【9010】富士急行(東証プライム) NT
現在値 4,370円/100株 P/E 73.2 P/B 8.82 3月配当優待 9月優待
富士山麓周辺で別荘・リゾート施設等を展開。富士急ハイランドが主力。バスに強み。
配当は3月末一括の18円配当のため、配当利回りは約0.41%となります。
富士急行は株主優待制度を導入しており、3月末・9月末の年2回、単元株を保有する株主に対して、遊園地フリーパスなどとの交換が可能な電車・バス・観光共通優待券を5枚進呈しておりますので、1枚500円換算した場合の配当優待利回りは約1.55%となります。
業績を確認をしていきます。
■2021年3月期 売上高 304億円、営業利益▲30.9億円 EPS▲52.4円
■2022年3月期 売上高 402億円、営業利益 25.4億円 EPS 22.6円
■2023年3月期 売上高 429億円、営業利益 42.4億円 EPS 43.6円
■2024年3月期 売上高 489億円、営業利益 58.8億円 EPS 59.7円 ce
□2023年6月1Q 売上高 112億円、営業利益 12.9億円 EPS 15.8円(8/2)
□2023年9月2Q 売上高 251億円、営業利益 36.9億円 EPS 40.8円 ce
2023年3月期の売上高はYoY+22.3%の429億円、営業利益はYoY*5.5倍の42.4億円と対前・対予算で大幅な増収増益となりました。運輸事業については、鉄道事業が訪日客の戻りで回復したほか、バス事業も周遊バスの増便とロケーションシステムのgoogle連携等といった利便性向上施策が奏功し、黒字圏に復帰しました。また、レジャー事業のハイランドも新アトラクション投入や十国峠のテラス改装を実施したほか、修学旅行客の回復や併設ホテルの稼働率向上で大幅な増収増益を確保しています。
進行期である2024年3月期の予算について、売上高はYoY+14.1%の489億円、営業利益はYoY+38.6%の58.8億円を2桁の増収増益を予想しています。運輸事業の鉄道は、訪日客利用が既に新型肺炎禍前の水準まで回復しているほか、高速バスも音楽コンサート再開にともなう増便や、東京駅⇔河口湖線の運賃改定等も寄与します。レジャー事業も完全正常化や人気の「NARUTO」コラボによる入客増を見込みます。8月2日開示済の1Q決算については、売上高112億円&営業利益12.9億円で進捗しており、ややビハインドと解されます。
このたび当社は2026年3月期を最終年度とする3年中計を公表しており、売上高を429億円→507億円に、営業利益を42億円→67億円に引き上げる計画としています。取組事項としては①ブランド戦略、➁ハイランドの観光客取込強化、③箱根・熱海展開、④DXPF推進の4点を挙げています。①は富士山を中心としたバス網で首都圏までを含めた広域的な取込を図る計画とし、相模湖・箱根(十国峠)・熱海といった近接エリアでの事業拡大を図ります。
➁のハイランドは、2021年の絶叫系アトラクション「FUJIYAMAスライダー」の投入に続き、今夏には「高飛車」以来12年振りのコースター「ZOKKON」を投入しました。バイクライド型となる本コースターは過去最高の45億円の総工費を投じており、正常化後の入園者数回復の起爆剤となるかが注目されます。③は西武系の伊豆箱根鉄道から芦ノ湖の遊覧船事業を譲受しており、富士五湖の相互周遊観光に繋げる目論見です。
なお2017年より山梨県から賃借している山中湖村の別荘地やゴルフ場の県有地440haについて、地元住民と地代(年3.25億円)の適正性について係争していましたが、2020年の長崎知事就任以降は、山梨県が原告成りして当社と係争している状況でした。2022年12月20日の甲府地裁判決で92億円の地代支払い請求は棄却され、本年8月の東京高裁控訴も棄却となったため、山梨県の全面敗訴が確定しています。
財務状況については、目下の自己資本比率は26.6%と横ばい圏で推移しており、今次中計で目標とする有利子負債水準の487億円(足許611億円程度)達成には、なお時間を要する見通しです。配当金については、3円増配の年18円配を予想しており、既に平時の巡行水準を回復しています。
*参考記事① 2023-03-23 4,255円 NT
【9010】富士急行/山梨県地代訴訟は一審勝訴、今夏45億円を投じた新コースターが竣工。
*参考記事② 2022-03-03 4,000円 NT
【9010】富士急行/山梨県との適正地代に関する対立が鮮明に、安全性リスクも顕在化。
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