【9010】富士急行/山梨県地代訴訟は一審勝訴、今夏45億円を投じた新コースターが竣工。 | なちゅの市川綜合研究所

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【9010】富士急行(東証プライム) NT


現在値 4,255円/100株  P/E 155.8  P/B 8.98 3月配当優待 9月優待

富士山麓周辺で別荘・リゾート施設等を展開。富士急ハイランドが主力。バスに強み。
配当は3月末一括の12円配当のため、配当利回りは約0.28%となります。

富士急行は株主優待制度を導入しており、3月末・9月末の年2回、単元株を保有する株主に対して、遊園地フリーパスなどとの交換が可能な電車・バス・観光共通優待券を5枚進呈しておりますので、1枚500円換算した場合の配当優待利回りは約1.45%となります。

業績を確認をしていきます。企業会計基準第29号新収益認識基準に移行しています。

■2020年3月期 売上高 529億円、営業利益 44.9億円 EPS 29.7円  

■2021年3月期 売上高 304億円、営業利益▲30.9億円 EPS▲52.4円  

■2022年3月期 売上高 402億円、営業利益 25.4億円 EPS 22.6円 

■2023年3月期 売上高 416億円、営業利益 35.2億円 EPS 27.3円 ce
□2022年9月2Q 売上高 206億円、営業利益 19.4億円 EPS 17.7円

□2022年12月3Q 売上高 318億円、営業利益 32.1円 EPS 33.3円(2/8)

 

2022年9月中間期の売上高はYoY+21.6%の206億円、営業利益はYoY*5.2倍の19.4億円と増収増益ながらも予算比は未達となりました。運輸事業については、鉄道の戻りが今一つだったものの、バス事業については富士五湖エリアの周遊バスの運行頻度を増やした乗合バスが好調に推移しました。また、レジャー事業のハイランドも新アトラクション稼働開始や恒例の「NARUTO」コラボにより入客が回復したほか、8月11には十国峠のテラスリニューアルも完了したため、下期からの本格貢献が期待されます。

 

2023年3月期の通期見通しは期初予想を据え置いており、売上高はYoY+18.7%の416億円、営業利益はYoY*4.6倍の35.2億円を見込んでいます。下期からの全国旅行支援やインバウンドの回復により全社的に業績の戻りが強くなる見通しです。運輸事業の鉄道は、下吉田駅の乗降客数が顕著に増加しているほか、バス事業も修学旅行需要に回復がみられ、旗艦路線の新宿⇔富士五湖便で積極増発するなどしています。2月8日開示済の3Q決算については、売上高318億円&営業利益32.1億円で進捗しており、上振れ確実の状況です。

 

進行期は本来であれば2025年3月期を最終年度とする新中計が公表される予定でしたが、新型肺炎禍の影響で目標計数の公表を1年先送りしており、この1年は足場固めに充てる方針です。前中計期間に入園無料化に踏み切ったハイランドは、昨年7月の絶叫系アトラクション「FUJIYAMAスライダー」の投入に続き、今夏には「高飛車」以来12年振りのコースターを投入します。バイクライド型となる本コースターは過去最高の45億円の総工費を投じており、入園者数回復の契機となるか注目されます。

 

2017年より山梨県より賃借している山中湖村の別荘地やゴルフ場の県有地440haについて、地元住民と地代(年3.25億円)の適正性について係争していましたが、2020年の長崎知事の県知事就任以降は、山梨県が原告成りして当社と係争している状況です。昨年12月20日の甲府地裁判決で92億円の地代支払い請求は棄却され一審勝訴となったものの、山梨県は同月28日に東京高裁に控訴しています。なお、長崎知事と当社堀内一族はかねてより“遺恨関係”にあることから、引き続き“泥沼化”しているような状況です。

 

財務状況については、目下の自己資本比率は24.4%と横ばい圏で推移しており、従前中計で目標としていた有利子負債500億円(足許629億円程度)の達成にはまだ相応の時間を要する見通しです。なお、株主還元については、2年増配の年12円配を予想しており、巡行の年15円配の復元にはもう一歩となっています。

 

*参考記事① 2022-03-03  4,000円 NT

【9010】富士急行/山梨県との適正地代に関する対立が鮮明に、安全性リスクも顕在化。

 

*参考記事② 2021-01-16  4,630円 NT

【9010】富士急行/会社計画は下期の回復が前提で楽観的、配当はレンジ下限での決着か。

 

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