【9001】東武鉄道 (東証プライム) OP
現在値 3,844円/100株 P/E 17.6 P/B 1.54 3月配当優待 9月優待
関東民鉄で路線最長、北関東地盤。東京スカイツリー軸に再開発推進。
配当は3月末・9月末合計年45円配予想のため、配当利回りは約1.17%となります。
東武鉄道は株主優待制度を導入しており、3月末と9月末の年2回、2単元を保有する株主に対して電車全線乗車証を2枚進呈しているほか、東武グループ各社で使える各種割引券を進呈しております。そのため、全線乗車証を1枚1,390円で換算した場合の2単元保有時の配当優待利回りは約1.89%となります。なお、1単元保有の場合は優待が年1回に制限されますが、その場合でも利回りは表記のとおりとなります。
業績を確認していきます。会計基準第29号の新収益認識基準に変更しています。
■2021年3月期 売上高 4,963億円、営業利益▲135億円、EPS▲119円
■2022年3月期 売上高 5,060億円、営業利益 247億円、EPS 64.4円 新収益
■2023年3月期 売上高 5,920億円、営業利益 410億円、EPS 111.6円
■2024年3月期 売上高 6,320億円、営業利益 700億円、EPS 217.6円 ce修正(2/7)
□2022年9月2Q 売上高 3,085億円、営業利益 390億円、EPS 127.5円
□2023年12月3Q 売上高 4,667億円、営業利益 614億円、EPS 197.9円(2/7)
2023年9月中間期の売上高はYoY+8.1%の3,085億円、営業利益はYoY+62.2%の390億円となり、対前・対計画で大幅増益となりました。主力の運輸事業については定期内・外でYoY101~103%程度の予算前提に対し、定期YoY108%&定期外同117%と旅行需要の回復で定期外が飛躍的に回復しました。レジャー事業については、CY銀座、AC銀座ほか各ホテルが訪日客効果で稼働率が8割台半ばまで回復し、スカイツリー入場者数も221万人(計画166万人)まで一段増となりました。他方で不動産事業は、獨協大学前の商業施設が新規で寄与したものの、概ね横ばい圏でした。
なお2024年3月期の通期見通しは3Q時点で再増額しており、売上高はYoY+2.8%の6,320億円(期予:6,050億円)、営業利益YoY+23.5%の700億円(期予:465億円)に大幅上方修正しています。運輸事業は定期外の戻りが想定超で推移しており、特に7月に投入したスペーシアXは連日完売状態が続いています。レジャー事業も行政の旅行支援が剥落するものの、国内客・訪日客ともに好調で、リッツ日光や金谷ホテルも強含みの状況です。なお2月7日開示済の3Qは売上高4,667億円&営業益614億円で推移しており、着地は更に上振れる公算です。
当社は翌2025年3月期を“事業構造改革期”として中計を策定せず、経常利益確保と有利子負債の削減を経営の主要課題に挙げています。参考計数として翌期までに売上高5,060億円→6,042億円、営業利益274億円→538億円まで引き上げる目標感を示していますが、前期で既に営業利益566億円を叩き出しており、大幅な過達状態となっています。そのため、2Q時点で1年前倒しすることを明らかにしており、今春にもロール後の新中計が公表される予定です。
新中計の計数は当然に未公表ではあるものの、骨子だけは既に公表されており、①成長事業確立、②事業基盤の継続強化、③新規事業育成の3点が挙げられています。①の成長事業はCY銀座や日光金谷ホテルの改装やスカイツリーの施設改修、観光体験型の新型特急・スペーシアXは好調を受けて編成数を増設する予定です。このほか、日光エリアのMaaS推進にくわえ、不動産事業を中心に据えた資産回転型ビジネスモデルを志向します。
②の事業基盤強化については、当社グループ最大のターミナル駅である池袋駅・西口エリアの再開発に本格着手しており、本年中の都市計画決定を目指して地権者調整を進めます。また、新越谷・春日部・朝霞台といった中核駅を“集客拠点駅”と位置付け、駅ビル等の再開発を推進し、中間駅(緩行停車駅)への人流創出を目指します。このほか越谷・竹ノ塚の高架下開発や、獨協大学前・南栗橋での住宅開発が挙げられており、➁も結局は不動産寄りの施策となります。
財務状況については、自己資本比率は30.0%まで更に回復したものの、池袋駅西口の再開発で莫大な資金需要(事業費1,000~2,000億円)が見込まれるため、スカイツリー開発時以来の公募増資可能性が燻っています。なお配当については、足許の業績が非常に好調なことから、15円増配となる年45円配(配当性向20.6%)を予想しているものの、着地の上振れ公算が高いことから年50円+配までは視野に入る状況です。
*参考記事① 2023-08-24 3,856円 NT
【9001】東武鉄道/定期外運輸・ホテル・スカイツリーとも想定超で回復、はや通期増額圏。
*参考記事② 2022-09-16 3,375円 NT
【9001】東武鉄道/インバウンド復活で定期外収入増加期待、1Q順調進捗で上振れか。
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