【3295】ヒューリックリート投資法人(東証REIT) NT
現在値 156,200円/1株 P/E 23.0 P/NAV 0.84 2月分配 8月分配
ヒューリックをスポンサーとする総合型J-REIT。東京圏のオフィスと商業施設が主体。
予想分配金は2月末・8月末の年2回合計6,960円配で、分配金利回りは約4.46%となります。
業績を確認していきます。
■2022年8月期_第17期 営業収益 115.0億円、経常利益 55.6億円 DPU 3,700円
■2023年2月期_第18期 営業収益 106.7億円、経常利益 48.8億円 DPU 3,480円
■2023年8月期_第19期 営業収益 112.2億円、経常利益 50.9億円 DPU 3,480円
□2024年2月期_第20期 営業収益 111.3億円、経常利益 50.1億円 DPU 3,480円ce修正
□2024年8月期_第21期 営業収益 107.2億円、経常利益 47.5億円 DPU 3,480円ce
2023年8月期_第19期の着地については、営業収益が第18期比+5.1%の112.2億円、経常利益は同+4.3%の50.9億円、分配金は同変わらずの3,480円となりました。オフィス稼働率は予算通り95.8%→97.3%まで改善したほか、3月取得の王子ビルほか2物件が寄与しました。また、山下町の譲渡益剥落を、銀座7丁目ビルの部分売却による譲渡益計上(3.7億円)で打ち返したほか、実態運用の上振れ分を一転して有税内部留保(1.1億円)して、分配金を横引きまで潰しました。
進行期である2024年2月期_第20期の見通しも修正しており、営業収益は第19期比▲0.8%の111.3億円(従予:107.4億円)、経常利益は同▲1.7%の50.1億円(従予:47.6億円)、分配金は横引きの3,480円を予想しています。第19期末取得の小舟町ビル(109.7億円/鑑定NOI4.0%)がフル寄与するほか、銀座7丁目ビルの残り半分売却による譲渡益(3.6億円)を計上します。期初売却の銀座7丁目の期間収益剥落や修繕費増加がマイナス寄与するものの、オフィス稼働率の改善(97.5%→98.1%)を見込むほか、当期は内部留保の非実施のため分配金予想も横引きします。
初開示の翌2024年8月期_第21期の営業収益は第20期比▲3.7%の107.2億円、経常利益は同▲5.2%の47.5億円、分配金は横引きの3,480円をを予想しています。売却予定物件は公表されていないものの、昨年12月に取得した相鉄フレッサイン六本木・追加50%持分(49.5億円/鑑定NOI3.8%)、駒込ビル90%持分(19.3億円/鑑定NOI3.8%)がフル寄与するほか、既存物件のリーシング進展が見込まれます。費用面では、年末までの取得物件の固都税が巡行で費用化するものの、内部留保取崩(▲2.5億円)で分配金を維持します。
当法人のP/NAVは0.84倍に沈んでおり、POは困難な状況です。そのため、上述の銀座7丁目ビルの入替のような高簿価・低利回り物件の売却による譲渡益顕在化と、比較的高利回りのシニア物件やホテルへの入替を進め、ポートフォリオの組替と分配金維持を図っています。目下45%弱のLTVもレンジ上限の50%(借入余力残り413億円)まで活用する方針としています。金利の先高感が気掛かりですが、そこはスポンサーが銀行系ということもあり、アグレッシブな姿勢となっています。
他方、スポンサーコミットメントとして、親会社のヒューリックが本法人株の追加取得を実施し、27,350口(≒45億円相当)を取得しました。NAV割れということもあり全口取得となり、本件取組により持分は上場当時の12.5%水準まで復元しており、今後も物件の供給(入替)における関係性強化のほか、株価の下値維持が期待されます。
*参考記事① 2023-07-15 162,400円 NT
【3295】ヒューリックリート投資法人/スポンサーが投資口追加取得、まずは稼働率回復が待たれる。
*参考記事② 2022-12-31 164,500円 NT
【3295】ヒューリックリート投資法人/当面は売却益頼りの構造、神谷町の埋め戻しが待たれる。
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