【4979】OATアグリオ(東証プライム) OP
現在値 1,752円/100株 P/E 6.9 P/B 1.46 12月配当 株主優待あり
農薬と肥料の開発・製造企業。大塚化学からMBOで独立。植物成長調整剤にも注力。
配当は年間50円のため、配当利回りは約2.85%となります。
OATアグリオは株主優待制度を導入しており、12月末に単元株を保有する株主に対して、2,500円分の自社肥料を進呈しておりますので、配当優待利回りは約4.28%となります。また、1年以上の長期保有株主に対しては1,000円分のクオカードを別途進呈しておりますので、この場合における配当優待利回りは約4.85%となります。
業績を確認していきます。
■2020年12月期 売上高 202億円、営業利益 15.1億円、EPS 154.8円
■2021年12月期 売上高 226億円、営業利益 19.8億円、EPS 268.3円
■2022年12月期 売上高 269億円、営業利益 33.4億円、EPS 214.1円
■2023年12月期 売上高 285億円、営業利益 40.0億円、EPS 250.6円 ce修正(5/10)
□2023年3月1Q 売上高 93.0億円、営業利益 25.0億円、EPS 161.1円(5/10)
□2023年6月2Q 売上高 158億円、営業利益 28.3億円、EPS 177.8円 四e
2022年12月期の売上高はYoY+18.9%の269億円、営業利益はYoY+70.2%の33.4億円と2桁の増収増益となり、対予算でも大幅に上振れました。国内農薬は、リンゴに代表される果樹/柑橘市場で殺ダニ剤・殺虫剤が拡大したほか、海外農薬についても北米・南米向けの殺ダニ剤が好調に推移しました。肥料・バイオスティミュラント(植物ストレス軽減による成長促進剤または技術、BS)事業も、施肥灌水技術向けの養液土耕・水耕栽培用肥料のシェアが拡大したほか、傘下の蘭Blue Wave社、西LIDA社が堅調に推移したほか、為替効果で一段増となりました。
進行期である2023年12月期の見通しについては、1Q段階ではや増額しており、売上高はYoY+5.7%の285億円(期予:277億円)、営業利益はYoY+8.7%の40.0億円(期予:32.0億円)に修正しています。国内農薬は殺虫剤・殺ダニ剤・殺菌剤が何れも堅調に推移しているほか、肥料・BS事業も養液土耕栽培システム「アグリオいちごマスター」といった“スマート農業”が引き続き伸長しています。また、原価増やベースアップといった減益要素を、保守的な為替の有利影響で打ち返しており、5月10日開示済の1Qは売上高93億円&営業益25億円と非常に高い進捗となっています。
当社は今次決算で3年中計をローリングして開示しており、最終年度である2025年12月期までに売上高を269億円→307億円、営業利益33.4億円→37.0億円まで引き上げることとしています。従前中計で3年後の目標としていた営業利益28.9億円は初年度で達成しまったものの、為替の大幅有利影響によるブーストが効いていることから、一定程度の為替バッファを織り込んで計画しているため、計数上の数字が鈍い大変保守的なものとなっています。
中計の成長ドライバーとしては、①グリーンプロダクツ拡大(売上+61%&粗利+75%)、②BS事業拡大(売上+23%&粗利+18%)、③グローバル製品展開(売上+21%&粗利+16%)の3点を挙げています。①・②は、りんご等果樹向け防除剤といった“売れ筋“従来商材の拡販だけでなく、きゅうり・ピーマン・トマトといったビニールハウス向け施設園芸分野(TAM72.5億円)の深耕でシェア4割確保(売上30億円)を志向し、各種防除剤・施肥商材・養液土栽培システムをワンパッケージで売り込みます。
③のグローバルは、2018年に花・植物の鮮度保持剤で世界首位の蘭クリザール社(売上高64億円・営業利益5億円)を78億円で買収し、西で防除資材・肥料・BS剤の開発をするLIDA社(売上高9億円)、CAPA社(売上高2億円)をそれぞれ買収しているため、世界販路は既に89ヵ国に上っています。買収各社は独自に製造・研究開発(世界5拠点)をしていることから、対売上のR&D費用を10%計上し、新製品の開発を推進します。
財務状況については、相次ぐ海外買収で悪化していたものの、足許の自己資本比率は35.6%まで急回復してます。株主還元については、配当性向20~30%基準とした安定配当を還元ポリシーとしているものの、1Q時点で年5円を積み増して年50円配当に修正していますが、これでも配当性向は下限の20%程のため、再増配の公算が高いとみられます。
*参考記事① 2022-05-07 1,116円 OP
【4979】OATアグリオ/好採算のグリーン防除剤伸長で中計は1年前倒し、海外本格化の兆しも。
*参考記事② 2021-04-21 736円*分割遡及修正済 OP
【4979】OATアグリオ/相次ぐ買収で体制再構築の必要、新中計3年間は雌伏期に。
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