【3292】イオンリート投資法人/固定賃料にキャップされる一方、修繕工事のインフレ傾向が痛い。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3292】イオンリート投資法人(東証REIT) NT

現在値 132,400円/1株  P/E  20.6  P/NAV 0.86 1月分配 7月分配 投資主優待なし

イオングループをスポンサーとし、9割超が商業施設。海外物件(マレーシア)も保有。
予想分配金は年2回の合計6,690円のため、予想分配金利回りは約5.05%となります。

業績を確認していきます。 

■2022年7月期_第19期 営業収益 201億円、経常利益 66.9億円 DPU 3,274円

■2023年1月期_第20期 営業収益 199億円、経常利益 67.1億円 DPU 3,288円

■2023年7月期_第21期 営業収益 210億円、経常利益 70.4億円 DPU 3,350円

■2024年1月期_第22期 営業収益 210億円、経常利益 70.7億円 DPU 3,350円

□2024年7月期_第23期 営業収益 210億円、経常利益 67.0億円 DPU 3,335円ce修正

□2025年1月期_第24期 営業収益 210億円、経常利益 68.9億円 DPU 3,335円ce

 

2024年1月期_第22期の落着は営業収益が第21期比+0.2%の210億円、経常利益は同+0.4%の70.7億円、分配金は同変わらずの3,350円となり、ほぼ計画線の着地となりました。昨年1月PO(※後述)で取得した2物件の償却費用予実差がプラス寄与した一方、修繕費増加が重しとなったほか、台風8号による特別損失を受取保険金で埋めきれず、当期利益は減益となったものの、最終的には配当準備引当金取崩で分配金の帳尻を合わせました。

 

進行中の2024年7月期_第23期の見通しは微修正しており、営業収益は第22期比▲0.2%の210億円(従予:209億円)、経常利益は同▲5.2%の67.0億円(従予:70.3億円)、分配金は同横ばいの3,335円(従予:3,350円)に下方修正しています。トップラインはほぼ横引きとなる一方、修繕費の大幅増(368M)を織り込むことが主要因であり、大幅減配を避けるために修繕費見合いの配当準備引当金取崩(80M)のほか、一時差異のATA(27M)と資本払戻しのOPD(24M)で手当てし、微減配に留めます。

 

また今回初めて開示された2025年1月期_第24期の予想については、営業収益が第23期比変わらずの210億円、経常利益が同+2.8%の68.9億円、分配金は同変わらずの3,335円を見込んでいます。収入はサブリースでほぼ変わらずとなり、第23期の一過性修繕費が剥落する一方で、借入コストは増加します。分配金は配当積立準備金が尽きたことから、借地権償却と修繕費見合い分をATA(37M)とOPD(53M)で手当てして横引きます。

 

当法人は昨年1月のPOで104億円を調達し、2物件を取得しています。和歌山168億円(鑑定NOI6.0%)、都城駅前44億円(鑑定NOI7.1%)、と比較的高利回りで取得しています。インプライドを上回る取得となった本件取組により、巡行DPUは3,270円程から3,335円程まで約+2.0%成長させています。また、いなげやを傘下に収めたUSMHとサポート契約を締結し、パイプラインは3,000億円弱まで拡充されています。

 

中期目標としてAUM6,000億円&巡行分配金3,600円を掲げ直しているものの、“利益超過分配金込み”の目標としており、足許で運用実態は厳しくなっている印象です。最有力エンドテナントのイオンモールは固定賃料&長期契約主体でトップラインがキャップされている一方、モールの修繕費負担は日に日に大きくなっているほか、資金調達コスト増もあって、運用益がジリジリ削られている状況です。NAVも0.8倍台でPOも難しく、年104億円に上る減価償却費の創出CFの有効活用が望まれます。
 

*参考記事① 2024-01-05 141,400円 NT

【3292】イオンリート投資法人/株価低調で、年間109億円の減価償却費の使途を見極めたい。

 

*参考記事② 2023-06-24  154,100円 NT

【3292】イオンリート投資法人/巡行分配金が3,300円を超過、安定成長の継続が見込まれよう。

 

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