【3003】 ヒューリック/出口戦略の多様化も進捗、来年度以降も順調な成長が見込まれる。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3003】 ヒューリック(東証プライム) BY

現在値 1,520円/100株  P/E 12.8  P/B 1.58 6月配当 12月配当株主優待あり

旧富士銀行の銀行店舗ビル管理から出発。好物件所有、物件多角化。
配当金は6月末・12月末の合計48円配当のため、配当利回りは約3.16%となります。

ヒューリックは株主優待制度を導入しており、12月末に3単元超を保有する株主に対して、3,000円相当のグルメカタログを進呈していますので、配当と合計した配当優待利回りは、約3.81%となります。また、3年以上の長期保有により優待進呈額が倍となりますので、その場合の利回りは約4.47%となります(※いずれも3単元保有時)。

業績を確認していきます。

■2020年12月期 売上高 3,396億円、経常利益 956億円 EPS 95.2円 

■2021年12月期 売上高 4,407億円、経常利益 1,095億円 EPS 101.0円 

■2022年12月期 売上高 5,234億円、経常利益 1,232億円 EPS 104.0円

■2023年12月期 売上高 4,700億円、経常利益 1,340億円 EPS 118.2円ce修正

□2023年6月2Q 売上高 1,839億円、経常利益 622億円 EPS 57.9円

□2023年9月1Q 売上高 2,758億円、経常利益 835億円 EPS 77.1円(10/27) 

 

2023年6月期の売上高はYoY▲25.6%の1,839億円、経常利益はYoY+8.1%の622億円となり、予算比はないものの増益を確保しました。不動産事業は、秋葉原中央通りビルを日拓グループに、赤坂一ツ木通ビルを青山財産Nに、新宿ビルを国内合同会社に売却しました。取得については傘下REITから銀座7丁目ビル(47.5%)やイトーヨーカ堂東大和店、損保ジャパン上野共同ビルを取得しました。なお、空室率も0.2%と非常に低位に推移しました。

 

2023年12月期の通期見通しは3Q時点で完全公表しており、売上高は▲10.2%の4,700億円、経常利益はYoY+8.7%の1,340億円(期予:1,320億円)を予想しています。不動産事業については、ホテルJALシティ関内をJHRに売却したほか、傘下REITに対して駒込ビルや相鉄フレッサイン六本木を拠出しています。取得に関しては、下期に銀座7丁目ビルの完全所有権化したほか、賃貸事業は大手町プレイスの賃収増が通期寄与が見込まれ、足許ではホテル事業も一段増となっています。

 

当社は中計の相次ぐ前倒し達成で都度ローリングをかけており、2020年に策定した3ヵ年中計で2022年12月期に経常利益1,100億円、10年経過後の2029年12月期に同1,800億円を目指す計画としていましたが、手前の3年中計は早々に過達状態となったことから、再度ロールしています。ロール後の目標は2025年12月期に経常利益1,500億円(CAGR9.4%)としており、他KPIとしてネットD/E3.0倍、ROE10%等を定めるほか、10年長計の前倒し達成を視野に入れています。

 

取組事項として①高品質賃貸PF構築、②開発建替推進・出口多様化、③新事業領域強化の3軸を挙げています。①は今次中計期間で29棟の新築の竣工を控えているほか、2025年までに名有り100棟達成(現状92棟)を目指して案件取得を加速する計画です。3年間でネット投資額9,000億円を見込み、電通本社(3,000億円のうち推計40~50%)、大手町プレイス東棟4,364億円(持分不詳)といった大型・高性能のSクラスビルの取得によりPFの質改善を図ります。

 

②については、みずほ銀行銀座中央支店(銀座一丁目駅直結)の建替や、銀座コア(銀座駅直結)の再開発など37物件を保有する銀座エリアで集中的に再開発するほか、関西のブランド集積する心斎橋のプラザビル4棟の再開発は路面店ラグジュアリーブランド内定済&ゲートホテル入居予定で2026年に竣工予定となっています。また出口については、今年中に組成予定のコアファンド(AUM1,000億円目標)や、来年組成予定の物流REIT(AUM400億円)などを用意しており、“受け皿”の多様化も進んでいます。

 

財務面については、2018年に半資本性劣後債と劣後ローンのハイブリッドで1,500億円、2020年にも同要領で2,000億円を調達したほか、2021年にはGPOで約1,000億円弱を調達しています。今次中計期間ではネットD/Eレシオを3.0倍まで許容しているものの、足許のネットD/Eは1.3倍程と余力のある状況です。株主還元については、本中計期間より配当性向「40%」から「40%以上」に改定しており、期初予想では6円の増配の48円(配当性向40.7%)を予想しています。
 

*参考記事① 2023-06-10 1,207円 BY

【3003】 ヒューリック/1Qから売却益高水準、新中計経常益1,500億円の達成可視性は高い。

 

*参考記事② 2022-11-23  1,135円 BY

【3003】 ヒューリック/中計は前倒達成公算、大手町プレイス住商棟を4,000億円超で取得へ。

 

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