【1518】三井松島HD/豪州終掘で新中計待ちの状況、配当は年額80円がフロア。 | なちゅの市川綜合研究所

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【1518】三井松島ホールディングス(東証プライム) OP

現在値  2,797円/100株 P/E 2.98  P/B 0.55  3月配当株主優待 9月配当 

2023年石炭事業撤退で事業投資会社に転換。飲料ストロー等ニッチ事業のM&A主体。
配当金は3末・9末の合計年80円配当のため、配当利回りは約2.86%となります。

三井松島産業は株主優待制度を実施しており、3月末に単元株を保有する株主に対して、6,000円分の自社運営宿泊施設の宿泊割引券と10,000円分のオーダースーツ等お仕立券を進呈しておりますので、宿泊券のみ計算した場合の配当優待利回は約5.00%となります。

業績を確認していきます。企業会計基準29号(新収益認識基準)を適用しています。

■2021年3月期 売上高 573億円、営業利益 19億円 EPS▲233円

■2022年3月期 売上高 465億円、営業利益 84億円 EPS 414円 

■2023年3月期 売上高 800億円、営業利益 357億円 EPS 1,676円

■2024年3月期 売上高 700億円、営業利益 210億円 EPS 937円 ce(5/15)
□2023年9月2Q 売上高 396億円、営業利益 165億円 EPS 930円(11/10)


2023年9月中間期の売上高はYoY+18.5%の396億円、営業利益はYoY+39.7%の165億円となり、石炭販売が数量減(155万t→139万t)、終掘間際の豪州石炭生産は横ばい(53万t→54万t)となったものの、一般炭単価が想定超で高止まり(304$/t)したため、主に単価効果で収益拡大が持続しました。他方、丸紅から持分を追加取得した感熱レジロール会社(MOS)の通期寄与もあり、生活関連事業も概ね堅調に推移したことから、全社で大幅な増収増益となりました。


2024年3月期の通期見通しは中間時点で増額しており、売上高がYoY▲12.5%の700億円(期予:660億円)、営業利益はYoY▲41.3%の210億円(期予:160億円)に修正しています。豪州リデル炭鉱は上期で既に終掘となったものの、生産実勢反映で販売数量を(76万t→87万t)に、MtoMで一般炭販売価格前提を(250$→258$/t)に見直すほか、終掘コスト▲30億円を追加的に織り込みます。他方、生活関連事業の諸事業についても、上述のMOS通期貢献のほか日本カタンでも受注増となり、期初予想から増額となります。

 

当社は2018年に5ヶ年中計を公表しており、進行期は最終年度となります。計画当初は営業利益を15億円→55億円まで引き上げる計画でしたが、石炭市況高騰で計数は早々に前倒し達成しおり、期の半分程度は終掘影響を受ける進行期でさえも大幅な過達となる見通しです。また、目標指標として掲げる他指標(ROE8%)も同様に達成確実の状況です。

 

今次中計のドライバーとなった豪州石炭事業は、8.5億tの推定埋蔵量を有する豪州リデル炭鉱の現鉱区隣接鉱区(※当社持分で約130万tが約20年間採掘可能)で生産を続けるべく、JVのグレンコアとともに豪州政府に“働きかけ”を行ってきたものの、認可が下りずに昨年7月に終掘となりました。これにより創業110年来の主力事業であった石炭事業は終了となり、今後はその他事業が主要なドメインとなるため、業容が完全に一変します。


かような状況のため、今次中計期間では300億円のM&A取得枠を設定するとともに、前期は投資額196億円&同営業益47億円と順調な買収実績を積み上げています。2022年1月に丸紅オフィス・サプライ(年商75億円・営業益5.3億円)に23億円を投じて50.1%持分を取得したほか、昨年2月の買い増しで完全子会社化しています。また、11月には産業用チェーンを手掛けるジャパン・チェーンHD(年商152億円・営業益19.7億円)の50.1%持分を43億円で取得しています。

 

株主還元については、今次中計では配当性向30%を基準としているものの、年240円減配の年80円配当(配当性向8.5%)を見込んでいます。なお、これと別に期末までの自社株買い30億円(15.3%)を実施しているため、合算の総還元性向では30%水準に達する見通しとなっており、会社側では今後も年80円配当をフロアとする意向があるようです。
 

*参考記事①  2023-08-08 2,676円 NT

【1518】三井松島HD/終掘の豪州リデル炭鉱はほぼ収益確定、大規模自社株買いでEPS下支え。

 

*参考記事② 2023-02-14  3,605円 NT

【1518】三井松島HD/豪州リデル隣接鉱区否認で終掘確定的も、“あぶく銭”で空前の大増配。

 

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