【9024】西武HD/意欲的な中計は下方修正も、ホテル回復想定超で計数値奪回も射程圏に。 | なちゅの市川綜合研究所

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【9024】西武ホールディングス (東証プライム) OP

 

現在値 2,162円/100株  P/E 19.1  P/B 1.54  3月配当優待 9月優待

 

東京都北西部、埼玉地盤の西武鉄道とプリンスホテルが中核。都内に大型物件で不動産拡大。

配当は3月末・9月末の年25円配予想のため、配当利回りは約1.16%となります。

 

西武ホールディングスは株主優待制度を導入しており、3月末と9月末の年2回、3単元を保有する株主に対して電車全線乗車証を4枚進呈しているほか、西武グループ各社で使える各種割引券3,000円分(※2千円利用につき1千円利用可)を進呈しております。そのため、全線乗車証を1枚790円で換算した場合の3単元保有時の配当優待利回りは約3.05%となります。なお、1単元保有の場合は優待が年1回に制限されますが、その場合の利回りは表記よりもやや良化します。

 

業績を確認していきます。

■2021年3月期 売上高 3,370億円、営業利益▲515億円、EPS▲241円 

■2022年3月期 売上高 3,968億円、営業利益▲132億円、EPS 35.3円

■2023年3月期 売上高 4,248億円、営業利益 221億円、EPS 188.7円ce

■2024年3月期 売上高 4,630億円、営業利益 410億円、EPS 112.9円ce修正(9/28)

□2023年9月2Q 売上高 2,388億円、営業利益 318億円、EPS 91.2円 

□2023年12月3Q 売上高 3,604億円、営業利益 476億円、EPS 143.4円(2/8) 

 

2023年9月中間期の売上高はYoY+12.4%の2,388億円、営業利益はYoY*2.3倍の318億円の134億円となり、対前・対計画で増収増益となりました。主力の都市交通事業は、鉄道定期が同+9.4%に留まったものの、レジャー需要等を取り込んだ定期外が同+15.2%と一段増となりました。またプリンスホテルの回復も鮮明であり、OCCは同+23.5pts.の66.1%、RevPARも同+93.1%の12,922円と新型肺炎前まで飛躍的に回復しました。不動産事業についても、造園請負工事やBM会社の受注が堅調に推移しました。

 

2024年3月期の通期見通しは2Qで修正しており、売上高がYoY+8.1%の4,630億円(期予:4,620億円)、営業利益はYoY+85.1%の410億円(期予:360億円)を見込んでいます。売上高はバス上振れも、鉄道定期の戻りが弱く下振れとなるほか、プリンスホテル堅調も一部レジャー施設については想定以下となり、全社ベースでは減額となります。他方で利益面については、鉄道・バス・ホテル共通でエネルギー価格の高騰一服が広く追い風となるほか、好採算の不動産事業の工事受注増が寄与し、全社ベースでは増額となります。なお2月8日に公表済の3Qは売上高3,604億円&営業益476億円で進捗しており、再増額濃厚の情勢です。

 

進行期は3年中計の最終年度でしたが、元々意欲的な数字の戻りを見込んでいた一方で足許の鉄道事業(特に定期)の回復が鈍いことから、年度頭に下方修正しています。新計数は売上高3,370億円→4,620億円(当初:4,430億円)、営業利益▲515億円→360億円(当初:550億円)としており、増収ながらも利益回復が緩慢となります。なお、固定費削減については目標の▲250億円/yを超過し、既に▲280億円/yに達しているほか、進行期業績も強含みで推移していることから当初目標水準まで届く可能性があります。

 

B/S改善のための“アセットライト戦略”については、別途定めるKPI目標をROA1.5%(当初:2.0%)、ROE6.3%(当初:8.0%)としています。八景島北の杉田ゴルフ場&テニスコート、西武建設株売却したほか、芝のパークタワー・札幌・広島・京都宝ヶ池・苗場スキー場などホテル・リゾート26施設をGICに計1,237億円で売却しています。


財務面については、物件売却と含み益顕在化で借入返済が進捗しており、足許の有利子負債はおよそ7,670億円まで減少しています。傘下の西武鉄道がみずほと政投銀に発行した優先株残700億円分も前期末に取得・消却しています。かかる優先株償還で“見合い”となる自己資本が棄損する格好となったものの、自己資本比率は23.5%まで回復しています。

 

なお当社も他民鉄同様に不動産再開発を進めており、相応の資金需要があります。本年秋口に所沢西口再開発の開業を予定しているほか、翌2025年3月期から高輪・品川のプリンスホテル敷地等を中心とする品川駅周辺の大規模再開発(全5,000室のうち品川プリンスを除く高輪系3棟、1,500室が対象)が控えています。かような状況から株主還元は巡行配当性向を20%程に抑制&年25円配を予想されているものの、 足許の好調な業績を背景に年30円配までは増配余地がありそうです。

*参考記事① 2023-02-18 1,399円 OP

【9024】西武ホールディングス/優先株800億円を全て償還へ、財務体質の改善が進む。

 

*参考記事② 2022-09-10  1,353円 OP

【9024】西武ホールディングス/減額後中計もまだ強気、格付けA格維持なるか。

 

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