【3138】富士山マガジンサービス/雑誌休刊多くジリ貧気味、低位横ばいで株主還元ももの足りぬ。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3138】富士山マガジンサービス(東証グロース)  OP

現在値  687円/100株  P/E 10.0  P/B 0.99  12月無配優待 

個人・法人に雑誌の定期購読を提供するオンライン書店。出版社からの手数料が収益源。
配当金は12月末に16円配当を予定しているため、配当利回りは約2.33%となります。

富士山マガジンサービスは株主優待として12月末の単元株主に対し、2,000円分の割引クーポン(※10,000円以上の定期購読で使用可)進呈しているため、優待利回りは約5.24%となります。

業績は下記の通りです。

■2021年12月期 売上高 59.3億円、営業利益 5.2億円 EPS 109.0円 
■2022年12月期 売上高 59.6億円、営業利益 4.4億円 EPS 90.0円 

■2023年12月期 売上高 57.7億円、営業利益 3.5億円 EPS 69.8円 

■2024年12月期 売上高 57.7億円、営業利益 3.5億円 EPS 68.9円 ce

□2024年3月1Q 売上高 14.1億円、営業利益 1.2億円 EPS 25.3円(5/13)

□2024年6月2Q 売上高 27.9億円、営業利益 1.5億円 EPS 30.4円 ce

2023年12月期の売上高はYoY▲3.3%の57.7億円、営業利益はYoY▲19.3%の3.5億円となり、予算未達となりました。主力の紙雑誌事業については雑誌市場の縮小(同▲7.9%)により事業環境の悪化が継続し、定期購読会員数こそYoY+190千人の4,128千人と概ね計画線を確保したものの、直近課金のアクティブ会員数は休刊誌の増加が響きYoY▲24千人の576千人となりました。他方、デジタル雑誌事業は電子書籍の読み放題サービスや、他社向け取次も堅調に推移し、全社売上構成比も4割を維持しました。


2024年12月期の通期予想については、売上高がYoY変わらずの57.7億円、営業利益もYoY変わらずの3.5億円と完全に横引きの見込みです。主力の紙雑誌事業については、休刊ラッシュや“雑誌離れ”で定期購読客の新規が低調なため、既存客繋ぎ止めのため休刊阻止のためのWEB化支援等に注力します。他方、成長続くデジタル雑誌事業については、好調な電子図書館サービスのほか、WEBコミュニティサービスに投資を進めます。5月13日に開示済の1Qは売上高14.1億円&営業益1.2億円と好進捗しています。

 

当社は独立系として、電子取次事業では最大手のメディアドゥ(3678)に大きく離された2番手以下のポジショニングながら、同社は書籍・当社は雑誌を得意としており、現状ではすみ分けているような状況です。特に中長期的な経営計画を公表していないものの、紙の書籍/雑誌市場のTAMが年率10%弱縮小(2023年;YoY▲377億円の4,418億円)しているほか、書店実店舗も減少しているため、徐々にWEB系ビジネスに軸足をシフトしている状況です。

 

当面の取組事項としては、好調なデジタル雑誌事業については、当社第2位株主(10.2%)の図書館流通センターとの協業で図書館利用者に向けた電子雑誌閲覧サービスを開始しており、書籍業界で存在感の大きい丸善CHIグループとの協業でシェアを伸長させています。他方、電通(49%)との合弁事業である電子雑誌・記事配信PFを活用したB2Bサービスは然程伸びていないものの、本年1月に高齢者活用のちょこっとワーク社を持分法適用に収めており、アウトソーシングで発送経費等の削減に取り組みます。

 

他方、財務面については借金5.5億円に対して現金が30億円程積み上がっており、ネット無借金ではあるものの、うち購読者からの年間購読預かり金が11億円程あるため、実質ネットキャッシュは14億円程とみられます。自己資本比率は38.6%と余裕があるものの、配当性向20%基準で横ばいとなる年16円配(配当性向23.3%)を見込んでおり、物足りなさが残ります。

 

*参考記事① 2023-05-18  760円 OP

【3138】富士山マガジンサービス/紙雑誌の市場縮小傾向続く、配当性向20%で早くも減配。

 

*参考記事① 2022-04-20  799円 OP

【3138】富士山マガジンサービス/巣ごもり特需一服も、電通合弁のデジタル雑誌事業は着実に成長。

 

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