【9769】学究社 (東証プライム) OP
現在値 1,649円/100株 P/E 11.4 P/B 4.14 3月配当優待 9月配当
東京西部で小中学生向け塾「ena」展開。都立中高一貫校受験に強み。
配当(実績)は3月末・9月末合計で80円配当のため、配当利回りは4.85%となります。
学究社は株主優待制度を導入しており、3月末に100株以上を保有する株主に対して、1,000円分のクオカードを進呈しておりますので、配当優待利回りは約5.45%となります。
業績を確認していきます。
■2020年3月期 売上高 109億円、経常利益 16.0億円、EPS 84.1円
■2021年3月期 売上高 112億円、経常利益 17.8億円、EPS 100.5円
■2022年3月期 売上高 123億円、経常利益 24.0億円、EPS 137.7円
■2023年3月期 売上高 135億円、経常利益 25.2億円、EPS 144.0円 ce
□2022年6月1Q 売上高 24.2億円、経常利益▲0.2億円、EPS▲3.7円(8/10)
□2022年9月2Q 売上高 68.0億円、経常利益 13.5億円、EPS 77.5円 四e
2022年3月期の売上高はYoY+9.6%の123億円、経常利益はYoY+34.7%の25.2億円となり、期初予想を上振れました。新設校は「ena最高水準」を中心に同5校増の11校となり、主戦場である都立中高一貫校の合格数も927名→963名を確保(合格者占有率55%)し、引き続き圧倒的な実績を残しました。また、日比谷高や西高、戸山高をはじめとする都立難関7高の合格者数についても357→367名となり、占有率首位を堅持しています。利益面については、トップライン上伸のほか、持分法の市進HDがプラス寄与したこともあり、大幅増益となりました。
進行期である2023年3月期の予算については、売上高がYoY+9.1%の135億円、経常利益はYoY+5.1%の25.2億円と続伸を見込んでいます。新設校は計画7校ながらも、実績期でや大量開校した11校が通期で貢献します。引き続き全授業のオンライン配信体制である「自宅ena」や、併用型の「ダブル学習システム」、オンライン専門型や個別指導型の「家庭教師Camp」といった在宅・スクールのハイブリッド施策を推進し、DX投資を継続します。尚、8月10日に開示済の1Qは売上高が24.2億円&経常利益▲0.2億円で進捗しており、季節偏重性があることから計画線とみられます。
当社は今般3年間の中期経営計画を公表しており、最終年度の2025年3月期までに売上高を123億円→165億円、経常利益を24.0億円→33.6億円に引き上げる計画としています。取組事項は①DX推進、②ガバナンス強化、③ドミナント注力としています。①は既述のとおりであり、②は昨年から社外取に東大主席卒業の弁護士である山口真由氏を、この6月には国際政治学者の三浦瑠璃氏を社外取(※特別顧問から昇任)に相次いで起用しているほか、来年度も追加で社外取をもう一名起用することとしており、ガバナンス費用過多の印象が強めとなっています。
③については、都立一貫校の高い占有率を維持するため、最難関校にフォーカスした「ena最高水準」を地盤の城西エリアを中心に深堀りするほか、SAPIX等との競合が激しい私立最難関中高受験にも進出する方針です。これら取組以外では不動産事業として、国立の自社保有ビル2棟を建て替え、タワー棟の2号棟(賃貸住宅500坪)とするなど安定的な賃貸収入の底上げも図ります。他方、既に持分法適用の市進HDについては、支配的な学研HDに次ぐマイナー持分に甘んじている状況であり、引き続き“塩漬け”状態の継続が予想されます。
財務面については、足許の自己資本比率は48.4%と盤石な状況を維持しています。当社は創業者と資産管理会社が大株主であり、2017年には創業者が当社株の増資を再度引き受けた経緯もあることから、“資金還流ニーズ”はかなり高いものと推察されます。そのため配当性向は55.5%と高水準ではあるものの、予想配当は更に5円増配となる年80円を見込んでいます。
*参考記事① 2021-08-23 1,370円 NT
【9769】学究社/山口真由氏の社外役員招聘に続き、三浦瑠璃氏を特別顧問に起用。
*参考記事② 2020-08-18 1,122円 NT
【9769】学究社/市進HDを持分法適用化も、学研色強くシナジーは期待薄か。
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