【9769】学究社/在任51年の創業者・河端真一氏が退任、資金還流で緩やかな増配基調が続こう。 | なちゅの市川綜合研究所

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【9769】学究社 (東証プライム) OP

現在値 2,094円/100株 P/E 11.2  P/B 4.14  3月配当 9月配当 株主優待なし

東京西部で小中学生向け塾「ena」展開。都立中高一貫校受験に強み。
配当(実績)は3月末・9月末合計で87円配当のため、配当利回りは4.15%となります。

学究社はかつて株主優待制度を導入しており、3月末に100株以上を保有する株主に対して、1,000円分のクオカードを進呈しておりましたが廃止されています。

業績を確認していきます。

■2021年3月期 売上高 112億円、経常利益 17.8億円、EPS 100.5円 

■2022年3月期 売上高 123億円、経常利益 24.0億円、EPS 137.7円 

■2023年3月期 売上高 129億円、経常利益 27.8億円、EPS 171.5円 

■2024年3月期 売上高 150億円、経常利益 30.0億円、EPS 186.7円 ce

□2023年9月2Q 売上高 65.3億円、経常利益 13.7億円、EPS 83.0円
□2023年12月3Q 売上高 103.1億円、経常利益 24.8億円、EPS 152.2円(2/8) 

2023年9月期の売上高はYoY+1.6%の65.3億円、経常利益はYoY▲3.4%の13.7億円となり、予想比は無いものの前年並みとなりました。前期開設の8校の生徒数が順調に増加したほか、本科生徒授業料の値上げ効果で増収しました。他方で利益面については、教員へのインフレ特別手当の支給とベースアップ(+3.5%)、採用コスト増加のほか、年末より稼働した富士山合宿3号館の維持管理費増で減益となりました。また、持分法の市進HDもマイナス寄与しています。

なお2024年3月期の見通しについては、売上高がYoY+15.5%の150億円、経常利益はYoY+7.6%の30.0億円とする期初予想を据え置いています。新設校は7校程度の引き続き積極開校を計画するほあk、堅調な小学生の生徒増と通期値上げ寄与を見込み、オンライン配信体制である「自宅ena」活用によるハイブリッド体制で生徒定着率向上を図ります。尚、2月8日に開示済の3Qは売上高が103.1億円&経常利益24.8億円と低進捗であり、業績下振れ懸念が燻ります。

 

進行期は3年中計の中間年度の位置付けであり、最終年度である翌2025年3月期までに売上高を123億円→165億円、経常利益を24.0億円→33.6億円に引き上げる計画です。取組事項は①DX推進、②ガバナンス強化、③ドミナント注力としています。①は対面&映像ダブル学習システムの「自宅ena」の積極推進であり、②は社外取に弁護士の山口真由氏と国際政治学者の三浦瑠璃氏を起用したほか、昨年10月に創業者であり在任51年の河端真一氏が会長成りし、47歳のプロパー社員である栗崎篤史氏に“禅譲”しています。

 

③は都立一貫校の高い占有率を維持するため、最難関校にフォーカスした「ena最高水準」を地盤の城西エリアを中心に深堀りするほか、今春にSAPIX・日能研・早稲田アカデミーとの競合が激しい私立最難関中高受験に進出します。これら取組以外では不動産事業として、国立の自社保有ビル2棟を建て替え、タワー棟の2号棟(賃貸住宅500坪)とするなど安定的な賃貸収入の底上げを図ります。他方、既に持分法適用の市進HD(持分20.3%)については、学研HDに次ぐ第2位株主に甘んじており、2019年から硬直状態が続いています。

 

財務面については自己資本比率は56.3%&ネット無借金で盤石な状況を維持しています。なお当社は創業者と資産管理会社が大株主であり、2017年に当社株の増資を引き受け、今回退任となった創業者側への資金還流ニーズは根強いとみられます。そのため配当性向は46.5%と高水準ではあるものの、業績の如何によらず緩やかな増配基調が続く可能性がありそうです。


*参考記事① 2022-09-27 1,649円 NT

【9769】学究社/新中計で私立難関校領域への進出図る、さらなる増配で高還元続く。

 

*参考記事② 2021-08-23 1,370円 NT

【9769】学究社/山口真由氏の社外役員招聘に続き、三浦瑠璃氏を特別顧問に起用。

 

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