中計大幅減額も、椿山荘の含み資産は莫大・藤田観光(9722)。 | なちゅの市川綜合研究所

なちゅの市川綜合研究所

「別に勝たなくてもいいので、負けないこと」を志向しております。
本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報等に基づき、作成されています。
当ブログの情報に全面的に依拠することはお控えいただき、最終的なご判断はご自身でお願いいたします。

IMG_1448.jpg

【9722】藤田観光(東証1部) ---

現在値 3,320円/100株 PER30.6 PBR1.45 6月優待12月配当優待

椿山荘、太閤園を擁する高級宴会場名門。ワシントンホテル・小涌園も。
配当金は12月に年一括の40円配当で、配当利回りは1.20%となります。

藤田観光は株主優待制度を導入しており、椿山荘やワシントンホテルの宿泊50%・飲食

20%が割引となる優待券を単元株以上の株主に対し、半期に10枚ずつ進呈しております。

想定優待利回りは各自で算出してください。

業績を確認していきます。
■2014年12月期 売上高 642億円、経常利益 13.9億円 EPS 44.3円 
■2015年12月期 売上高 639億円、経常利益▲1.7億円 EPS 2.7円 

■2016年12月期 売上高 687億円、経常利益 16.9億円 EPS 71.7円 
■2017年12月期 売上高 706億円、経常利益 20.4億円 EPS 139円 ce

■2018年12月期 売上高 720億円、経常利益 23.0億円 EPS 108円 
□2018年6月中間 売上高 341億円、経常利益▲2.0億円 EPS▲16.7円 ce

2017年12月期の売上高は前期比2.7%増の706億円、経常利益は同20.6%増の20.4億円

となり、予算を下回って着地しました。椿山荘・太閤園(L&B)事業において、椿山荘の

婚礼神殿完工の遅延もあり、婚礼・宿泊・宴会・料飲の全部門で前年割れとなりました。

また、リゾート事業についても4月に開業した小涌園・天悠の設備不具合発生等により、

想定を下回って推移しました。一方、主力のWHG事業については、那覇や京都三条北

館の通期稼働効果や、全ホテルADRが前年比で2.6%上昇したため(RevPARは103.6%)、

全社業績を底上げしましたが、冒頭の2事業の穴を埋めるまでには至りませんでした。

(※EPSだけハネているのは、藤田美術館の売却特益18億円のオンされているため)

進行期である2018年12月期の予算については、売上高が1.9%増の720億円、経常利益

は12.3%増の23.0億円を予想しています。WHG事業については、京都三条南館の通期

稼働効果にくわえ、夏のソウル(335室)と、秋の浅草(125室)の開業による上乗せが見

込まれるほか、前提ADRを前の期比101.7%、RevPARを同102.3%で予算組みしており、

室数が多く、改装したばかりのWH新宿(1,280室)を中心にADR・OCCの引き上げを狙っ

ていくものと推察されます。リゾート事業については天悠の巡行、L&B事業については

椿山荘のプリファード・ホテル・アライアンス加盟によるOCC引き上げ(102.3%)により、

2セグメントともにそれぞれ増益予想となっています。


今期は2019年12月期を最終年度とする5年中計の4年目となっておりましたが、今般

この目標を減額修正しており、売上高を760億円(従予:888億円)、経常利益を27億円

(従予:48億円)に大きく減額しております。主力のWHG事業についてはインバウンドの

流入により想定を超えて推移しているものの、リゾート事業における天悠が出だしから

コケたことや、同じ小涌園周りの開発が想定より遅れていることが足を引っ張ります。

また。L&B事業における旗艦の椿山荘については、婚礼受注が低迷しており、慌てて

宿泊の底上げに注力しているような状況であり、収益の回復には時間がかかります。

なお、“名有り”となっている新施設としては、来年にジャカルタで開業予定のサービス
アパートメント(214室)にくわえ、ホテルでは浜松町(190室)・なんば(170室)があります。
このほか、本年4月に御殿場でグランピング施設、来年秋口に曹洞宗の総本山である

永平寺門前に旅館と宿坊の中間施設の開業を予定していますが、室数が少ないので

インパクトとしては軽微です。ただ、これだけ“名有り”の開業予定があるので、足許の

インバウンドの状況等を踏まえると、修正後中計値は十分に走破可能とみられます。

と、いうわけで中計は当初計画から大幅未達となったものの、大分緩やかながら増収
増益基調が形成されつつあるほか、税金考慮後でも推定含み益300億円以上とされる

敷地面積1万5千坪の椿山荘の不動産価値はあまりに大きく、含み益の顕在化だけで

全ての借金を返済出来るほどのポテンシャルがあるため、現在の株価水準においては

強気で対処したいところではあります。

 

*参考記事① 2015-03-28 502円 ---

藤田観光(9722)株主総会@ホテル椿山荘東京に行ってきました!

 

*参考記事② 2015-03-08 512円 ---

歌舞伎町の大型ホテルが開業へ、藤田観光(9722)から株主優待がきました。

 

 

会社四季報 

2018年2集春号 

 

新品価格¥2,060
(2018/3/14時点)


*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 

特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に 
基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


このエントリーをはてなブックマークに追加にほんブログ村