【2695】くら寿司/中計には届かないが足許の回復基調は鮮明、競合激化の海外も成長続く。 | なちゅの市川綜合研究所

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【2695】くら寿司(東証プライム) NT

現在値 5,260円/100株  P/E 190.0  P/B 3.82  10月配当 4月株主優待

関西・関東軸にロードサイド中心の回転寿司「くら寿司」を直営展開。2位級。
配当金は10月末の年1回・20円配のため、配当利回りは約0.38%となります。

 

くら寿司は株主優待制度を導入しており、4月に単元株以上を保有する株主に対して2,500円分のクーポン(※1,000円につき500円利用可)を進呈しておりますので、配当優待利回りは約0.85%となります。

業績を確認していきます。  

■2021年10月期 売上高 1,475億円、営業利益▲26.7億円 EPS 48.0円

■2022年10月期 売上高 1,830億円、営業利益▲11.3億円 EPS 18.7円

■2023年10月期 売上高 2,114億円、営業利益 24.5億円 EPS 21.7円 

■2024年10月期 売上高 2,262億円、営業利益 24.0億円 EPS 27.6円 ce

□2024年1月1Q 売上高 561億円、営業利益 17.4億円 EPS 31.8円(3/12)

□2024年4月2Q 売上高 1,100億円、営業利益 20.0億円 EPS▲22.6円 四e 

 

2023年10月期の売上高はYoY+15.5%の2,114億円、営業利益はYoY+35.6億円の24.5億円となり、対前・対計画で増収ながらも利益は予算未達となりました。「ポケモン」「呪術廻戦」など有力IPとのコラボや、2020年10月の価格改定効果で国内SSSは103.2%となりました。また北米・アジアも同様に「コナン」「しんちゃん」等のIPコラボが効いたほか、中国本土店舗の反日感情の沈静化がみられました。利益面は原材料価格や水光熱費、人件費など原価が軒並み増加したものの、柔軟な商品ミックス変更である程度吸収しました。


進行期である2024年10月期の予算については、売上高がYoY+7.0%の2,262億円、営業利益はYoY+2.3%の24.0億円を予想しています。累計5ヶ月分が既開示のSSSについては、大局的には100%をやや上回る水準で推移しているものの、「ちいかわ」コラボや「浜田チャーハン」の寄与もあり、3月月次は123%と急伸しています。利益面については、海外が経費先行で後退しているものの、国内は原価高騰の一巡による採算性の改善が確認され、3月12日に開示済の1Qは売上高561億円&営業益17.4億円と通期上振れ圏で推移しています。

 

当社は2021年公表のローリング中計で、2030年10月期を目途に売上高を1,361億円→3,600億円に、内外店舗数を485店→1,100店まで引き上げる計画であり、増店による外部成長を志向しています。本来であれば、当初3ヵ年にあたる進行期(2024年10月期)で売上高2,200億円&海外売上高比率20%、経常利益率5%(110億円)の達成をマイルストン目標としていたものの、足許1Qの好業績が通期で続いたとしても達成は困難な状況です。

 

今次中計での取組事項として、①年25店+の出店、②SSS100%+の継続、③海外積極展開の3軸が挙げられています。①の国内は訪日客回復の受け皿となる都心繁華立地への出店や“グローバル旗艦店(弩級店舗)”を出店する一方、新型肺炎禍での大量出店は一旦通常ペースに戻します。②は強力IPのコラボと大量TV広告投入の併用といった、当社にありがちな“力技”の販促策だけでなく、既存店の回転レーンの機能拡充やシステムを用いた柔軟な価格設定で、よりきめ細やかな商品設計でSSS維持・向上を目指します。

 

③の海外展開は米国で10店/y・台湾で58店/yを出店する計画です。現状、米国子会社(NQ上場)が50店を展開しているほか、台湾子会社(TW上場)が53店を展開しており、スシロー(FOOD&LIFE Co.)を先行しています。他方、香港・台湾で存在感の大きい元気寿司(234店)や、Sushi Expressといった海外競合の同業の後塵を拝しているほか、英国で大型買収したはま寿司(ゼンショー)も急成長しています。また当社は親子上場特有の利益流失も重しとなるため、注文通りの成長が実現しても、数字乗りが悪いという割引要素があります。

 

なお財務面については、ネット現金180億円超&自己資本比率41.2%と潤沢な水準を維持しています。そのため、増収増益予想ながらも配当予想の年20円(横ばい)の配当性向は72.2%と試算されるものの、財務的には全く負担感の無い水準であり、増配も可能と解されます。


*参考記事① 2023-10-24 3,255円 OP

【2695】くら寿司/各種原価増やはま寿司への流出が痛打、業績は未達公算が高い。

 

*参考記事② 2023-03-29 3,165円 OP

【2695】くら寿司/同業の動画風評影響や、「ちいかわ」等の積極販促策で採算性の悪化続く。

 

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