【7182】ゆうちょ銀行(東証プライム) NT
現在値 1,631円/100株 P/E 17.6 P/B 0.62 3月配当優待 9月配当
預貯金で国内最大。国際主体の運用を近年多様化。営業は郵便局に委託。
配当は3末の年1回・50円のため、配当利回りは約3.06%となります。
ゆうちょ銀行は株主優待制度を実施しており、3月末に5単元以上を保有する株主に対して、3,000円分のふるさと小包(カタログギフト)を進呈しておりますので、5単元保有時の配当優待利回りは約3.43%となります。
業績を確認していきます。
■2021年3月期 経常収益 19,467億円、最終利益 2,801億円 EPS 74.7円
■2022年3月期 経常収益 19,776億円、最終利益 3,550億円 EPS 94.7円
■2023年3月期 経常収益 20,642億円、最終利益 3,250億円 EPS 86.8円
■2024年3月期 経常収益 (未定)億円、最終利益 3,350億円 EPS 92.5円 ce
□2023年9月2Q 経常収益 12,995億円、最終利益 1,821億円 EPS 50.3円
□2023年12月3Q 経常収益 19,341億円、最終利益 2,633億円 EPS 72.7円(2/14)
2023年9月中間期の経常収益はYoY+39.9%の12,995億円、最終利益はYoY+14.8%の1,821億円となり、計画比は無いものの増収増益となりました。資金利益は海外金利上昇に伴う外貨調達コスト増要因で減益(▲919億円)、外為売買損益や債券損益の減少でその他業務利益も減益(▲1,090億円)となりました。他方、役務提供利益は底堅く微増益を確保したほか、PE・不動産ファンド・株式売買収益といった臨時損益(+2,337億円)で穴埋めし、トータルで増益を確保しました。
なお2024年3月期の通期見通しは据え置いており、最終利益はYoY+3.0%の3,350億円を予想しています。資金利益は通年で海外金利上昇影響を受け減益(3Q時点で▲711億円)、同様にその他業務利益も大幅減益(3Q時点で▲2,450億円)となっているものの、いずれも想定範囲内の下押しと解されます。なお役務提供利益は手数料増額の通期化等で微増を見込むほか、全社収益の調整弁であるPE・不動産収益の計上と株式のリスク調整売却といった臨時損益が下支え(+3,391億円)し、全社では微増益を確保する公算です。
進行期は5年中計の4年度目であり、最終年度である2026年3月期を目途に最終利益を「2,801億円→3,500億円」まで引き上げるほか、ROEは「3.06%→3.6%以上」に、OHRを「72.3%→66%以下」に、自己資本比率10%の下限維持を目標とします。中計5年間で外債償還益・国債収益の減少(▲4,000億円)が見込まれることから、これをPE・不動産の収益拡大(+3,400億円)と外債投資信託(+800億円)の積み上げ、役務提供利益の収益改善と経費削減(+800億円)を見込み、全社では税引後ネット+700億円を見込みます。
中核の資金利益分野で国際分散投資を進める方針であり、リスク性資産を91.1兆円→110兆円に、PE・不動産等オルタナ系戦略投資域を4.2兆円→10兆円に拡大させます。後者は期末でYoY+3.7兆円の10.1兆円に達しているほか、うちPEは既に“ヴィンテージ収益拡大局面”に入っており、益出しが進んでいるものの、9末時点の含み益も1.0兆円と依然として高水準を維持しています。なお、あおぞら銀が大きな影響を受けた北米不動産向けノンリコ残高は3,000億円レベルであり、引当金の計上インパクトは限定的です。
役務提供利益の拡大については、リテールのデジタル戦略(通帳アプリ等)による経費削減だけでなく、ATMや各種サービス手数料を順次増額改定しているほか、日本郵便への委託手数料減額等による収益改善を図っており、進行期で値上げ効果が概ね巡行化します。これらの取組や、足許の金利動向を考慮すると実勢は中計比強含みの状況とみられ、ゼロ金利脱出が期待される国債は償還多く積み増しすが進まないものの、会社側では本年5月の本決算公表時に増額ローリングをかけるものと解されます。
なお株主還元については、今次中計期間の配当性向方針(50%~60%)に従い、年50円の据置(配当性向54.0%)を見込んでいます。昨年3月に当社株式の89%を保有していた日本郵政が1兆円規模の株式を売り出し、保有割合を60%程に落としていますが、第二弾となる売り出しについては翌年度に見送られています。
*参考記事① 2023-09-13 NT 1,2421円 NT
【7182】ゆうちょ銀行/業績横這い圏も、日本郵政による売り出し第二弾が想定される。
*参考記事➁ 2023-03-14 1,179円 NT
【7182】ゆうちょ銀行/第2次売り出しは郵政持分60%程度まで、年50円配維持とみられる。
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