【8233】髙島屋/訪日客好調で3Qでも再増額、PBR1.0倍志向で株主還元の再拡充もあろう。 | なちゅの市川綜合研究所

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【8233】髙島屋(東証プライム)  OP


現在値 1,997円  P/E 10.3  P/B 0.71  2月配当優待 8月配当優待

東京、大阪など全国展開する老舗百貨店。シンガポールSC店と東神開発寄与大。
配当金は2月末・8月末の年2回で合計34円で、配当利回りは1.72%となります。

髙島屋は株主優待制度を実施しており、単元株を保有する2月末・8月末の株主に対して、10%割引優待カードを進呈しております。このカードの持参により、有料催事が3人まで無料となるため、仮に入場料1,000円の催事に、2人で年1回行った場合を想定した場合における配当優待利回りは、およそ約2.70%となります。

業績を確認していきます。当社は2023年2月期より新収益認識基準に移行しています。

■2021年2月期 売上高 6,809億円、営業利益▲134億円 EPS▲203円 

■2022年2月期 売上高 7,611億円、営業利益 41億円 EPS 32円 

■2023年2月期 売上高 4,434億円、営業利益 325億円 EPS 169円 新収益

■2024年2月期 売上高 4,670億円、営業利益 450億円 EPS 190円ce修正(12/25)

□2023年8月2Q 売上高 2,211億円、営業利益 208億円 EPS 94円  

□2023年11月3Q 売上高 3,341億円、営業利益 332億円 EPS 153円(12/25)

2023年8月中間期は売上高はYoY+5.8%の2,211億円、営業利益はYoY+62.4%の208億円と対前・対計画で増収増益となりました。国内百貨店売上高は国内客のアパレル需要回復と訪日客売上が好調に推移し、平時水準を超える計画線を確保したほか、円安効果による高額伸長でミックスも改善し、人件費等の増加を飲み込んで採算性も良化しました。また、傘下の東神開発のSCの受取賃料も上伸したほか、海外事業も休業期間のあった上海を除き、旗艦のSG、ベトナム、サイアムが軒並み増収増益となり、為替も有利に振れました。


なお2024年2月期の通期見通しは2Q→3Qで再増額しており、売上高はYoY+5.2%の4,670億円(期予:4,750億円)、営業利益はYoY+38.4%の450億円(期予:375億円)に修正しています。国内百貨店売上高は、法人の一過性の大口受注剥落も、訪日客売上が一段増となっている大阪店や京都店が牽引します。傘下の東神開発も新規物件が寄与するほか、海外も旅行需要回復で軒並み続伸が見込まれます。他方で利益面は想定以上の合理化の進捗や、光熱費補助金等も効き、ベースアップ等をこなして通期で大幅な増益が見込まれます。


当社はこの2024年2月期を最終年度とする4年中計(増額ロール後)において、営業利益300億円を目標としてきたものの、人件費・庶務費・広宣費の合理化が想定超で進捗し、1年前倒しで同325億円を達成しています。そのため、進行期で目標額を50億円上積みするのみで内容を据え置いたものの、実勢では同450億円を超過する公算が高い状況です。

 

今次中計では1,400億円を投資する計画であり、傘下・東神開発を中心に国内外の商業開発に900億を投じます。昨年6月に立川SCを改装したほか、百貨店を核にパルコライクな専門店街「T8」を擁する京都SCを10月に開業させています。これ以外にも、流山エリアで集中開発(FLAPS、アゼリアテラス、S・C ANNEX2)を継続しているほか、オフィスの日本橋三丁目スクエアや自社倉庫跡地を建替した賃貸住宅・T-FLAT久我山を開発し、不動産賃貸業を拡大させています。

 

海外事業については、ハノイ北西に位置する都市開発PJ「スターレイク」でA地区・B地区の土地所有権の取得と、学校運営事業への出資(持分25%)し、年15億円程度の利益貢献を創出しています。今後は商業・オフィス・住宅の複合開発の「ランカスター・ルミネール」、「スターレイクⅠ期」の開業を予定しており、Ⅰ期・Ⅱ期に合計200億円程を投じ、巡行時は年17億円程の利益が見込まれるため、これらベトナム案件の合計で年30億円超の利益貢献が予想されます。

 

財務状況については、2018年に600億円のユーロCBを発行しているものの、行使価格が@2,177円(一部行使不可)のため全て負債で認識されていますが、自己資本比率は35.4%と十分な水準を確保しています。株主還元は配当は8円増配の年34円配を予想しているものの、会社側では「PBR1.0倍到達&DOE1%基準」を強く意識しているほか、目下の配当予想は計算上DOE1.2%となることから、表記より一段踏み込んだ還元策が取られる可能性がありそうです。


*参考記事① 2023-07-07  2,007円 NT

【8233】髙島屋/インバウンド回復も効き業績回復は想定超、会社側はPBR1.0倍回復を志向。

 

*参考記事② 2022-12-30 1,830円 NT

【8233】髙島屋/大口売上とコスト削減想定超で増額修正だが、着地は更に上振れよう。

 

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