【4432】ウイングアーク1st/電帳法・インボイス特需で増額、総還元性向50%変更で大増配へ。 | なちゅの市川綜合研究所

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【4432】ウイングアーク1st(東証プライム) OP

現在値 2,815円/100株  P/E 18.5  P/B 2.56  2月・8月配当 株主優待なし

帳票・文書管理ソフトと企業内データ活用支援の2本柱。間接販売が主。MBOで再上場。


配当は2月・8月の年2回、合計75.7円のため、配当利回りは2.68%となります。
ウイングアーク1stは株主優待制度を導入していません(※再上場前はクオカード優待が存在)。

業績を確認していきます。

■2021年2月期 売上高 182億円、営業利益 32.0億円、EPS 79.5円  

■2022年2月期 売上高 198億円、営業利益 59.8億円、EPS 132.2円  

■2023年2月期 売上高 223億円、営業利益 59.4億円、EPS 129.5円

■2024年2月期 売上高 254億円、営業利益 72.0億円、EPS 152.1円ce修正(1/12)
□2023年8月2Q 売上高 134億円、営業利益 47.2億円、EPS 99.4円   

□2023年11月3Q 売上高 196億円、営業利益 62.5億円、EPS 131.6円(1/12)  

2023年8月中間期の売上高はYoY+18.6%の134億円、営業利益はYoY+26.6%の47.2億円となり、予算比は無いものの2桁の増収増益となりました。帳票・文書管理のBDS事業(SVF/SPA)が電帳法・インボイス対応で仮需が継続したほか、大企業・公共向けの大型案件の取り込みが一段増となりました。データ活用のDE事業についても、分析ソフトのDr.Sumが横ばいも、主力のMotion Borad(MB)でオンプレの大型案件獲得が進み、同+33.9%となりました。各種KPIについては、ストック比率は56.8%と横ばいながら、クラウド成長率は+35.2%、保守継続率は94.7%と良好に推移しました。


なお2024年2月期の通期見通しは3Qで増額しており、売上高がYoY+13.7%の254億円(期予:238億円)、営業利益がYoY+21.1%の72.0億円(期予:63.5億円)に修正しています。BDS事業については、俗に“2027年問題”と云われるシステム切れを背景に、SVFのライセンス販売が高水準となるほか、invoiceAgentも法令改正特需が持続します。他方、DE事業のMB、Dr.Sumについてもデータ活用需要増で契約社数が想定超で推移しています。利益面については、広告宣伝費・人件費・開発費等の戦略投資(▲17.5億円)を織り込んでいるほか、“出来すぎ”の数字を潰すために、更に広告費を投じる方針とみられます。

 

当社は2022年初に開示した中計で、約5年後となる2027年2月期に①クラウド成長率CAGR40%(全社売上高198億円→320億円)、②リカーリング比率75%、③調整後EBITDAを73億円→120億円に引き上げる計画です。当初3年で広告費や人件費等の戦略投資(非CAPEXの費用性投資)に55億円を投じるため、当初3ヵ年は営業利益のベースが年間▲18億円押し下げられているものの、今次増額後の調整後EBITDAは100億円程度にまで達しているものと解されます。

 

中計は電帳法改正とインボイスの追い風で計画超で推移しており、法対応の期限にかかる今期までは特需継続が見込まれるほか、会社側によればこの特需一巡後の案件も潤沢に抱えている模様です。BDS事業は、SVFの継続成長を見込むほか、インボイスを契機に契約を開始した無償ユーザーが多いinvoiceAgentへの課金化誘導のため、利便性向上のため大手システムベンダーとの協業によりERPやワークフローシステムとの早期連携を推進しているものの、此方の進捗については想定以下となっています。

 

DE事業については、法対応ニーズの追い風の無いBI製品であるものの、クラウド上でのデータ活用ニーズが高まっており、主力のMotionBoardの引き合いが業種問わずに増加しているような状況です。また、業務用アプリしての提案や、Dataringという裏側のデータマネジメントシステムの提案で分析ニーズの獲得を図り、多くのエンプラ系顧客を押さえる集計ツールのDr.Sumと同様のクロスセルの増大を目指す計画です。

 

なお株主還元については、中計3ヵ年は上述の戦略投資があるため年42円60銭を下限に、参照純利益43.5億円を超過した場合は配当性向30%目安で追加配当というフォーミュラを設定していましたが、足許で総還元性向50%に変更しています。そのため、今次増額修正を反映して、配当予想を32円60銭の増配となる年75円70銭まで大幅に引き上げています。
 

*参考記事① 2023-07-12 2,269円 OP

【4432】ウイングアーク1st/改正電帳法関連特需続く、先行投資負担こなし想定外の増配。

 

*参考記事② 2023-01-18 1,913円 OP

【4432】ウイングアーク1st/インボイス・電帳簿等の特需が想定超、一転して均衡圏に回復へ。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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