【4979】OATアグリオ/為替恩恵大きいが、それを原資に向こう3年は研究開発費用が高水準。 | なちゅの市川綜合研究所

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【4979】OATアグリオ(東証プライム)  OP

現在値 1,752円/100株 P/E 6.9  P/B 1.46  12月配当 株主優待あり

農薬と肥料の開発・製造企業。大塚化学からMBOで独立。植物成長調整剤にも注力。
配当は年間55円のため、配当利回りは約3.23%となります。

OATアグリオは株主優待制度を導入しており、12月末に単元株を保有する株主に対して、2,500円分の自社商品を進呈しておりますので、配当優待利回りは約4.56%となります。また、1年以上の長期保有株主に対しては1,000~3,000円分のクオカードを別途進呈しておりますので、この場合における配当優待利回りは約6.27%となります。

業績を確認していきます。

■2021年12月期 売上高 226億円、営業利益 19.8億円、EPS 268.3円  

■2022年12月期 売上高 269億円、営業利益 33.4億円、EPS 214.1円  

■2023年12月期 売上高 289億円、営業利益 37.6億円、EPS 236.4円   

■2024年12月期 売上高 293億円、営業利益 31.5億円、EPS 186.7円 ce

□2024年3月1Q 売上高 80.3億円、営業利益 8.9億円、EPS 69.5円(5/10)  

□2024年6月2Q 売上高 165億円、営業利益 27.0億円、EPS 165.3円 四e   
 
2023年12月期の売上高はYoY+7.5%の289億円、営業利益はYoY+12.6%の37.6億円とで着地し、1Qの通期増額見通し並みの着地となりました。国内農薬・海外農薬ともに殺虫剤・殺ダニ剤・殺菌剤が何れも堅調に推移したほか、肥料・バイオスティミュラント(植物ストレス軽減による成長促進剤または技術、BS)事業については、肥料こそ国内の過剰在庫影響を受けたものの、BS剤は好調だったほか、海外で「アトニック」が一段増となりました。利益面は人件費等の販管費増があったものの、為替有利影響で2桁増益となりました。


進行期である2024年12月期の予算については、売上高はYoY+1.1%の293億円、営業利益はYoY▲16.4%の31.5億円を予想しています。国内農薬は殺虫剤の堅調が予想されるほか、果実市場向けの天然由来のグリーン農薬の伸長します。肥料・BS事業については、肥料の過剰在庫の調整一巡が見込まれるほか、中・印市場でBS拡販を図ります。なお、利益面については人件費・R&D費用の一段増で2桁減益を予想しており、5月10日開示済の1Qは売上高80.3億円&営業益8.9億円と低進捗の状況です。

 

当社は3年中計をローリング方式で開示しており、最終年度である2026年12月期までに売上高を289億円→317億円、営業利益37.6億円→38.0億円まで引き上げる計画としています。ここ数年は為替の有利影響(要は円安)が極めて大きく、直近3年で2.5倍に膨らんだ利益のうち63%が為替効果という“高いゲタ”を履いている状態のため、今次ローリングでも保守的な計数となっています。

 

今次中計における取組事項は研究開発への積極投資となっており、向こう3年で80億円ものR&D費用を予算化するほか、中計終了後(FY2027~)も売上比10%という高水準の費用を積む方針です。最注力は①環境配慮型防除資材/グリーン農薬の拡大であり、会社側では内外TAMを1,950億円と見積もるほか、国内では化学農薬から物理防除・生物農薬に加速度的なシフトがみられることから、国内シェア40%を目指して「湯水のごとく」R&D費用を突っ込む計画です。

 

また、②BS事業にも継続注力する方針であり、りんご等果樹向け防除剤といった従来商材に限らず、きゅうり・ピーマン・トマトといった施設園芸分野(ビニールハウス)に養液土耕肥料・各種防除剤・施肥商材とこれらの栽培システムを一括して売り込み、此方も国内シェア40%の獲得を目指します。

 

このほか③グローバルの取り組みとしてM&Aを積極的に実施しており、2018年に買収した花・植物の鮮度保持剤で世界首位の蘭クリザール社(売上高64億円・営業利益5億円)をはじめ、西で防除資材・肥料・BS剤の開発をするLIDA社(売上高9億円)、CAPA社(売上高2億円)をそれぞれ買収しているため、世界販路は既に89ヵ国に上っています。海外販路の確保もさることながら、空前の円安でこれらの買収が全てブーストされる形で当社業績に寄与しており、意義ある選択だったと解されます。

 

財務状況については、アグレッシブな海外買収で悪化していたものの、足許の自己資本比率は40.1%まで回復してます。株主還元については、配当性向20~30%基準とした安定配当を還元ポリシーとしており、進行期については5円増配の年55円配当を見込んでいます。


*参考記事① 2023-05-23  1,752円 OP

【4979】OATアグリオ/3年中計は1年で過達。今期も1Qで上方だが、為替効果で強含みの展開。

 

*参考記事② 2022-05-07 1,116円 OP

【4979】OATアグリオ/好採算のグリーン防除剤伸長で中計は1年前倒し、海外本格化の兆しも。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。

 

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