【9260】西本WismettacHD/意欲的な新中計策定も1Qで早々に減額修正、進捗率は低位。 | なちゅの市川綜合研究所

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【9260】西本Wismettacホールディングス (東証プライム) OP

現在値 4,305円/100株  P/E 7.69  P/B 0.73 12月配当優待 6月配当

日本食を軸としたアジア食品・食材を米国等で販売。サンキスト・レモンの日本総代理店。
配当金は12月末一括の年170.0円配当のため、配当利回りは3.94%となります。

西本Wismettacホールディングスは株主優待制度を導入しており、12月末に300株以上を保有する株主に対して、3,000円相当のグルメギフトコードを進呈していますので、配当金と合計した配当優待利回りは、約4.64%となります。

業績を確認していきます。

■2021年12月期 売上高 2,132億円、営業利益 73.0億円 EPS 350.3円 

■2022年12月期 売上高 2,752億円、営業利益 104.9億円 EPS 474.8円

■2023年12月期 売上高 3,008億円、営業利益 110.2億円 EPS 436.7円 

■2024年12月期 売上高 3,540億円、営業利益 120.0億円 EPS 560.7円 ce(5/15)

□2024年3月1Q 売上高 802億円、営業利益 14.0億円 EPS 64.7円(5/15)
□2024年6月2Q 売上高 1,650億円、営業利益 40.0億円 EPS 210.2円 ce

2023年12月期の売上高はYoY+9.3%の3,008億円、営業利益はYoY+5.0%の110.2億円となり、期初予想線で着地しました。アジア食事業については、北米域のレストラン・グロサリー向けが非常に好調に推移したほか、大手小売りチェーンへの販路拡大により増収となり、併せてPB品へのリプレイスや円安効果で採算性も改善しました。他方、“サンキスト”を中心とする農水産商社事業については、シェア拡大を優先して増収こそ確保したものの、柑橘類の生産不良や海運コスト上昇もあり、減収減益となりました。

なお進行期である2024年12月期の通期見通しは1Q時点で早々に減額しており、売上高はYoY+17.7%の3,540億円(期予:UNCH)、営業利益はYoY+8.9%の120.0億円(期予:150億円)を予想しています。アジア食事業については、グロサリー向けの拡販や伊Uniontradeの新規連結効果で増収見込みも、
好調だった北米レストラン向けが一服となるほか、農水産商社事業は国内の価格転嫁こそ順調に進むものの、海外の不安定な海上輸送や生育不良が尾を引く見込みです。尚、5月12日に開示済の1Qは売上高802億円&営業益14.0億円で推移しており、修正見通し比でも進捗率は低位となっています。


当社は進行期を最終年度とする従来3年中計で売上高を2,132億円→3,045億円、営業利益を73億円→100億円まで引き上げる計画でしたが、早々に過達状態となり、10月にロールしています。新中計では計画終期の2026年12月期までの3年間で売上高5,000億円&営業利益250億円に引き上げることとしており、①アジア食事業への集中投資、②独占栽培権を持つ国産青果物の海外製販への投資、③食産業ソリューション・フードテックへの投資の3点を戦略投資分野とし、合計1,000億円を投じる計画です。

 

①のアジア食事業は、PB比率改善のため海外現地開発拠点の新設や、OEM生産・工場の確保といった供給体制の拡充にくわえ、SCMのグローバル統合化や重複商品・重複業務の統一によるコスト削減を推進します。➁は日本品種のリンゴ“きみと”や、イチゴ・サツマイモ等を時期の異なる南半球で生産し、通年販売を実現する目論見です。近年の急激な気候変動もあり、アグリビジネスの難易度が上昇していることから、地域分散による平準化を図ります。

 

当社は近年、海外の日本食輸入卸会社に対して相次ぐMAを実行しており、2020年に仏・C3C社(年商160億円/営業利益8億円、のれん償却▲2億円)の70%持分を50億円で追加取得したほか、2022年は英・Harros Foods社(年商27億円/営業利益1億円)を12億円で、SG・BCM社(年商60億円/税前利益2.4億円)を20億円で買収しています。直近でも伊Uniontrade社(年商153億円/税前利益4.7億円、のれん償却▲3~4億円)を50億円で傘下に収めていますが、やはりのれん償却が重く、利益貢献は僅少となります。

 

財務状況については、相次ぐM&Aによる資金需要があったものの、自己資本比率は37.6%水準を維持しています。配当方針については、商社のため業績連動配当(配当性向30%基準)としており、1Qの減額修正と連動して当初予想からは20円の減配となる年170円配当(配当性向30.1%、YoYでは10円の増配)を見込んでいます。

 

*参考記事① 2023-06-07  4,470円 OP

【9260】西本WismettacHD/北米のレストランの回復は想定超、為替効果もあり上振れ圏。


*参考記事➁ 2022-05-14 2,474円 OP

【9260】西本WismettacHD/1Qより大増勢で上方も、プライム維持に分売・POを検討。

 

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