【8233】髙島屋/インバウンド回復も効き業績回復は想定超、会社側はPBR1.0倍回復を志向。 | なちゅの市川綜合研究所

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【8233】髙島屋(東証プライム)  NT


現在値 2,007円  P/E 12.9  P/B 0.75  2月配当優待 8月配当優待

東京、大阪など全国展開する老舗百貨店。シンガポールSC店と東神開発寄与大。
配当金は2月末・8月末の年2回で合計28円で、配当利回りは1.40%となります。

髙島屋は株主優待制度を実施しており、単元株を保有する2月末・8月末の株主に対して、10%割引優待カードを進呈しております。このカードの持参により、有料催事が3人まで無料となるため、仮に入場料1,000円の催事に、2人で年1回行った場合を想定した場合における配当優待利回りは、およそ約2.39%となります。

業績を確認していきます。当社は2023年2月期より新収益認識基準に移行しています。

■2021年2月期 売上高 6,809億円、営業利益▲134億円 EPS▲203円 

■2022年2月期 売上高 7,611億円、営業利益 41億円 EPS 32円 

■2023年2月期 売上高 4,434億円、営業利益 325億円 EPS 169円 新収益

■2024年2月期 売上高 4,750億円、営業利益 350億円 EPS 145円 ce 新収益

□2023年5月1Q 売上高 1,055億円、営業利益 110億円 EPS 54円(6/29)

□2023年8月2Q 売上高 2,300億円、営業利益 150億円 EPS 66円 ce 

2023年2月期は新収益基準移行で単純比較出来ないものの、売上高はYoY▲41.7%の4,434億円、営業利益はYoY*7.9倍の325億円で着地し、3Qの増額見通しを超過しました。国内百貨店売上高は、通常営業化や複数の一過性の大口受注も寄与し、計画+8.4%に対して+15.0%と上振れたほか、高額品割合増で採算性が良化しました。また、傘下の東神開発の受取賃料や内装子会社の受注も好調でした。海外事業についてもロックダウンの上海も最終黒字圏に浮上したほか、SG、ベトナム、サイアムが軒並み増収増益となり、為替の有利影響もありました。


進行期である2024年2月期の見通しは1Q時点で早々に増額しており、売上高はYoY+7.1%の4,750億円(期予:UNCH)、営業利益はYoY+15.3%の375億円(期予:350億円)に修正しています。国内百貨店売上高は、一過性の大口受注剥落も、期初からインバウンドの戻りが見込まれるほか、好調な高額品の持続や化粧品の回復も顕著となる見通しです。傘下の東神開発も新規物件が寄与するほか、海外も旅行需要回復で軒並み続伸が見込まれます。他方、利益面では光熱費や売上比例経費が増加基調にあるものの、合理化で相殺して2桁増益を見込みます。


当社はこの2024年2月期を最終年度とする4年中計(増額ロール後)において、営業利益300億円を目標としてきたものの、当初3ヵ年の合理化(人件費・庶務費・広宣費ほか)で累計▲250億円超の採算改善に成功したこともあり、終わった期の営業利益325億円を叩き出し、1年前倒しで達成しています。そのため、進行期の営業利益は50億円上積みした350億円を目指すものの、中計自体はロールせずに内容を据え置いています。

 

今次中計期間での総投資額は1,400億円を見込んでおり、傘下デべの東神開発を中心に国内外の商業開発に900億を投じます。本年6月に立川SCを改装開業したほか、百貨店を核とする新型の京都SCを本年10月に開業させる予定です。またこれ以外にも、日本橋三丁目スクエア、流山FLAPS、S・C ANNEX2といった百貨店以外のオフィス・商業施設開発で賃収を確保するほか、安定収益源として賃貸住宅の取得も進めます。

 

海外はベトナム事業に注力しており、ハノイ北西に位置する都市開発PJ「スターレイク」でA地区・B地区の土地所有権の取得と、学校運営事業への出資(持分25%)するなどしており、既に年15億円程度の利益貢献を創出しています。今後は商業・オフィス・住宅の複合開発の「ランカスター・ルミネール」、2024年には「スターレイクⅠ期」の開業を予定しており、Ⅰ期・Ⅱ期に合計200億円程を投じ、巡行時に年17億円程の利益が見込まれるため、これらベトナム案件の合計で年30億円超の利益貢献が予想されます。

 

財務状況については、2018年12月に600億円のユーロCBを発行しているものの、行使価格が@2,180円(一部行使不可)のため全て負債認識されていますが、それでも自己資本比率は35.1%と十分な水準を確保しています。株主還元については、配当は2円増配となる年28円配を予想しているものの、会社側では「PBR1.0倍到達&DOE1%基準」を強く意識していることから、業績回復に伴って一段の還元拡充策が採られる公算が高いとみています。

 

*参考記事① 2022-12-30 1,830円 NT

【8233】髙島屋/大口売上とコスト削減想定超で増額修正だが、着地は更に上振れよう。

 

*参考記事② 2022-07-23 1,391円 NT

【8233】髙島屋/順調なコスト削減が進む、外商・富裕層のけん引で戻りどこまで。

 

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