【3067】東京一番フーズ(東証プライム) OP
現在値 532円/100株 P/E 28.9 P/B 2.81 9月無配株主優待 3月株主優待
国産ふぐ専門店「とらふぐ亭」や海鮮料理店を関東で展開。業績は冬に偏重。
配当基準日は9月ですが実績では無配であり、予想も未定となっています。
東京一番フーズは株主優待制度を導入しており、9月末・3月末の5単元株主に対し、税込7,348円の「泳ぎとらふぐコース」1人前の食事券を進呈しておりますので、優待利回りは約5.52%となります。
業績を確認していきます。
■2021年9月期 売上高 45.1億円、営業利益▲11.0億円、EPS 1.9円
■2022年9月期 売上高 60.6億円、営業利益▲3.6億円、EPS 13.7円
■2023年9月期 売上高 72.5億円、営業利益 1.3億円、EPS 12.2円
■2024年9月期 売上高 77.0億円、営業利益 2.3億円、EPS 18.3円 ce
□2023年12月1Q 売上高 22.2億円、営業利益 2.0億円、EPS 20.5円(2/2)
□2024年3月2Q 売上高 42.4億円、営業利益 3.7億円、EPS 33.0円 ce
2023年9月期の売上高はYoY+19.7%の72.5億円、営業利益は同YoY+5.0億円の1.3億円となり、ほぼ予算並みの着地となりました。主力の飲食事業は、年末年始を跨ぐ繁忙期(1Q・2Q)の行動制限・提供制限が完全解除されたほか、“ふぐパ”と呼ぶ持ち帰り・デリバリー販促施策の奏功により、既存店が底上げされました。他方で外販事業は、市中外食業の回復でとらふぐ加工品が堅調だったものの、マグロの養殖生産事業は新型肺炎禍の稚魚確保不足が原因で反落となりました。
進行期である2024年9月期の予算については、売上高がYoY+6.1%の77.0億円、営業利益はYoY+66.3%の2.3億を予想しています。業績が偏重する繁忙期(1Q・2Q)の半分が経過し、2月2日に開示済の1Q決算は売上高22.2億円&営業利益2.0億円と上期予算比で順調な業績進捗が確認されます。とらふぐ亭はweb戦略強化により“ふぐパ”が伸長したほか、寿し常も不採算店閉鎖による店舗数純減(▲3店)で減収したものの、DXによる生産性向上と訪日客向けメニューの多言語化による単価増で、大幅な増益基調になっています。
当社は中計を公表していないものの、中長期での取組事項として、①養殖強化、②外販強化、③NY店舗強化、④寿し常シナジー、⑤中食強化の5点を挙げています。①・②については、平戸市沖合の養殖場でとらふぐ・本マグロ・さば・ぶり・イカの養殖を行っており、付帯加工場も整備完了により本格稼働を開始する予定です。NY等の輸出拡大を図るほか、高付加価値商材である“近大マグロ”の幼魚の育成も開始しています。なお養殖事業については、2028年9月までの向こう6年間で取扱高を倍増させる計画です。
④の寿し常は、1949年創業の老舗すしチェーンであり、新型肺炎禍の2020年に僅か6億円という純資産価格で当社が買収しています。最盛期に37店(年商72億円)あった店舗網は、当社買収後も不採算店の閉鎖を進めたため、22店にまで縮小しています。それでも当社は“とらふぐ亭”以外の養殖の出口を確保出来たことは有意義であり、六次産業化によりフルラインでの収益獲得が期待出来ます。
財務状況については、高水準の助成金の受取もあり、自己資本比率は34.9%まで良化しており、安定的な水準を維持しています。前期も復配を見送っており、進行期の配当予想もゼロ予想になっているものの、“現段階では無配予定”としているため、実際は復配余地があるものと解されます。
*参考記事① 2023-08-21 521円 OP
【3067】東京一番フーズ/係争中だった寿し常の買収が和解解決、インバウンド回復顕在化へ。
*参考記事② 2023-01-31 481円 OP
【3067】東京一番フーズ/破産した“寿し常”を僅か6億円で買収した意義は大きいだろう。
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