【3612】ワールド(東証プライム) OP
現在値 2,107円/100株 P/E 8.44 P/B 0.87 2月配当優待 8月配当優待
総合アパレル大手。SCから百貨店まで展開。構造改革進め18年再上場。MA積極化。
配当金は年2回・計75円のため、配当利回りは約3.56%となります。
ワールドは株主優待制度を実施しており、2月末・8月末時点で半年以上保有を継続する単元株主に対して、1,500円分の商品券を進呈しておりますので、配当優待利回りは約4.98%となります(なお3単元保有時は優待が5,000円分となるため、利回りが表記よりも上昇します)。
業績を確認していきます。進行期は11ヵ月変則決算となります。
■2022年3月期 売上高 1,713億円、営業利益 21.9億円 EPS▲7.7円
■2023年3月期 売上高 2,142億円、営業利益 116.8億円 EPS 152.7円 11m変則
■2024年2月期 売上高 2,023億円、営業利益 120.0億円 EPS 187.3円 ce
■2025年2月期 売上高 2,300億円、営業利益 155.0億円 EPS 238.8円
□2024年9月2Q 売上高 1,093億円、営業利益 73.0億円 EPS 118.4円 ce
2024年2月期は11ヵ月変則決算となり、売上高は計画比+1%の2,023億円、営業利益は同+9%の120.0億円となり、対前・対計画で増益となりました。主力のブランド事業は、百貨店向けMU業態(UNTITLED、INDIVI等)が書き入れ時の3月欠損で伸びを欠いたものの、SC向けMLの(OPAQUE.CLIP、THE SHOP TK等)の改善が進み、予算前提の平時比SSS86.4%をやや上振れる水準で着地しました。利益面については、ブランド売上の回復が牽引したほか、デジタル事業の二次流通(RAGTAG)の軌道化による採算良化が牽引し、人件費増(20億円)を飲み込んで増益となりました。
巡行復帰する2025年2月期の予算については、12ヵ月換算の実態比較で売上高がYoY+3%の2,300億円、営業利益はYoY+11%の155.0億円を見込んでいます。出退店は純増43店・前提SSSは102.9%でセットしており、ブランド事業は最高益を目指す一方、デジタル事業は横ばい圏の想定です。なおSSSは3ヶ月分が既開示となっており、想定超の早さで高気温化したことから、累計101%とやや弱含みの水準で進捗しています。
当社は2026年2月期を最終年度とする3ヵ年中計で、売上高を2,142億円→2,548億円、(コア)営業利益を135億円→190億円に引き上げる計数目標としています。進行期は中間年度となりますが、ガイダンスの(コア)営業利益170億円は中計通りのほか、会社側から順調な旨アナウンスされているため、現状はオントラックの推移と解されます。
今次中計での取組事項については、主力のブランド事業は①ブランド拡充、②マルチチャネル出店、③ブランド改廃の3軸を挙げています。①は有力セレクトショップのストラスブルゴ買収にくわえ、未開拓だったロードサイド&低価格業界業態を開発します。②は百貨店向けの「UNTITLED、INDIVI」等を駅ビル・FBから、越谷レイクタウンのような超広域SCへ出店レンジを拡大するほか、逆に郊外型廉価業態の「Shoo La Rue」等の都心部展開を進めます。
段階取得で約58%持分まで買い増したナルミヤ・インターナショナル(9275)は、百貨店向けのハイエンド品が好調に推移しているほか、SC向けの「プティマイン」「ラブトキシック」も順調に伸長しています。また、ナルミヤ側のECサイトに別ブランドを出店させる“相乗り”施策や、教育・研修の共通化、資材の共同調達等を既に実現しており、実際にナルミヤも最高益を叩き出しているため、想定通りのシナジーを創出出来ているものと解されます。
財務については、2018年の再上場時に公募と自社株売却で約400億円(@2,900円)を調達して優先株を償還しています。他方、新型肺炎禍後に調達した150億円の資本性の永久劣後ローンは、業績回復による財務余力回復から、50億円ずつ段階的に借入金に借換えを進めています。それでも目下の自己資本比率34.2%をキープしていることから、配当については19円増配の年75円配(配当性向31.5%)と大増配を予想しています。
*参考記事① 2023-08-19 1,661円 OP
【3612】ワールド/既存店化回復・構造改革ともに想定超で、当面は強含みが見込まれよう。
*参考記事② 2023-02-07 1,345円 OP
【3612】ワールド/百貨店中心に既存店回復顕著で3Q時点で超過達成、期末で増配か。
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