【9722】藤田観光/インバウンド回復想定超で中計は前倒し達成公算、優先株の早期償還が待たれる。 | なちゅの市川綜合研究所

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【9722】藤田観光(東証プライム) OP

現在値 4,045円/100株  P/E 8.2  P/B 1.78 6月優待 12月無配・優待

椿山荘、太閤園を擁する高級宴会場名門。ワシントンホテル・小涌園も。
配当基準日は12月末ですが、無配に転落しており、配当予想も未定となっています。

藤田観光は株主優待制度を導入しており、6月末・12月末現在の単元株主に対し、椿山荘やワシントンホテルの宿泊50%・飲食20%が割引となる優待券を半期に10枚ずつ進呈しています。

業績を確認していきます。
■2020年12月期 売上高 266億円、営業利益▲206億円 EPS▲1,872円 

■2021年12月期 売上高 284億円、営業利益▲158億円 EPS 1,058円 

■2022年12月期 売上高 437億円、営業利益▲40.4億円 EPS▲483.0

■2023年12月期 売上高 620億円、営業利益 48.0億円 EPS 492.2円 ce修正
□2023年6月2Q 売上高 291億円、営業利益 19.1億円 EPS 256.4円 

□2023年9月3Q 売上高 455億円、営業利益 37.1億円 EPS 386.3円(11/9) 

2023年6月中間期の売上高はYoY+59.3%の291億円、営業利益はYoY+57.1億円(黒転)の19.2億円となり、1Qの増額見通しを更に上振れました。主力のWHG事業において、巡行比8割水準を見込んでいたものの、インバウンドが鋭角的に回復し、OCCはYoY+25.1pt、ADRは同+82.7%、リゾート事業もOCC同+19.5%、ADR同+22.8%と急回復しました。L&B事業についても、椿山荘の婚礼受注の組単価上昇や連れて宿泊・料飲が伸長したほか、宴会部門の法人需要回復が進みました。


2023年12月期の見通しは2Qで再増額しており、売上高がYoY+41.7%の620億円(期予:566億円)、営業利益はYoY+44億円の48.0億円(従予:4.0億円)に修正してます。リゾート事業では7月に新規開業した「箱根ホテル小涌園」が既に高稼働をマークしているほか、WHG事業も特に新宿のWH・HGがインバウンド増勢で新型肺炎禍前を上回る大増勢となっています。L&B事業(椿山荘)も、婚礼施行組数は減少基調も単価は上昇しており、全4部門で増収を確保しています。


進行期は2024年12月期を最終年度とする中計の4年度目であり、今次中計の5年間で売上高を689億円→790億円、営業利益を2億円→40億円に其々引き上げる目標としています。取組内容も途中で見直し、①構造改革推進、②事業PF見直し、③経営管理体制強化、の3点に絞って体制の立て直しに注力する方針としていましたが、実勢の戻りの強さにくわえ、リストラ効果発現で利益目標は1年前倒しで超過達成の勢いとなっています。


①は700人規模の解雇、給与・賞与削減と外注業務の内製化にくわえ賃料減額交渉で更に▲60億円/年の経費を削減済も、足許では給料を上げて採用強化に動いているほか、正常化に伴う賃料復元により表記幅は縮小するとみられます。②はHT浅草(278室)・HT京都(190室)、HG台北(248室)、小涌園三河屋旅館(25室)こそ開業に漕ぎつけたものの、“名有り”だったHT御徒町、HT東日本橋、HT浅草橋の開業を中止しており、追加的な物件パイプラインが無く、当面は既存物件の稼働・単価向上に頼る格好となります。

 

なお当社は2021年に債務超過回避のため、大阪・太閤園(7,600坪)を創価学会に390億円で売却したほか、同年9月に政投銀の“DBJ飲食・宿泊支援ファンド”に150億円のA種優先株式を発行して資本性資金を拡充しています。足許の自己資本比率は28.3%と回復に弾みがついているものの、優先株の利払い負担が年6億円発生しているため、復配よりは早期償還が望まれる状況です。


*参考記事① 2023-04-29  3,580円 OP

【9722】藤田観光/旅行支援とインバウンドで回復は想定超とみられる、小涌園再開発が開業。

 

*参考記事② 2022-11-26 2,997円 OP

【9722】藤田観光/観光需要回復で上振れ圏、虎の子の“椿山荘“を死守する見通し。

 

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