【3067】東京一番フーズ/係争中だった寿し常の買収が和解解決、インバウンド回復顕在化へ。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3067】東京一番フーズ(東証プライム) OP

現在値  521円/100株  P/E 44.9  P/B 3.00 9月無配株主優待 3月株主優待

国産ふぐ専門店「とらふぐ亭」や海鮮料理店を関東で展開。業績は冬に偏重。


配当基準日は9月ですが実績では無配であり、予想も未定となっています。
東京一番フーズは株主優待制度を導入しており、9月末・3月末の5単元株主に対し、税込7,348円の「泳ぎとらふぐコース」1人前の食事券を進呈しておりますので、優待利回りは約5.64%となります。

業績を確認していきます。

■2020年9月期 売上高 39.7億円、営業利益▲5.2億円、EPS▲69.9円 

■2021年9月期 売上高 45.1億円、営業利益▲11.0億円、EPS 1.9円  

■2022年9月期 売上高 60.6億円、営業利益▲3.6億円、EPS 13.7円  

■2023年9月期 売上高 72.5億円、営業利益 1.1億円、EPS 11.4円 ce
□2023年3月2Q 売上高 40.2億円、営業利益 2.5億円、EPS 23.6円 

□2023年6月3Q 売上高 56.3億円、営業利益 2.0億円、EPS 18.6円(8/8) 


2023年3月中間期の売上高はYoY+20.4%の40.3億円、営業利益は同YoY+2.6億円の2.4億円となり、ほぼ予算並みの着地となりました。主力の飲食事業は、年末年始を跨ぐ繁忙期(1Q・2Q)の行動制限・提供制限が完全解除されたほか、持ち帰り・デリバリー需要の開拓に成功し、既存店が底上げされました。他方で外販事業は、市中外食業の回復でとらふぐ加工品が伸長したものの、マグロの養殖生産事業については、新型肺炎禍でのマグロ稚魚の確保が進まなかったこともあり、反落となりました。


なお2023年9月期の通期見通しは期初のものを据え置いており、売上高がYoY+19.6%の72.5億円、営業利益はYoY+4.8億円の1.1億円を予想しています。業績が偏重する繁忙期(1Q・2Q)は既に終わっており、8月8日に開示済の3Q決算は売上高56.3億円&営業利益2.0億円とさほど数字を落とさず推移していることから走破圏とみられます。インバウンド需要が尻上がりで増加しており、店舗数が減少している寿し常が増収しているほか、NYの海外店も足許まで好調に推移しています。

 

当社は中計を公表していないものの、中長期での取組事項として、①養殖強化、②外販強化、③NY店舗強化、④寿し常シナジー、⑤中食強化の5点を挙げています。①・②については、傘下の長崎ファームが平戸市沖合の養殖場でとらふぐ・本マグロ・さば・ぶり・イカの養殖を行っていますが、昨年9月にはHACCP(衛生管理)認証を取得した加工場を整備し、今後はNY等の輸出拡大を図るほか、高付加価値商材である“近大マグロ”の幼魚の育成も開始しています。なお養殖事業については、2028年9月までの向こう6年間で取扱高を倍増させる計画です。

 

④の“寿し常”は、1949年創業の老舗すしチェーンですが、新型肺炎禍で破産したため、2020年に当社が買収しています。同社は最盛期の2008年頃には37店舗程を運営し、年商72億円を叩き出していたものの、買収時の店舗網は26店にまで縮小しています。それでも当社は“とらふぐ亭”以外の養殖の出口が確保出来るため、六次産業化によりフルラインでの収益獲得が期待出来るようになり、6億円という純資産並みでの買収価格であったことから、大変有意義な買収となりました。なお、本件買収は係争案件となっていましたが、去る2月に和解が成立し、当社が580万円を支払うことで無事に解決しています。

 

財務状況については、高水準の助成金の受取もあり、自己資本比率は35.9%まで良化しており、安定的な水準を維持しています。配当予想は未定としていますが、巡行配当水準である年5円の復元も十分に見込まれる状況です。

 

*参考記事① 2023-01-31 481円 OP

【3067】東京一番フーズ/破産した“寿し常”を僅か6億円で買収した意義は大きいだろう。

 

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