【9728】日本管財HD/国内まずまずだが人件費高が重し、海外は為替や持分追加取得で一段増。 | なちゅの市川綜合研究所

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【9728】日本管財ホールディングス (東証プライム) NT

現在値 2,566円/100株 P/E 15.9  P/B 1.42 3月配当優待 9月配当優待

ビルの設備・警備・清掃を中心とした総合管理会社。再開発物件に強み。
配当金は3月末・9月末の合計54円配当のため、配当利回りは2.10%となります。

日本管財は株主優待を導入しており、3月末・9月末の単元株主に対して、各回2千円相当のカタログギフトを進呈しておりますので、配当優待利回りは約3.66%となります。なお3年以上の長期保有により株主優待が3千円分にグレードアップし、その場合の配当優待利回りは約4.44%となります。

業績を確認していきます。

■2021年3月期 売上高 1,041億円、経常利益 81.2億円 EPS 141円 

■2022年3月期 売上高 1,037億円、経常利益 82.7億円 EPS 165円 

■2023年3月期 売上高 1,130億円、経常利益 86.6億円 EPS 151円

■2024年3月期 売上高 1,186億円、経常利益 91.0億円 EPS 160円 ce 
□2023年9月2Q 売上高 570億円、経常利益 44.8億円 EPS 81円 

□2023年12月3Q 売上高 880億円、経常利益 66.9億円 EPS 123円(2/6)

2023年9月中間期の売上高はYoY+6.1%の570億円、経常利益はYoY▲5.6%の44.8億円となり、対前で減益ながらも予算を上振れました。主力のBM事業は新規契約の増加と既存契約の更改が進捗したほか、住宅管理・環境施設管理事業についても工事関連受注や新規案件増加で軒並み増収となりました。他方で利益面については、在外関連会社の持分法取込で為替の有利影響があったものの、持株会社移行に伴う一過性経費発生や人件費増加があり、減益となっています。


なお2024年3月期の通期見通しは期初予想を据え置いており、売上高はYoY+4.9%の1,186億円、経常利益はYoY+5.0%の91.0億円を見込んでいます。主力のBM事業については、空室率の高止まりや水道光熱費・各種管理原価の高騰で家主側のコスト削減意識は強いものの、好調な環境施設管理事業の新規案件増で増収増益を見込みます。なお、2月6日開示済の3Q決算は売上高881億円&経常利益66.9億円で進捗しており、概ね計画線の推移と解されます。

 

当社は昨年4月に株式移転方式による持株会社(日本管財ホールディングス)体制に移行しているものの、中長期の経営計画は特に開示していません。一応の中期取組事項としては、①PFIやPPPといった公共需要獲得、②M&A及び出資の推進、③海外展開、④DXの推進の4点が掲げられています。

 

①は上下水道管理施設やごみ焼却施設等の管理で首位級の地位を活かし、自治体施設の“包括的民間受託”の獲得を推進しており、直近では三島市(85施設)、宗像市(181施設)ほかで受注しており、19自治体933施設に上っています。➁のM&Aについては、2022年に自治体等公共向けに強いJTBアセットマネジメントの株式を4割取得したほか、積水化学工業より清流メンテナンス(汚泥・排水処理)の全株式を取得しています。

 

③の海外事業は持分法の加州KPPM社(50%)・豪州PICA社(50%)、ハワイ最大の区分所有物件住宅管理シェアを持つハワイアナ社(50%)といった主要海外拠点が堅調に推移しているほか、為替影響で経常益寄与が大きくなっています。特にハワイアナに関しては昨年8月に残り持分50%を取得して完全子会社としたほか、9月にはドイツ・ミュンヘンの住宅管理会社アッカーマンの持分75%も取得しており、矢継ぎ早の行業拡大が目立ちます。

財務面については、ネット現金を300億円弱保有しているほか、200億円弱の有価証券も保有しているため、じゃぶじゃぶの財務状態となっています(自己資本比率75.9%)。他方、配当については据置の年54円配当を予想しており、財務体質を鑑みれば還元不足は明らかな状況です。会社側では非営業目的の持合解消に取り組んでいるものの、単なる“営業目的有価証券への組替”を企図しており、株主還元原資にする意向な無いものと解されます。

 

*参考記事① 2023-03-24 2,542円 NT

【9728】日本管財/新規案件・値上げ更改ともに順調、4月に持株会社制に移行。


*参考記事② 2022-10-08 2,572円 NT

【9728】日本管財/工事受注低調も、公共需は手堅い。株主還元姿勢の変化に期待したい。

 

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