【3138】富士山マガジンサービス/巣ごもり特需一服も、電通合弁のデジタル雑誌事業は着実に成長。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3138】富士山マガジンサービス(東証グロース)  OP

現在値  799円/100株  P/E 8.0  P/B 1.40  12月無配優待 

個人・法人に雑誌の定期購読を提供するオンライン書店。出版社からの手数料が収益源。
配当基準日は6月末・12月末の年2回ですが、無配予定となっています。

富士山マガジンサービスは株主優待として12月末の単元株主に対し、2,000円分の割引クーポン(※10,000円以上の定期購読で使用可)進呈しているため、優待利回りは約2.50%となります。

業績は下記の通りです。

■2018年12月期 売上高 34.6億円、営業利益 2.5億円 EPS 58.7円

■2019年12月期 売上高 44.3億円、営業利益 3.2億円 EPS 55.7円   

■2020年12月期 売上高 51.4億円、営業利益 3.2億円 EPS 68.7円

■2021年12月期 売上高 59.3億円、営業利益 5.2億円 EPS 109.0円 
■2022年12月期 売上高 60.7億円、営業利益 4.7億円 EPS 97.3円 ce

□2022年6月2Q 売上高 30.5億円、営業利益 2.3億円 EPS 45.6円 ce

2021年12月期の売上高はYoY+15.3%の59.3億円、営業利益はYoY+62.5%の5.2億円となり、対前期・対予算ともに増収増益となりました。主力の紙雑誌事業の定期購読会員数は、新型肺炎禍による法人の解約一服でYoY+230千人増の3,749千人と増加した一方、新規は採算性を重視した選別受注を進めたことから、直近課金のアクティブ会員数は微減の634千人となりました。他方、デジタル雑誌事業は時勢柄電子書籍読み放題が堅調増となり、全社売上構成比も4割弱まで伸長したほか、黒字圏まで転換しています。


2022年12月期の通期見通しについては、売上高がYoY+2.5%の60.7億円、営業利益はYoY▲10.6%の4.7億円と増収減益を見込んでいます。主力の紙雑誌事業については、リアル書店での購入者に対する月額課金サービスの拡大や、休刊誌の復刊支援、出版社からの定期購読管理受注等により業容の拡大を図ります。デジタル雑誌事業は、スマホ操作性改善と電子図書館事業等に取り組む方針です。以上により取扱高自体は増加する前提とするものの、デジタル投資や広告投資を継続するため、減益想定での予算組みとなります。

 

当社はAmazon日本法人の創業者でもある西野伸一郎氏が、同じく立ち上げに参画したネットエイジ(現:ユナイテッド)の社内ベンチャーとして創業した会社です。当初はCCCの傘下として、出版社と購読者の雑誌の取次を行っていたものの、現在ではCCCを離れた独立系の取次会社となっています。特に中長期的な経営計画を公表していないものの、安定的なストック収入のある定期購読収入を土台に、雑誌を軸とした「趣味・志向」分野のプラットフォーム展開と周辺領域拡大が今後の成長戦略とみられます。

 

取組事項としては、定期購読事業では“巣ごもり”を追い風に、出版社150社にわたる横断キャンペーンを仕掛け、500誌強の定期購読料を最大50%オフで提供して新たな客層獲得に成功しています。また、デジタル雑誌事業についても丸善CHI傘下であり、当社第2位株主(10.2%)でもある図書館流通センターと協業し、図書館利用者に向けた電子雑誌閲覧サービスを開始しています。此方は当社(51%)と電通(49%)の合弁会社である電子雑誌・記事配信プラットフォームの「magaport」を活用したB2Bサービスとなっており、定期購読同様に自治体からの安定的なストック収入の獲得期待がかかります。

 

他方、財務面については借金5.5億円に対して現金が29億円積み上がっており、ネット無借金ではあるものの、うち購読者からの年間購読預かり金が11億円程あるため、実質ネットキャッシュは6億円程とみられます。そのため、自己資本比率も33.8%とそこまで高くなく、ある程度の現金有り高確保の観点から、無配を継続しているものとみられます。

 

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