【8410】セブン銀行/金利負担大きい米国事業は契約更改で改善メド、期末の1円増配を期待したい。 | なちゅの市川綜合研究所

なちゅの市川綜合研究所

「別に勝たなくてもいいので、負けないこと」を志向しております。
本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報等に基づき、作成されています。
当ブログの情報に全面的に依拠することはお控えいただき、最終的なご判断はご自身でお願いいたします。

image

【8410】セブン銀行(東証プライム) BY

現在値 303円/100株  P/E 9.31  P/B 1.51  3月配当 9月配当 株主優待無し

提携金融機関からのATM手数料が柱。セブン‐イレブン店舗中心に2.5万台超、海外展開も。

 

配当金は年2回・合計11円のため、配当利回りは約3.62%となります。
セブン銀行は株主優待を実施しておりません。

業績を確認していきます。

■2021年3月期 経常収益 1,372億円、経常利益 356億円 EPS 22.0円 

■2022年3月期 経常収益 1,366億円、経常利益 282億円 EPS 17.7円 

■2023年3月期 経常収益 1,549億円、経常利益 289億円 EPS 16.0円

■2024年3月期 経常収益 1,985億円、経常利益 255億円 EPS 32.6円 ce(8/4)

□2023年9月2Q 経常収益 922億円、経常利益 164億円 EPS 27.7円 

□2023年12月3Q 経常収益 1,448億円、経常利益 229億円 EPS 31.1円(2/9)

2023年9月中間期の経常収益はYoY+24.8%の922億円、経常利益はYoY+12.8%の164億円となり、対前・対計画で増収増益となりました。人流回復や消費者金融系の資金需要の回復により、利用件数/日は計画101.2件に対し、実績104.7件で想定超となったほか、手数料の高いメガバンクや消費者金融系も底打ちし、受入単価は計画109.2円→実績110円まで上振れました。なお設置台数は、期末比純増574台となり、上期末の設置総数は27,099台となりました。

 

なお2024年3月期の通期見通しは1Q修正予想を据え置いており、経常収益はYoY+28.0%の1,985億円(期予:1,665億円)、経常利益はYoY▲11.8%の255億円(期予:245億円)を見込んでいます。通期の利用件数前提は101.2件、受入単価は107.7円ながら、9ヵ月累計で105.5件&109.6円と件数・単価ともに上振れ圏で推移しているものの、4Qでマイナポイント関連の減損計上が見込まれています。4G_ATMへのリプレイス進捗に伴う減価償却費増で減益となるものの、子会社化したセブン・カードサービス(※後述、7CS)の上乗せで穴埋めします。

 

当社は昨年2026年3月期を計画終期とする5ヵ年中計をロールしており、経常収益の増収額を+1,130億円(従予:+330億円)、経常増益額を+106億円(従予:▲10億円)に大きく増額しています。今次中計期間では、4G_ATMへのリプレイスによる加速度的な減価償却費負担増(▲30億円~▲50億円/年)に頭を抑えられる想定だったものの、7&iのグループ再編による7CS買収により一転して大幅増益となる見通しです。

 

去年7月に320億円で買収した7CSはグループのカード事業や電子マネーnanacoを手掛ける7CSを傘下に収めており、経常利益30億円程の上乗せが見込まれます。グループ共通IDである“7iD”の決済履歴を活用した与信プロセス簡略化等によるシナジー創出で、向こう3年で口座数を270万→500万に、カード会員を360万人→700万人に引き上げる計画ですが、集客ルートがヨーカ堂実店舗のため、目下の閉店ラッシュで不透明感が漂います。

 

また海外展開については、全米で8,600台程を擁する米国子会社のFCTIが米SEIとの契約更改が大詰めを迎えており、金利上昇や利用低調も契約更改で不利条件の解消が見込まれます。他方、参入して間もないフィリピンは2,700台で既に単月黒字化しているほか、インドネシアは7,300台と稼働台数の指数関数的増加が継続しており、懸案の米国事業さえ目途が立てば概ね順調な状況と解されます。

 

株主還元は「配当性向40%水準の堅持」、「安定的かつ継続的な配当」という還元ポリシーを据え置いています。他方、会社側アナウンスによれば、7CS買収によるテクニカル計上の負ののれん特益215億円も配当原資として考慮する方針としているため、現状は横引きの年11円配を予想しているものの、実際は1円程度の増配公算が高いものと解されます。
 

*参考記事① 2023-09-30  321円 BY

【8410】セブン銀行/7CS買収の負ののれん特益215億円も配当考慮へ、いよいよ増配の公算。

 

*参考記事② 2022-09-22 264円 BY

【8410】セブン銀行/米国金利負担増は重いが、アジア圏ATM設置が加速度的に進捗。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。

 

にほんブログ村 株ブログ 株主優待へ にほんブログ村 株ブログ IPO・新規公開株へ