【3003】 ヒューリック/計画外の大型物件売却あれば中計前倒し達成が視野、出口戦略は見直しへ。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3003】 ヒューリック(東証プライム) BY

現在値 1,489円/100株  P/E 11.5  P/B 1.47 6月配当 12月配当株主優待あり

旧富士銀行の銀行店舗ビル管理から出発。好物件所有、物件多角化。
配当金は6月末・12月末の合計52円配当のため、配当利回りは約3.49%となります。

ヒューリックは株主優待制度を導入しており、12月末に3単元超を保有する株主に対して、3,000円相当のグルメカタログを進呈していますので、配当と合計した配当優待利回りは、約4.16%となります。また、3年以上の長期保有により優待進呈額が倍となりますので、その場合の利回りは約4.83%となります(※いずれも3単元保有時)。

業績を確認していきます。

■2021年12月期 売上高 4,407億円、経常利益 1,095億円 EPS 101.0円 

■2022年12月期 売上高 5,234億円、経常利益 1,232億円 EPS 104.0円

■2023年12月期 売上高 4,463億円、経常利益 1,374億円 EPS 124.3円

■2024年12月期 売上高 (未定)億円、経常利益 1,440億円 EPS 128.7円 ce

□2024年3月1Q 売上高 1,075億円、経常利益 212億円 EPS 20.8円(4/25)

□2024年6月2Q 売上高 1,950億円、経常利益 690億円 EPS 64.4円 四e 

 

2023年12月期の売上高はYoY▲14.7%の4,463億円、経常利益はYoY+11.5%の1,374億円となり、3Q公表の着地見通しを上振れました。不動産事業は、傘下REIT(公募・私募)に対して駒込ビルや相鉄フレッサイン六本木、青山外苑東通ビルを拠出したほか、秋葉原中央通りビルを日拓Gに、新橋ビル含めた近隣3棟を芙蓉総合リースに売却しました。取得については銀座7丁目ビルの完全所有権化したほか、錦糸町オリナスコア、傘下REITから銀座7丁目ビル(47.5%)やイトーヨーカ堂東大和店等を取得しました。なお、空室率も0.7%と低位に推移しました。

 

2024年12月期の通期予算については、売上高は例年通り未公表ながら、経常利益はYoY+4.7%の1,440億円を予想しています。不動産事業の上期は売却を抑制しており、1Q時点で私募REIT/ファンドへシニア3棟・商業3棟等を下した程度に留まっています。他方で取得については、アルボーレ銀座(95%)やキオクシア四日市工場、KKR絡みのCRE案件でロジスティード4物件をEQで取得しており、高進捗しています。このほか、オフィス賃貸も底入れ、ホテルも高水準が見込まれるため、1Q低調ながらも実態は順調推移と解されます。

 

当社は中計の相次ぐ前倒し達成で都度ローリングをかけており、再ロール後の現行中計での目標は翌2025年12月期に経常利益1,500億円(CAGR9.4%)としています。他KPIとしてネットD/E3.0倍、ROE10%等を定めるほか、10年長計の前倒し達成を視野に入れています。なお進行期の予想経常益は1,440億円のため、エクストラで大型の物件売却等があれば再度前倒し達成してしまう余地も残ります。

 

取組事項として①高品質賃貸PF構築、②開発建替推進・出口多様化、③新事業領域強化の3軸を挙げています。①は3年間でネット投資額9,000億円を見込み、電通本社(3,000億円のうち推計40~50%)、大手町プレイス東棟4,364億円(持分不詳)といった大型・高性能のSクラスビルの取得によりPFの質改善を図ります。足許では錦糸町オリナスコアや、池袋ロクマルゲート・グランドスケープ(底地)等の商業施設を取得しており、進行期の取得4,000億円も順調にメドが立っている模様です。

 

②の開発・建替については、は今次中計期間で29棟(+α)の新築の竣工が確定しているほか、2025年までに開発・名有り100棟達成(現状94棟)が射程に入っています。みずほ銀行銀座中央支店(銀座一丁目駅直結)の建替や、銀座コア(銀座駅直結)の再開発など36物件を保有する銀座エリアで集中的に再開発するほか、関西のブランド集積する心斎橋のプラザビル4棟の再開発は2026年に竣工予定です。他方、出口の受け皿として期待されていたコアファンド(AUM1,000億円目標)や、物流REIT(AUM400億円)等については計画見直中となっています。

 

財務面については、2018年に半資本性劣後債と劣後ローンのハイブリッドで1,500億円、2020年にも同要領で2,000億円を調達したほか、2021年にはGPOで約1,000億円弱を調達しており、足許のネットD/Eは1.3倍程と余力のある状況です(中計では3.0倍まで許容)。株主還元については、本中計期間より配当性向「40%」から「40%以上」に改定しており、期初予想では2円の増配の52円(配当性向40.3%)を予想しています。

*参考記事① 2023-12-09  1,520円 BY

【3003】 ヒューリック/出口戦略の多様化も進捗、来年度以降も順調な成長が見込まれる。

 

*参考記事② 2023-06-10 1,207円 BY

【3003】 ヒューリック/1Qから売却益高水準、新中計経常益1,500億円の達成可視性は高い。

 

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