【9722】藤田観光/旅行支援とインバウンドで回復は想定超とみられる、小涌園再開発が開業。 | なちゅの市川綜合研究所

なちゅの市川綜合研究所

「別に勝たなくてもいいので、負けないこと」を志向しております。
本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報等に基づき、作成されています。
当ブログの情報に全面的に依拠することはお控えいただき、最終的なご判断はご自身でお願いいたします。

image

【9722】藤田観光(東証プライム) OP

現在値 3,580円/100株  P/E 53.6  P/B 6.10 6月優待 12月無配・優待

椿山荘、太閤園を擁する高級宴会場名門。ワシントンホテル・小涌園も。
配当基準日は12月末ですが、無配に転落しており、配当予想も未定となっています。

藤田観光は株主優待制度を導入しており、6月末・12月末現在の単元株主に対し、椿山荘やワシントンホテルの宿泊50%・飲食20%が割引となる優待券を半期に10枚ずつ進呈しています。

業績を確認していきます。

■2019年12月期 売上高 689億円、営業利益 2.8億円 EPS▲23.8円 
■2020年12月期 売上高 266億円、営業利益▲206億円 EPS▲1,872円 

■2021年12月期 売上高 284億円、営業利益▲158億円 EPS 1,058円 

■2022年12月期 売上高 437億円、営業利益▲40.4億円 EPS▲483.0

■2023年12月期 売上高 566億円、営業利益 4.0億円 EPS 66.7円 ce
□2023年6月2Q 売上高 246億円、営業利益▲22.0億円 EPS▲141.8円 


2022年12月期の売上高はYoY+53.9%の437億円、営業利益はYoY+117.4億円(赤字縮小)の▲40.4億円となり、中間増額見通しを上振れました。インバウンドや全国旅行支援の追い風を受けて期末尻上がりとなり、主力のWHG事業の4Q期間のOCCはYoY+29.6pt、ADRは同+52.7%、リゾート事業もOCC同+22.1%、ADR同+10.4%と急回復しました。L&B事業についても、椿山荘の「東京雲海」のヒットでスイートルーム拡販やADRの回復がみられたほか、既受注婚礼の売上顕在化や料飲部門の慶事需要回復が進み、4Q期間で営業黒字に転じました。


進行期である2023年12月期の予想については、売上高がYoY+29.4%の566億円、営業利益はYoY+44億円の4.0億円と黒字転換を見込みます。主力のWHG事業において、巡行比8割の水準(インバウンドは同6割)まで回復を織り込むほか、リゾート事業では7月に「箱根ホテル小涌園」の新規開業を予定しています。またL&B事業(椿山荘)の挙式催行件数は横這いも、婚礼組及び宿泊単価の向上を狙います。足許1Q期間ではインバウンドの回復が顕著であり、都内ホテルのADRも高騰しているため、早くも強含みの状況とみられます。


進行期は2024年12月期を最終年度とする中計の4年度目であり、今次中計の5年間で売上高を689億円→790億円、営業利益を2億円→40億円に其々引き上げる目標としていました。然しながら、新型肺炎禍後の計画ながらも置きの数字が非常に強かったため、2年前にマイナー変更をしており、①構造改革推進、②事業ポートフォリオ見直し、③経営管理体制強化、の3点を注力事項に絞り、当面は体制の立て直しに注力することとしています。

①は700人規模の解雇、給与・賞与のカットと外注業務の内製化、人事制度改革で▲50億円/年、賃料減額交渉で更に▲11億円/年の経費を削減しています。②はHT浅草(278室)・HT京都(190室)、HG台北(248室)、小涌園三河屋旅館(25室)こそ開業に漕ぎつけたものの、“名有り”だったHT御徒町、HT東日本橋、HT浅草橋の開業を中止し、2023年以降の未定開業物件も白紙化しています。他方、マイクロツーリズム需要で堅調な箱根エリアでは再開発したホテル小涌園(150室)を7月12日に開業する予定です。

 

当社は財務体質改善のため、2021年に大阪・太閤園(7,600坪)を創価学会に390億円で売却して債務超過を免れています。また同年9月には政投銀の“DBJ飲食・宿泊支援ファンド”に150億円のA種優先株式を発行して資本性資金も拡充しており、足許の自己資本比率は22.1%と一定水準を確保していますが、利払い負担が年6億円も発生しているため、復配よりも優先株の早期償還のために財務温存するものとみられます。

 

*参考記事① 2022-11-26 2,997円 OP

【9722】藤田観光/観光需要回復で上振れ圏、虎の子の“椿山荘“を死守する見通し。

 

*参考記事② 2022-06-09 2,656円 OP

【9722】藤田観光/創価学会への太閤園売却で財務ひと息、進行期予算はやや保守的か。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。

 

にほんブログ村 株ブログ 株主優待へ にほんブログ村 株ブログ IPO・新規公開株へ にほんブログ村 株ブログ サラリーマン投資家へ