【7532】PPIH/“情熱価格”構成比増&インバウンド回復で、中計は1年前倒しの勢い。 | なちゅの市川綜合研究所

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【7532】パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(東証プライム) OP 

現在値 3,376円/100株  P/E 30.2 P/B 4.25  6月配当優待 12月配当優待

総合ディスカウント店ドン・キホーテを展開。子会社に長崎屋、ユニー。
配当金は6月、12月の年2回合計21円のため、配当利回りは約0.62%となります。

パン・パシフィック・インターナショナルホールディングスは株主優待制度を実施しており、6月末・12月末の単元保有株主に対して、年2回2,000円分の自社ポイントを進呈しておりますので、配当優待利回りは約1.80%となります。

業績を確認していきます。

■2021年6月期 売上高 1兆7,086億円、営業利益 815億円 EPS 84.9円 

■2022年6月期 売上高 1兆8,312億円、営業利益 1,044億円 EPS 102.6円

■2023年6月期 売上高 1兆9,367億円、営業利益 1,052億円 EPS 110.9円 

■2024年6月期 売上高 2兆621億円、営業利益 1,110億円 EPS 111.8円 ce

□2023年9月1Q 売上高 5,093億円、営業利益 328億円 EPS 41.2円(11/10) 

□2023年12月中 売上高 1兆318億円、営業利益 589億円 EPS 58.6円 ce 

 

2023年6月期の売上高はYoY+5.8%の1兆9,367億円、営業利益はYoY+18.7%の1,052億円となり、対前・対計画で増収増益となりました。アピタ・ピアゴを中心とするGMS事業はSSS前提100.3%に対し実績97.8%となり、物価高で軟調だったものの、ドンキを中心とするDS事業は外出機会増加やインバウンド回復により、SSS前提100.3%に対し実績105.2%と高水準で着地しました。利益面については、DS事業で好採算のPB/OEM構成比が更に上昇して(14.2%→17.3%)と想定超となり、粗利益率もYoY+1.5pts.の26.0%まで改善し、水光熱費増を飲み込んで利益は一段増となりました。

 

進行期である2024年6月期の予算については、売上高がYoY+6.5%の2兆621億円、営業利益はYoY+5.5%の1,110億円を見込んでいます。予算前提SSSはDS事業は104%、GMS事業は101%で組んでいるものの、既開示の5ヵ月分のDS事業は110%超と上振れ圏で推移しています。利益面については、人件費や水光熱費の増加を織り込むものの、“情熱価格”の露出強化でPB/OEM構成比を21.1%まで引き上げ、採算性の維持を図ります。出店は国内外で出店25・海外12店を計画しています。

 

進行期は3ヵ年中計の初年度であり、最終年度の2025年6月期までに売上高を1兆8,312億円→2兆円に、営業利益を1,044億円→1,200億円に引き上げる計画としており、年率10%超の利益成長を目標とします。取組事項は①PPIH流SPA推進、②DX強化、③生産性向上、④金融収益拡大、⑤海外の出店等強化となっています。特にインフレ下での可処分所得減少傾向やインバウンド需要消失などから、無理にトップライン成長を追わず、確実に利益成長を志向する内容となっています。

 

①のSPA戦略は、DS/GMS合算でのPB/OEM構成比を15.3%→25.0%まで引き上げることとし、“情熱価格”の刷新時に新キャラクター投入やSNS露出、初のTVCM投入など広告戦略を強化したほか、②のDXは、11月にハウスアプリ“majica”に“マジボイス”という機能をローンチしています。掲示板機能で店舗にフィードバック出来るほか、顧客が購入商品の可/不可を評価&レビューする機能を搭載しています。これにより顧客参加型のインタラクティブな商品開発に繋げる目論見であり、当社らしいユニークな取組となっています。

 

④の金融については、majica会員と自社ハウスカードを展開するUCSを合算した自社決済比率を39.0%→50%超に引き上げるほか、銀行口座からのチャージ機能を拡充し、他社(要はカード会社)の鞘抜き抑制を図ります。本年9月には渋谷の旧ドンキ跡地に大型商業施設“道玄坂通”を開業しており、オフィスやIHGのホテルインディゴが導入しています。これらの各種取組みやインバウンド回復による業績改善が大きく、海外がややモタついているものの、今次中計は前倒し達成も射程に入ります。

 

株主還元方針については、配当性向20%程度を基準とした“累進配当施策”により、21期連続の増配を予定しており、配当予想は1円増配の年21円を予想してます。自己資本比率は31.8%と一定の水準にあるものの、「A+」格維持を目標としているほか、海外事業での資金需要もあるため、当面は現状レベルでの株主還元が継続するものとみられます。

 

*参考記事① 2023-04-28  2,529円 OP

【7532】PPIH/インバウンド見込保守的で上振れが確実、渋谷再開発は9月開業へ。

 

*参考記事② 2022-12-05 2,294円 OP

【7532】PPIH/ドンキPB“情熱価格”の売上構成比が増加、粗利益率の改善も一段と進捗。

 

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