【1605】INPEX(東証プライム) OP
現在値 2,371円/100株 P/E 8.29 P/B 0.65 12月配当優待 6月配当
原油・ガス開発生産国内最大手。政府が黄金株保有。豪州でLNG案件(イクシス)操業。
今期予想配当金は年2回・合計76円のため、配当利回りは約3.21%となります。
国際石油開発帝石は株主優待制度を実施しており、12月末に4単元を1年以上保有する株主に対して1,000円分のクオカードを進呈しておりますので、4単元保有時の配当優待利回りは約3.31%となります。なお、2年以上保有の場合は進呈額が2倍、3年以上保有の場合は3倍となりますので、同利回りはそれぞれ約3.41%、約3.52%となります。
業績を確認していきます。
■2021年12月期 売上高 1兆2,443億円、最終利益 2,230億円 EPS 153.8円
■2022年12月期 売上高 2兆3,160億円、最終利益 4,984億円 EPS 364.7円
■2023年12月期 売上高 2兆1,645億円、最終利益 3,217億円 EPS 248.5円
■2024年12月期 売上高 2兆1,780億円、最終利益 3,600億円 EPS 286.1円ce修正
□2024年3月1Q 売上高 5,968億円、最終利益 1,218億円 EPS 96.8円(5/14)
□2024年6月2Q 売上高 1兆1,500億円、最終利益 2,050億円 EPS 162.9円 ce修正
2023年12月期の売上高はYoY▲6.5%の2兆1,645億円、最終利益はYoY▲35.5%の3,217億円となり、3Qの増額見通しを若干下振れて着地しました。油価($/bbl)は予想75.0$vs実績82.1$、為替(¥/$)は予想125円vs実績140.6円と何れも有利方向に振れたものの、100$近かった前期からは反落しました。旗艦の“イクシス”は129カーゴを出荷するなど生産は順調に推移(利益貢献は3千億円+)した一方、豪州規制に厳しい“プレリュード”の減損を▲600億円計上しました。
当社は2024年12月期よりIFRSに移行するため、▲400億円超の会計基準差異が発生します。なお通期見通しについては1Q時点で早くも増額しており、売上高はYoY+6.6%の2兆1,780億円(期予:1兆9,310億円)、最終利益はYoY+11.9%の3,600億円(期予:3,300億円)に修正しています。主因は前提与件の“Mark to Market”であり、バレル80.0$(期予:73.0$)、為替前提(¥/$)を145円(期予:138円)に変更しているものの、油価・為替ともにまだ保守的な数字置きとなっています。探鉱費が増加するものの、税効果による取り戻しを+400億円を織り込みます。
当社は進行期を最終年度とする3年中計で、最終利益を2,230億円→2,400億円に引き上げる計画としていたものの、諸元前提が油価バレル70.0$&為替110円(¥/$)だったことから、既に大幅な過達状態となっています。総事業費4兆円の豪州沖・大型LNG-PJ“イクシス”は安定稼働しており、当初生産量890万t(日本の年間LNG輸入量の約1割)は増産により既に930万tに達しており、全社利益への貢献額は3,000億円超に達しています。生産井の追加掘削と周辺未開発田の権益取得で更なる増産を進めるほか、本年1月には東京ガスよりPJ持分を追加取得(1.575%)しており、合計で67.28%となりました。
次世代大型PJ“アバディ”は、クリーンLNG生産量年間950万t、コンデンセート日量3.5万バレルが見込まれ、CCS対策(CO2の回収&貯蔵)で計画見直しを迫られていたものの、尼政府系のプルタミナ&馬政府系のペトロナスの参画もあり、2023年末に尼政府より最終承認を受けています。“アバディ”はプレマーケティングで需要家からの高いニーズが確認されるものの、PJの収益寄与は早くても2030年となるほか、次期中計では高水準の投資が見込まれます。
非化石燃料(ネットゼロ5分野)への移行については、2030年までに1兆円を投じます。今次中計期間においては水素・アンモニア(700t→10万t/y)、CCUS(柏崎6,000t→250万t/y)、再エネ(500MW→1‐2GW)、メタネーション(2,400t→6万t/y)、森林(REDD+事業150万t→200万t)をそれぞれKPIと定め、これら5分野の増強で全社CFの1割を稼ぐ計画です。なお、昨年7月に伊エネルギー大手・エネル傘下の再エネ事業者の50%持分を同社より譲受しており、豪州の再エネエクスポージャーを獲得しています。
株主還元方針については、今次中計で総還元性向を40%に切り上げたほか、PBR1.0倍割れ志向で、配当金については2円増配の年76円(配当性向26.5%)を予想しています。別途1Qで公表された500億円(株数ベース3.18%)の自社株買いを考慮すれば、進行期の総還元性向は40.4%見当となるため、還元方針に整合的といえます。
*参考記事① 2023-12-05 2,085円 OP
【1605】INPEX/PBR1.0倍割れ脱却を志向し、事実上の年間配当下限74円をガイド。
*参考記事② 2023-05-19 1,475円 OP
【1605】INPEX/足許油価軟調だが為替でカバー可能とみられる、追加増配&自社株買い待ち。
*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。