【9010】富士急行(東証プライム) NT
現在値 4,030円/100株 P/E 53.5 P/B 6.98 3月配当優待 9月優待
富士山麓周辺で別荘・リゾート施設等を展開。富士急ハイランドが主力。バスに強み。
配当は3月末一括の18円配当のため、配当利回りは約0.45%となります。
富士急行は株主優待制度を導入しており、3月末・9月末の年2回、単元株を保有する株主に対して、遊園地フリーパスなどとの交換が可能な電車・バス・観光共通優待券を5枚進呈しておりますので、1枚500円換算した場合の配当優待利回りは約1.68%となります。
業績を確認をしていきます。
■2021年3月期 売上高 304億円、営業利益▲30.9億円 EPS▲52.4円
■2022年3月期 売上高 402億円、営業利益 25.4億円 EPS 22.6円
■2023年3月期 売上高 429億円、営業利益 42.4億円 EPS 43.6円
■2024年3月期 売上高 498億円、営業利益 75.0億円 EPS 75.3円 ce修正
□2023年9月2Q 売上高 259億円、営業利益 48.9億円 EPS 59.8円
□2023年12月3Q 売上高 390億円、営業利益 72.0億円 EPS 88.5円(2/7)
2023年9月中間期の売上高はYoY+16.0％の498億円、営業利益はYoY+76.7%の75.0億円と対前・対予算で大幅な増収増益となりました。運輸事業については、全般的に訪日客の回復が寄与し、JR直通の富士回遊を増発したほか、多言語ディスプレイの導入や臨時列車の増発により取り込みを強化しました。また、レジャー事業のハイランドも7月の新ライド投入もあり、修学旅行客の回復や併設ホテルの稼働率向上で大幅な増収増益を確保しています。
2024年3月期の通期見通しは3Q時点で増額しており、売上高はYoY+16.0%の498億円(期予:489億円)、営業利益はYoY+76.7%の75.0億円(期予:58.8億円)に修正しています。運輸事業については既に訪日客利用が平時水準を超過しているほか、乗合バス事業の運賃改定、ダイヤの間隔正常化による増発、三島発便の増便等の取組により収益は一段増で推移しています。レジャー事業もハイランドの新ライド効果やさがみ湖PFの児童向け“SASUKE”拡張等で好調に推移しています。2月7日開示済の3Qは、売上高390億円＆営業利益72.0億円で進捗しており、なお上振れ圏と解されます。
進行期は2026年3月期を最終年度とする中計の初年度であり、向こう3年で売上高を429億円→507億円に、営業利益を42億円→67億円に引き上げる計画としています。取組事項としては①ブランド戦略、➁ハイランドの観光客取込強化、③箱根・熱海展開、④DXPF推進の4点を挙げています。①は富士山を中心としたバス網で首都圏までを含めた広域的な取込を図る計画とし、相模湖・箱根(十国峠)・熱海といった近接エリアでの事業拡大を図ります。
➁のハイランドは、2021年の「FUJIYAMAスライダー」に続き、昨年は過去最高となる約45億円の総工費を投じたバイクライド型の「ZOKKON」を導入しており、「高飛車」以来12年振りの新コースターとなります。なお乗客事故が相次いでいた「ド・ドンパ」に関してはこの3月に廃止・解体と6億円の特別損失計上を公表しているものの、既に2年半に渡って運行休止していることから、集客影響は軽微と解されます。③は西武系の伊豆箱根鉄道から芦ノ湖の遊覧船事業を譲受しており、富士五湖の相互周遊観光に繋げる目論見です。
2017年より山梨県から賃借している山中湖村の別荘地やゴルフ場の県有地440haについて、地元住民と地代(年3.25億円)の適正性について係争していましたが、2020年の長崎知事就任以降は、山梨県が原告成りして当社と係争している状況でした。然しながら、上訴審である2023年8月の東京高裁控訴も原告棄却となり、山梨県側の全面敗訴で解決しています。
財務状況については、足許の業績急回復で自己資本比率は節目の3割を超過し、30.6％に達しており、今次中計で目標とする有利子負債487億円(足許527億円程度)の達成も十分視野に入る状況にあります。なお配当金については、3円増配の年18円配を見込んでいるものの、業績上振れ圏のため更なる増配含みと解されます。
*参考記事① 2023-10-07 4,370円 NT
【9010】富士急行/新コースター「ZOKKON」を投入、県地代訴訟は当社勝利で終結。
*参考記事② 2023-03-23 4,255円 NT
【9010】富士急行/山梨県地代訴訟は一審勝訴、今夏45億円を投じた新コースターが竣工。
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