【8233】髙島屋/大口売上とコスト削減想定超で増額修正だが、着地は更に上振れよう。 | なちゅの市川綜合研究所

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【8233】髙島屋(東証プライム)  NT


現在値 1,830円  P/E 11.6  P/B 0.70  2月配当優待 8月配当優待

東京、大阪など全国展開する老舗百貨店。シンガポールSC店と東神開発寄与大。
配当金は2月末・8月末の年2回で合計24円で、配当利回りは1.31%となります。

髙島屋は株主優待制度を実施しており、単元株を保有する2月末・8月末の株主に対して、10%割引優待カードを進呈しております。このカードの持参により、有料催事が3人まで無料となるため、仮に入場料1,000円の催事に、2人で年1回行った場合を想定した場合における配当優待利回りは、およそ約2.40%となります。

業績を確認していきます。当社は2023年2月期より新収益認識基準に移行しています。

■2020年2月期 売上高 9,190億円、営業利益 255億円 EPS 93円

■2021年2月期 売上高 6,809億円、営業利益▲134億円 EPS▲203円 

■2022年2月期 売上高 7,611億円、営業利益 41億円 EPS 32円 

■2023年2月期 売上高 4,500億円、営業利益 285億円 EPS 158円 ce修正_新収益

□2022年8月2Q 売上高 2,090億円、営業利益 128億円 EPS 81円 

□2022年11月3Q 売上高 3,177億円、営業利益 228億円 EPS 138円(12/26) 

2022年8月中間期は新収益基準への以降により単純比較出来ないものの、売上高はYoY▲39.8%の2,090億円、営業利益はYoY+128億円と黒字転換し、計画比でも増収増益となりました。国内百貨店売上高は、店舗の通常営業化や一過性の大口受注もあり、予算前提の+8.4%に対して+19.6%と上振れたほか、高額品割合の増加で採算性が一段と良化しました。傘下の東神開発もテナント賃料の収受が順調に進んだほか、海外事業についても上海を除くSG、ベトナム、サイアムが軒並み増収増益となり、為替の有利影響もあって上振れ幅が大きくなりました。


なお2023年2月期の通期見通しは3Q時点で増額しており、売上高はYoY▲40.9%の4,500億円(期予:4,315億円)、営業利益はYoY*6.9倍の285億円(期予:175億円)に修正しています。国内百貨店売上高は、3Q期間でも一過性の大口受注があったとみられるほか、足許12月中旬の速報値まで好調なモメンタムの継続が確認されます。利益面についても、売上ミックスの改善のほか、コスト削減が想定超で進捗しており、人件費や光熱費増を飲み込んでいます。3Qでも東新開発、TFP、TSCの主要子会社が増収増益、上海除く海外も回復継続が確認されることから、修正見通しはバッファー含みであり、再増額が濃厚とみられます。


当社は翌2024年2月期までを緊急期間として位置付け、2020年3月期比で合計▲216億円のコスト削減を目標としていましたが、初年度・2年度目で合計▲200億円程の削減を済ませており、利益が出やすい“筋肉質”な企業体に変貌しています。ロール後の3年中計では、翌2024年2月期に(旧基準)売上高8,500億円・営業利益300億円を目標としているものの、進行期3Qまでに追加的で▲43億円を削減していることから、累計▲243億円の採算改善に成功しており、インバウンド受入再開を考慮すれば、中計の達成可視性が一気に高まっています。

 

他方、中計3年間での総投資額は1,400億円を見込んでいます。傘下デべの東神開発を中心に、国内外の商業開発に900億を投じる計画であり、東神開発の日本橋三丁目スクエア、流山FLAPS、S・C ANNEX2を既に竣工・稼働させたほか、安定収益確保のため既存賃貸住宅の取得を進めています。育成中の金融事業については、SBIによるOEM提供による“ネオバンク”方式により、富裕層の資産運用需要や、百貨店積み立て(友の会)による若年層獲得を図っていますが、此方の進捗については想定以下とみられます。

 

海外事業は、ハノイ北西に位置する都市開発PJ「スターレイク」でA地区・B地区の土地所有権の取得と、学校運営事業への出資(持分25%)を済ませており、2021年に開校させています。今後は商業・オフィス・住宅の複合開発の「ランカスター・ルミネール」、2024年には「スターレイクⅠ期」の開業を予定しており、Ⅰ期・Ⅱ期に合計202億円を投じ、巡行時に年17.2億円程(30年平均)の営業利益貢献を見込みます。

 

財務状況については、2018年12月に600億円のユーロCBを発行しているものの、行使価格が@2,180円(一部行使不可)のため全て負債として認識されています。また、IFRS16号採用による“見えがかり上”の財務悪化があったものの、自己資本比率は35.4%と十分な水準を確保しています。なお、配当は据置の年24円が予想しているものの、業績の上振れだけでなく、11月にH2Oリテイリング株の売却益26億円も計上していることから、一転して増配期待が高まります。
 

*参考記事① 2022-07-23 1,391円 NT

【8233】髙島屋/順調なコスト削減が進む、外商・富裕層のけん引で戻りどこまで。

 

*参考記事② 2021-12-28 1,036円 NT

【8233】髙島屋/東神開発の減賃一巡とコスト削減で浮上も、トップラインの戻り鈍い。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。

 

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