【9722】藤田観光(東証プライム) OP
現在値 2,997円/100株 P/E --.- P/B 1.37 6月優待 12月無配・優待
椿山荘、太閤園を擁する高級宴会場名門。ワシントンホテル・小涌園も。
配当基準日は12月末ですが、無配に転落しており、配当予想も未定となっています。
藤田観光は株主優待制度を導入しており、6月末・12月末現在の単元株主に対し、椿山荘やワシントンホテルの宿泊50%・飲食20%が割引となる優待券を半期に10枚ずつ進呈しています。
業績を確認していきます。
■2018年12月期 売上高 692億円、営業利益 11.0億円 EPS 46.5円
■2019年12月期 売上高 689億円、営業利益 2.8億円 EPS▲23.8円
■2020年12月期 売上高 266億円、営業利益▲206億円 EPS▲1,872円
■2021年12月期 売上高 284億円、営業利益▲158億円 EPS 1,058円
■2022年12月期 売上高 405億円、営業利益▲60.0億円 EPS▲392.2ce修正
□2022年6月2Q 売上高 183億円、営業利益▲38.0億円 EPS▲213.4円
□2022年9月3Q 売上高 293億円、営業利益▲43.1億円 EPS▲260.3円(11/8)
2022年6月中間期の売上高はYoY+53.5%の183億円、営業利益はYoY+62.5億円(赤字縮小)の▲38億円となり、期初予想を上回りました。主力のWHG事業は、GW需要の平常化にくわえ県民割等観光支援策の追い風もあり、OCCはYoY+26.2pt、ADRはYoY+23.1%(RevPAR換算+55.3%)に続落しました。同様にリゾート事業のADRはYoY▲5.4%(RevPAR換算+24.9%)となった一方、L&B事業は椿山荘の庭園演出「東京雲海」関連商品やスイートルーム拡販が奏功したほか、既受注の婚礼部門の売上顕在化や、料飲部門の法人需要回復により軒並み増となりました。
2022年12月期の通期見通しは中間時点で修正しており、売上高はYoY+42.2%の405億円(期予:398億円)、営業利益はYoY+98億円の▲60億円(期予:UNCH)を見込んでいます。タビノス京都、グレイスリー台北の通期稼働効果が見込まれるほか、上期の過達分もあるものの、インバウンド回復遅れを理由に下期のWHG事業で▲10億円の減収と対応する“真水”の利益減少▲8億円追加的に織り込むため、期初の利益予算を据え置きます。なお、11月8日に公表済の3Qは売上高293億円&営業益▲43.7億円で進捗しているほか、足許の実勢を考慮すれば上振れ公算が高い状況です。
進行期は2024年12月期を最終年度とする5年中計の中間年度であり、今次中計の5年間で売上高を689億円→790億円、営業利益を2億円→40億円に其々引き上げる目標としていますが、新型肺炎禍後の計画にも拘わらず楽観的な数字感となっており、足許の回復モメンタムを考慮しても、依然達成困難圏と解されます。そのため1年半程前に計画をマイナー変更し、①構造改革推進、②事業ポートフォリオ見直し、③経営管理体制強化、の3点を注力事項に絞り、当面は体制の立て直しに注力することとしています。
①は700人規模の解雇、給与・賞与のカットと外注業務の内製化、人事制度改革により、既に年間50億円強の利益改善効果を発現させています。②についても、HT浅草(278室)・HT京都(190室)、HG台北(248室)、小涌園三河屋旅館(25室)こそ開業済みとなっているものの、“名有り”のHT御徒町、HT東日本橋、HT浅草橋の開業を中止し、2023年以降開業“名無し”の5物件も全て白紙撤回しています。他方、好調な箱根エリアでは再開発した小涌園(150室)を来年7月に開業させるなど、メリハリをつけた出店戦略に切り替えています。
当社は財務体質改善のため、昨年主要施設の一角である大阪・太閤園(7,600坪)を創価学会に390億円(特益329億円)で売却して債務超過を免れています。同年9月には政投銀の“DBJ飲食・宿泊支援ファンド”に150億円のA種優先株式を発行し、年4%の利払い負担はあるものの、資本性資金を大幅拡充しており、足許の自己資本比率を25.1%まで回復させています。推定300億円超の含み益を誇る椿山荘(15,000坪)にまでは手を付けずに新型肺炎禍を乗り切れる公算であり、最後の最後で何とか持ちこたえた印象を受けます。
*参考記事① 2022-06-09 2,656円 OP
【9722】藤田観光/創価学会への太閤園売却で財務ひと息、進行期予算はやや保守的か。
*参考記事② 2018-04-28 3,320円 OP
中計大幅減額も、椿山荘の含み資産は莫大・藤田観光(9722)。
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