【9722】藤田観光(東証プライム) OP
現在値 6,550円/100株 P/E 11.2 P/B 2.86 6月優待 12月無配・優待
椿山荘、太閤園を擁する高級宴会場名門。ワシントンホテル・小涌園も。
配当基準日は12月末ですが、無配に転落しており、配当予想も未定となっています。
藤田観光は株主優待制度を導入しており、6月末・12月末現在の単元株主に対し、椿山荘やワシントンホテルの宿泊50%・飲食20%が割引となる優待券を半期に10枚ずつ進呈しています。
業績を確認していきます。
■2021年12月期 売上高 284億円、営業利益▲158億円 EPS 1,058円
■2022年12月期 売上高 437億円、営業利益▲40.4億円 EPS▲483.0
■2023年12月期 売上高 645億円、営業利益 66.3億円 EPS 677.0円
■2024年12月期 売上高 725億円、営業利益 85.0億円 EPS 550.6円 ce修正
□2024年3月1Q 売上高 169億円、営業利益 20.5億円 EPS 131.1円(5/9)
□2024年6月2Q 売上高 352億円、営業利益 37.0億円 EPS 225.4円 ce修正
2023年12月期の売上高はYoY+47.5%の645億円、営業利益はYoY+106.8億円(黒転)の66.3億円となり、2Q時点の増額見通しを更に上振れました。主力のWHG事業において、巡行比8割水準を見込んでいたものの、東京・大阪を中心に訪日客宿泊数が鋭角的に伸長したことから、OCCはYoY+16pt、ADRは同+65.0%、リゾート事業(天悠)もOCC同+11%、ADR同+23.5%に急回復しました。L&B事業についても、椿山荘の婚礼受注組数こそ減少したものの、組単価自体は大幅増となったほか、法人の宴会も回復しました。
進行期である2024年12月期の見通しは1Q時点で早々に増額しており、売上高はYoY+12.3%の725億円(期予:687億円)、営業利益はYoY+28.1%の85.0億円(従予:60.0億円)に修正してます。柱のWHG事業は、OCCはYoY+2pt&ADRはYoY+5%程と保守的な想定を置いていたものの、海外セールスの強化等も奏功し、訪日客の集客が想定超に推移しています。L&B事業(椿山荘)の婚礼施行組数についても依然“底入れ待ち”にあるものの、挙式単価と宿泊需要の伸長でカバーします。5月9日開示済の1Qは売上高169億円&営業益20.5億円で進捗しています。
当社は従前5年中計で目標としていた営業利益40億円を前倒しで達成したことから、1年ロールして新中計に切り替えています。2028年12月期を最終年度とする新中計では、向こう5年で売上高645億円→800億円、営業利益66億円→80億円に引き上げる計画としています。特に設備投資額は5年累計で350億円を計画する一方、営業利益率は10.3%→10.0%に減少するという保守的な計画となっています。
柱のWHG事業については、ワシントンやグレイスリーを中心に8店舗程出店させる計画であり、物件取得・賃貸借・FCMCなど多様な出店形態により10,476室→12,000室まで増室させます。またL&B事業については、椿山荘のラウンジ新設や産後ケア事業の開始、日本庭園の有効活用を挙げるほか、リゾート事業については再開発後のホテル小涌園になお増室余地があることから、競争激化する高額帯を避けた中価格帯(1泊2食2万円程)で50室程度増室します。
なお当社は2021年に債務超過回避のため、大阪・太閤園(7,600坪)を創価学会に390億円で売却したほか、政投銀の“DBJ飲食・宿泊支援ファンド”に150億円(配当負担年6億円)のA種優先株式を発行して資本性資金を拡充しています。優先株込みの足許の自己資本比率は28.5%となっており、今次新中計では5年以内に優先株を償還する方針です。普通株配当についても復配を予定しており、現段階では年30円を予定しているものの、配当性向5.4%のため増配含みと解されます。
*参考記事① 2023-11-22 4,045円 OP
【9722】藤田観光/インバウンド回復想定超で中計は前倒し達成公算、優先株の早期償還が待たれる。
*参考記事② 2023-04-29 3,580円 OP
【9722】藤田観光/旅行支援とインバウンドで回復は想定超とみられる、小涌園再開発が開業。
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