【7182】ゆうちょ銀行(東証プライム) NT
現在値 1,242円/100株 P/E 13.4 P/B 0.47 3月配当優待 9月配当
預貯金で国内最大。国際主体の運用を近年多様化。営業は郵便局に委託。
配当は3末の年1回・50円のため、配当利回りは約4.03%となります。
ゆうちょ銀行は株主優待制度を実施しており、3月末に5単元以上を保有する株主に対して、3,000円分のふるさと小包(カタログギフト)を進呈しておりますので、5単元保有時の配当優待利回りは約4.50%となります。
業績を確認していきます。
■2021年3月期 経常収益 19,467億円、最終利益 2,801億円 EPS 74.7円
■2022年3月期 経常収益 19,776億円、最終利益 3,550億円 EPS 94.7円
■2023年3月期 経常収益 20,642億円、最終利益 3,250億円 EPS 86.8円
■2024年3月期 経常収益 (未定)億円、最終利益 3,350億円 EPS 92.5円 ce
□2023年6月1Q 経常収益 6,434億円、最終利益 868億円 EPS 23.9円(8/10)
□2023年9月2Q 経常収益 10,000億円、最終利益 1,630億円 EPS 45.1円 四e
2023年3月期の経常収益はYoY+4.3%の20,642億円、最終利益はYoY▲8.4%の3,250億円となり、ほぼ計画線での着地となりました。資金利益は海外金利上昇に伴う外貨調達コスト増(▲1,250億円)や、特別分配金の負担増(▲1,600億円)影響により、外債売却益を飲み込んで減収し、期末資金利ザヤはYoY▲18bps.の34bps.にまで大きく低下しました。他方、役務提供利益はATM手数料、手数料水準の値上げで増収(+190億円)したほか、PE・不動産収益(+1,460億円)も堅調に推移しました。
進行期である2024年3月期の予算については、トップライン非開示も、最終利益はYoY+3.0%の3,350億円を予想しています。資金利益は通期で海外金利上昇影響を受けるほか、運用利回りは“逆イールド状態”の継続前提とした保守想定となっており、加えて円金利上昇の場合は相応の円貨待機資金もあるためアップサイドが存在します。なお役務提供利益は手数料増額の通期化により増収、全社収益の調整弁であるPE・不動産収益は減収を見込み、8月10日開示の1Q決算の純益進捗率は26%と概ね計画線で推移しています。
進行期は5年中計の4年度目であり、最終年度である2026年3月期を目途に最終利益を「2,801億円→3,500億円」まで引き上げるほか、ROEは「3.06%→3.6%以上」に、OHRを「72.3%→66%以下」に、自己資本比率10%の下限維持を目標とします。中計5年間で外債償還益・国債収益の減少(▲4,000億円)が見込まれることから、これをPE・不動産の収益拡大(+3,400億円)と外債投資信託(+800億円)の積み上げ、役務提供利益の収益改善と経費削減(+800億円)を見込み、全社では税引後ネット+700億円を見込む計画です。
中核の資金利益分野で国際分散投資を進める方針であり、リスク性資産を91.1兆円→110兆円に、PE・不動産等オルタナ系戦略投資域を4.2兆円→10兆円に拡大させる計画です。後者は終わった期でYoY+3.7兆円の10.1兆円に達しているほか、うちPEは既に“ヴィンテージ収益拡大局面”に入っていることから、単年で3,200億円の収益源に成長しており、含み益も1兆円(ネットIRR目標8.0%vs実績12.0%)と高水準を維持しています。
役務提供利益の拡大については、リテールのデジタル戦略(通帳アプリ等)による経費削減だけでなく、ATMや各種サービス手数料を順次増額改定しているほか、日本郵便への委託手数料減額等による収益改善を図っており、進行期で値上げ効果が概ね巡行化します。このほか“Σビジネス”と呼ぶ、投資を通じた法人ビジネスの拡大を志向しており、傘下のJPインベストメントやフロンティア・マネジメントとの協業によるファンド運用により、地域活性と新ドメインの開拓を図ります。
なお株主還元については、今次中計期間の配当性向方針(50%~60%)に従い、年50円の据置(配当性向54.0%)を見込んでいます。本年3月に当社株式の89%を保有していた日本郵政が1兆円規模の株式を売り出し、保有割合を60%程に落とした経緯がありますが、進行期中にも第二弾となる売り出しが見込まれます。その際はまた500億円程度(2%)の自社株買いで、その一部を吸収するものと解されます。
*参考記事① 2023-03-14 1,179円 NT
【7182】ゆうちょ銀行/第2次売り出しは郵政持分60%程度まで、年50円配維持とみられる。
*参考記事➁ 2022-08-12 1,024円 NT
【7182】ゆうちょ銀行/金利上昇で外債含み損突入も、PE収益が急拡大・年50円配を維持か。
*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。
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