ工場を新設するほか、関西にも新工場を設置します。このうち関東の茨城工場はマテハン導入による省人化を強化しており、今夏着工を予定しています。こうした設備投資にくわえ、主力商品である“ご飯がススム・キムチ”の値上げをまだ実施していないため、仮に改定することがあれば売上・利益ともに大きな上振れ要素となります。

 

他方、当社はM&Aを活用した外部成長に強みを持っています。漬物業界は2位の東海漬物、3位の秋本食品を押さえて当社が首位となっているものの、(パン食等代替品増加による)米飯需要の低下により漬物市場全体は成長していない状況です。それでも中小企業が乱立する漬物業界にとっては、特需一巡や業界高齢化による廃業・倒産・原価増などでM&A機会自体は増加する公算が高く、業界のガリバーである当社は成長カタリストを秘めています。

 

財務状況については、ネット無借金&自己資本比率は65.1%であり、依然として高水準をキープしています。株主還元については、記念配2円を普通配に切り替え、実質2円増配となる年22円配を予想しているほか、昨年末より実施した約5億円(3.5%)の自社株買いについては6月で買い切っています。

 

*参考記事① 2023-01-13 1,711円 NT

【8008】4℃ホールディングス/クリスマス需要不発で、12期連続の増配は“黄信号”か。

 

*参考記事② 2022-08-01  1,808円 NT

【8008】4℃ホールディングス/12期連続増配は実現微妙だが、株主還元は既にフル水準。

 

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